1. ダイハツ工業株式会社 九州部品センター
2023.8.23

ダイハツ工業株式会社 九州部品センター

物品受領書をスキャンし、ファイル名の付与とフォルダー仕分けを自動で完了
「PaperStream Capture」をフルに活用し紙保管からデータ保管へとスムーズに移行

ダイハツ工業株式会社 九州部品センター前の竹中さんと下西さん

ダイハツ工業株式会社 九州部品センター センター長の竹中崇亮さん(左)と副主任の下西謙二さん。

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ダイハツ工業株式会社 九州部品センターは、ダイハツの自動車部品を九州全域の販売会社に供給するためのハブになる重要拠点です。同センターではこのたび「fi-8150」を導入し、部品出荷時に受け取る物品受領書をスキャンしてデータ化することで、検索の迅速化による企業統制のレベルアップを実現し、保管スペースの問題も解決しました。「PaperStream Capture」のゾーンOCR機能を活用したフォルダー仕分けやファイル名自動付与により、データ保存を効率化している点にも要注目です。大分県中津市の同センターを訪ね、具体的な運用についてうかがいました。

課題
物品受領書を紙で保管していたため、大量の受領書の中から特定の受領書を見つけるのに時間がかかることが予想された。また、保管のためのスペースが逼迫していた。
解決法
「fiシリーズ」で物品受領書をスキャンし標準添付ソフトウェア「PaperStream Capture」の機能でファイル名の付与とフォルダー仕分けを自動で完了するように設定。
効果
データ保管(PDF)へと移行したことで、キーワード検索が可能になり、急な監査にも対応できる体制が整うなど企業統制のレベルが向上。書類の保管スペースも不要になった。

1. 現場の効率を上げるデジタル化の一環として「fiシリーズ」を導入

ダイハツ工業株式会社 九州部品センター センター長の竹中崇亮さんと、同じく副主任の下西謙二さんにうかがいます。九州部品センターの成り立ちと役割について教えてください。

竹中さん当センターはダイハツ工業が国内に有する3か所の部品センターの一つで、九州の販売会社、いわゆるダイハツのディーラーから注文のあった自動車部品を翌日までに届けることをミッションとして2019年に設立されました。

もともとダイハツ工業の部品供給は兵庫県西宮市のマザーセンターが行っており、西宮から全国に向けて部品を発送していましたが、北海道と九州に関しては翌日到着が難しいケースが一部どうしても発生していました。そこで近年、平等性を高めるために北海道と九州にも部品を集約するセンターを設立し、到着期日の問題を解決しました。

ダイハツ工業株式会社 九州部品センターについて話す竹中さん

ダイハツ工業株式会社 営業CS本部 部品部 部品物流技術室 九州グループ 九州部品センター センター長の竹中崇亮さん。

ダイハツ工業株式会社 九州部品センターについて話す下西さん

ダイハツ工業株式会社 営業CS本部 部品部 部品物流技術室 九州グループ 九州部品センター 副主任の下西謙二さん。

西宮のマザーセンターから部品を取り寄せて常時ストックしておけば、九州全域の販売会社に翌日届けられるということですね。

竹中さんそればかりでなく、当センターは車両や部品を製造するダイハツ九州株式会社の敷地内に立地しているため、ダイハツ九州で製造した部品に関しては西宮を経由させる必要がなくなり、九州の販売会社に直接発送できるようにもなりました。九州の中だけで完結する輸送モデルは、従来に比してCO2排出量を年間65パーセント、トラックドライバーの運転時間を同じく83パーセント削減するもので、九州初の改正物流総合効率化に基づく総合効率化計画として国土交通省の認定を受けています。

参考まで、九州部品センターで取り扱う自動車部品はどのくらいの種類があるのでしょうか。

竹中さんダイハツ全車種で約10万点の部品が存在しますので、当センターで扱う部品の種類もそれに準じて相当な数になりますね。

下西さんダイハツ九州で製造するもの以外にも、全国各地のサプライヤーから西宮を経由して供給を受ける部品がたくさんあります。サプライヤーの数は300社を下りません。

九州部品センターの外観

九州部品センターはダイハツ九州株式会社の広大な敷地の一画にあります。

九州部品センターの内部の様子

センターでは九州各地の販売会社に向けて部品を出荷しています。

そうした数字を聞くだけでも部品センターのオペレーションが多彩で複雑であることがうかがわれます。このたび「fi-8150」の導入を主導された下西さんは、その現場を動かすためのシステム関連業務を担当されているのでしょうか。

