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[ 導入事例 ] タブレット帳票ソフトウェア BIP Smart 紙で交わしていた契約書を完全電子化
現地での契約作業の削減とセキュリティ強化を実現

  • 株式会社 NTTドコモ様

株式会社NTTドコモ様では、オフィスや自宅など屋内で携帯電話の電波が届きにくい場合、調査員を派遣して電波改善のための機器を設置するサービスを展開している。今回、BIP Smartを導入し、機器設置時に発生する契約書の完全電子化を実現した。日々発生する契約の締結を電子化し、全国展開するのは簡単な道のりではなかった。契約書の完全電子化をどのように実現し、どのような効果が得られたのだろうか。

課題

  • 契約手続きに時間がかかり、顧客を待たせる時間があった
  • 契約書の種類によっては顧客の情報が記入された契約書を持ち運ぶため、紛失のリスクがあった
  • 各支店で契約書のフォーマットが異なるため、システム入力自動化の壁になっていた

効果

  • 紙の契約書の準備や契約手続きなど毎回約15分の作業を削減でき、紙の契約書を持ち運ぶ必要がなくなった
  • 端末には顧客が入力した情報が残らないため、紛失のリスクがなくなった
  • 契約書を統一したことで、システム入力自動化の素地が整備された

電波改善の機器設置に関わる契約書の100%電子化に取り組む

株式会社NTTドコモ様(以下、ドコモ社)は、携帯電話の無線通信サービスを提供する最大手の企業だ。ドコモ社では、オフィスや自宅など屋内で携帯電話の電波が届きにくい場合に、電波改善提案を行っている。必要に応じて調査員を派遣し、窓際まで届いている基地局からの電波を増幅する「ドコモレピータ」や、光回線を使って携帯電話エリアを作り出す「フェムトセル」の機器を設置して電波状況を改善する。

ドコモ社では、機器の設置について契約を取り交わす際、紙の契約書に必要事項を記入してもらい、持参したスキャナーでその契約書をスキャンし契約書転送アプリでメール送信するという方法をとっていた。

今回さらなる電子化を検討するにあたり対象となったのが、紙の契約書の廃止だった。従来、調査員は事前の準備として契約書を印刷して用意しておく作業に時間がかかっていた。また契約手続きの際に契約書をスキャナーで読み込むため、お客様を待たせているという問題もあった。

さらに契約書の種類によっては顧客情報が含まれる紙の契約書を調査員が持ち運ぶことから、紛失のリスクが残っていたため、セキュリティが担保された電子化の実現が急がれた。

ドコモ社が注目したのが、PFUが提供する「BIP Smart」だ。タブレット上で契約書などの帳票イメージに指やスタイラスペンによる手書きで記入した文字をテキスト変換し、PDFとしてデータ化できる。そのためすでに運用していた契約書転送アプリと組み合わせることで、契約書を印刷することなくタブレット入力したらすぐにメールで送ることができる。タブレットにはデータが残らないため、セキュリティも担保できる。

BIP Smartであれば既存の仕組みをそのまま使えること、顧客が従来と同様に手書きのイメージで記入できることが評価され、採用が決定した。

支社ごとに個別に用意されていた契約書のフォーマットを統合

こうしてBIP Smartの導入が始まった。顧客はタブレットから必要事項をペンで入力し、ドコモのマイページで契約内容を確認する。完全な電子化だ。

しかし電子化への道は決して平坦ではなかった。電波改善に対応する支社は全国に50以上存在し、支社ごとに異なるフォーマットの契約書を使用していた。電子化するにはフォーマットを統一しなければならない。大坪氏は、各支店と調整して契約書のフォーマットを集約していった。「共通で使える項目は残し、それ以外は新たに追加した備考欄に記入してもらう運用に変えていきました」(大坪氏)。支店が管理用に使用している項目も多く、調整は難航したが、最終的には支店の協力を得て、統一したフォーマットを作ることができた。