下西さんはい、操業の基幹となるシステムの維持管理や問題への対応が主たる業務です。「fi-8150」は、業務上の作業をアナログからデジタルに移行させる改善の一環として導入しました。当センターのような拠点では現場がスムーズに回って初めて業務が成り立ちますから、デジタル化によってオペレーションの効率を向上させていくことが非常に重要です。

スキャナー導入による改善の概要をお聞かせください。

下西さん当センターと一部の出荷先との間で、部品出荷時に納品書と物品受領書のやり取りが発生します。従来、当センターでは最終的に受け取った物品受領書を紙のままで保管していましたが、紙には経年による劣化の危険、検索の難しさ、保管スペースの逼迫といった問題が付き物です。そこで物品受領書をスキャンしてデータで保管する方式に変更し、紙保管に付随する複数の問題を解決しました。スキャナーの運用は2023年1月から開始しています。

九州部品センターに配置されている「fi-8150」
物品受領書をスキャンしてデータ保管する様子

九州部品センターではA4スキャナー「fi-8150」を導入し、物品受領書の保管を紙からデータへと移行しました。

2. 物品受領書を段ボールで保管していたため検索が難しく、場所も取っていた

物品受領書の発生過程や形態について教えてください。

下西さんダイハツ九州で生産した車両を購入者であるお客様にお届けするときには、お客様のご注文に応じて、たとえばカーナビゲーションやETC車載器、各種エアロパーツといった部品を装着する必要があります。その架装はもちろん各地の販売会社でも行いますが、月間の販売台数が多いことから、なかなかスムーズに回らないのが実情です。そこで作業負荷を分散させるため、当センター隣の棟にあるダイハツ輸送株式会社の工場でも部品の架装作業を行っています。

販売会社に向けて車両を出荷する前の段階で、いわゆる「ディーラーからの乗り出し」の状態にまで完成させるのですね。

下西さんそうです。このとき架装する部品は当センターから出荷しており、工場は販売会社からの委託で架装を行います。そのため当センターから部品を工場に出す際は、販売会社宛ての納品書を添付することになります。その納品書はA4縦の普通紙で、下方の4分の1が物品受領書になっています。工場では部品と納品書を受け取ったら、販売会社に代わって物品受領書に受領印を捺し、物品受領書を切り離して当センターに戻します。

部品と納品書/物品受領書が物理的に移動するのはダイハツ九州の敷地内でも、九州部品センターは販売会社に部品を販売したことになるのでしょうか。

下西さんはい。当センターはあくまでも販売会社に部品を販売し、工場は販売会社の委託を受けて部品の受領を代行している形になります。

納品書/物品受領書は部品1つにつき1枚でしょうか、それとも車両1台につき1枚でしょうか。また、一日あたり何枚が発生するのでしょう。

下西さん納品書/物品受領書は車両1台につき1枚で、1枚ごとに車両識別番号が付されてデータベースに紐付いています。カーナビやその台座、取付ボルトといった部品の内訳は納品書にリストで記載されます。発生件数は平均して一日に約120枚です。

納品書/物品受領書

納品書/物品受領書は部品センターでA4の普通紙に出力し、出荷する部品に添付します。下方の4分の1(キリトリ線から下)が物品受領書です。

物品受領書

受領印を捺して切り取られた状態の物品受領書。これが一日に120枚ほど発生します。

九州部品センターとダイハツ輸送の工場は隣同士とはいえ、ダイハツ九州の敷地は広大です。部品の搬送や物品受領書の返送はどのように行っているのでしょう。

竹中さん定期のトラック便です。部品センターと工場の往復ではなく、所定のルートで敷地内の各所を回ります。通常は一日に5便、年度末などの繁忙期には6便に増えます。

トラック便はその都度、物品受領書を回収してくるのでしょうか。

下西さん都度ではなく、工場でまとめた一日分を翌日に回収します。「fi-8150」を導入する前は、回収した物品受領書の受領印をチェックしたあと、紙の原本を保管していました。物品受領書は7年間の保管が法的に義務づけられているためです。

当時は物品受領書をバインダーに綴じていたのでしょうか。

下西さんいえ、なにぶん形が横長でサイズが小さいため、日付ごとにバンドで留めて段ボール箱に保管するほかありませんでした。ですから、何かの理由で過去の物品受領書を取り出す必要が生じた場合は、束を1枚ずつめくって探すことになります。