またBIP Smartを利用する調査員の年齢層は幅広く、必ずしもIT機器を使い慣れているわけではない。そのため導入前には「タブレットだと文字が小さくて読めない」「余白にメモが記入できない」といった否定的な意見もあった。しかしBIP Smartでは文字の拡大表示や手書きのメモ帳機能がある。「使い方を案内すれば、納得して利用してもらえると考えていました」(大坪氏)。そこで関東・甲信越の主要な支社を対象としたトライアル運用で操作マニュアル・運用マニュアルを整備した。ある程度トライアルで運用できるようになった段階で勉強会を開始し、使いこなすためのポイントをレクチャーした。その後、体制の整った支店から順次運用を開始していった。「今ではIT機器が苦手な調査員でも簡単に操作できています」(大坪氏)。

調査員の業務が効率化されセキュリティの強化にも貢献

BIP Smartを導入したことで、最も効果があったのは契約手続きの効率化だ。「契約書の準備と手続き1件当たり約15分の作業が削減できました」(大坪氏)。顧客は契約書を手書きで入力した後の待ち時間がないためストレスを感じることもなくなり、調査員の現地での作業も短縮できたという。さらに現地に赴く際に契約書や転送に必要なPC・スキャナーを持ち歩く必要がなくなり、軽量化できた。

「セキュリティが強化されたのもメリットのひとつです」と大坪氏は評価する。もともと運用していた契約書転送アプリをそのまま使用しているため、転送時のセキュリティは確保されている。さらに使用しているタブレットはロックがかかるため、紛失してもアクセスできない。仮にアクセスできたとしても、タブレットには顧客情報が残っていないため、情報が流出することはない。

帳票の追加・変更についてもBIP Smartのデザイナー機能により帳票の入力フィールドを自由に追加・調整できるため、簡単に実施できているという。「帳票を追加する作業にかかる時間は、20分程度です」(大坪氏)。今まで新たな契約書が追加・変更された時は、契約書のファイルを全国に送る必要があったが、今は大坪氏が帳票を定義してビルドすれば、すぐに全国の支店に反映される。追加・変更内容が迅速に周知でき、作業の効率も上がった。

手軽に帳票が追加できるため、例えば支社から「アンケートで使いたい」という要望があれば、帳票を追加している。他の支社からも追加された帳票を活用できるだけでなく、他の支社が実施したアンケート内容も閲覧できるため、情報共有が進んだという。

顧客からも好評だ。「ペーパーレス時代に沿った技術を活用しているということで、ブランドイメージが向上したと支社から聞いています」と大坪氏も思わぬ効果に驚いている。

BIP Smartの機能を活用してさらなる業務効率化に着手

電子化という観点からは今回目標を達成することができた。次はさらなる業務効率化を視野に入れる。現在、転送されたPDFファイルを見て、担当者が契約情報をシステムに入力する運用になっている。「この作業を自動化できれば、大幅な作業削減が見込めます」と大坪氏は期待を寄せる。

BIP Smartには、タブレットから手書きで入力したデータをCSVで出力する機能を備えている。大坪氏はこの機能を活用し、RPAでシステムに自動入力できるかを検証しようとしている。

現代の社会インフラとなった携帯電話網を提供する同社では、安心して使えるシステムを提供するために厳しいセキュリティ要件をクリアすることが求められる。その上で、電子化、業務効率化を追求していく。今回の電子化はそのマイルストーンにすぎない。安全性を当たり前に、さらに快適に。
ドコモ社の取り組みは今後も続いていく。

大坪 拓矢 氏
株式会社NTTドコモ
無線アクセスネットワーク部 エリア品質部門 品質管理担当

お客様概要

名称 株式会社NTTドコモ
本社 東京都千代田区永田町2丁目11番1号
山王パークタワー
設立 1992年7月(営業開始日)
URL https://www.docomo.ne.jp/
事業概要 携帯電話の無線通信サービスを提供する日本最大手の移動体通信事業者。通信事業の他にも動画配信・音楽配信・電子書籍サービス等をdマーケットを通じて提供するスマートライフ事業等を展開する。