竹中さんしかも、その時期の物品受領書が収められた段ボール箱を取り出し、蓋を開けて該当する束を探すことから始めなければなりません。これは大変な作業です。

検索性が著しく低いという紙の弱点が端的に現れるケースですね。実際にそうしたケースはありましたか。

下西さんこれまでのところ現実的にはありませんが、もし監査が入って「このときの物品受領書はありますか」ということになれば、急いで探し出す必要が生じます。

竹中さん監査は資産管理に関係しますから、企業の統制上、早急に取り出せることに大きな意味があります。しかし紙保管のままではそういうわけにもいきません。この点が一つの問題でした。

物品受領書保管用のラック
物品受領書を収めた段ボール箱

書庫に据えられた大きなラック1本を占拠した、2019年から2022年までの物品受領書。コピー用紙が入っていた段ボール箱を再利用し、何か月分かを1箱に収めています。早急な検索への対応が困難である上に、データ化しなければどんどん増えていきます。

保管スペースについてはどのような悩みがありましたか。

下西さん当センターの書庫は非常に狭いのですが、2019年4月から2022年12月までの物品受領書だけで大きめのラックが1本、埋まっています。うち3年間はコロナ禍にあたっており、工場の稼働が制限されていた時期があるにもかかわらず、それだけの量に達しています。

竹中さん現在はコロナ禍前の状況に戻った上に、ダイハツ九州で生産する車両も増加傾向にあります。一方、紙で保存している物品受領書は2019年の分がようやく保存期間の折り返し地点を過ぎたばかりですので、スペース的にも紙からの脱却は避けられなかったといえます。

3.「ゾーンOCR機能」を活用したフォルダー仕分け・ファイル名付与によりデータを手間なく保存

「fi-8150」導入後のフローについてうかがいます。回収した物品受領書をスキャンする際、「fiシリーズ」の標準添付ソフトウェア「PaperStream Capture」の「ゾーンOCR機能」を活用されているとうかがいました。その点について具体的にお聞かせください。

下西さん物品受領書の車体識別番号と販売会社名の両方をOCR処理する設定にしています。これによって、スキャンしたイメージデータには車体識別番号がファイル名として自動で付与されると同時に、販売会社別のフォルダーに自動で仕分けされます。なお、物品受領書は1枚を1ファイルにしているので、毎日120前後のファイルが増えていくことになります。また、仕分けする販売会社の数は13社です。

スキャン後に表示される確認画面

スキャン後に表示される確認画面。イメージデータとともにOCR処理の結果を確認し、必要があれば修正します。

画面で確認する部分

OCR処理した会社名(上)がフォルダー名になり、同じく車両注文番号(下)がファイル名として付与されます。

「fi-8150」は1回にコピー用紙100枚までをセットできますから、一日分の物品受領書を最多でも2回に分けて連続スキャンするだけで、約120ファイルのファイル名自動付与と、フォルダー13個への自動仕分けまでを済ませられるのですね。

下西さんはい、この機能は非常に便利です。読み取るだけならば複合機や他社のスキャナーでもできますが、読み取った書類の内容に基づいて仕分けなどをしてくれる機能は「fiシリーズ」ならではのものだと思います。通常は人間がする作業を機械がしてくれるという点は「fiシリーズ」導入の決め手にもなりました。

フォルダーの階層
フォルダー内のファイル一覧

がフォルダーの階層、がフォルダー内。指定した箇所の文字をOCR処理することにより、ファイル名の付与とフォルダーへの仕分けが自動で完了します。

読み取り精度はどのように評価されていますか。

下西さん精度は十分だと思いますが、プリントの状態や切り取りの具合によって微妙な読み取り範囲のズレが生じ、認識ミスにつながることがあります。ですからスキャン後の確認画面で1枚ずつ担当者がチェックし、誤りがあれば修正します。ただ、修正は画像を見ながらマウスでOCR枠を少し動かすだけでよいので簡単です。スキャンから修正完了までに要する時間は20分程度です。

なお、このチェックは受領印の確認も兼ねており、紙をめくりながら確認していた頃よりも作業は楽になっていると思います。

納品書/物品受領書には切り離すためのミシン目が付いているのでしょうか。

竹中さんミシン目は付いておらず、キリトリ線が印字されているだけです。工場では物差しを当てて切り取ることもあるようです。

下西さん給紙性能が非常に重要だったため、後述するように「fiシリーズ」のデモ機貸し出しサービスを利用した際には、紙の切り口がギザギザになっている場合も想定して検証し、問題なくスキャンできることを確認しました。

物品受領書の切り口の様子
物品受領書を「fi-8150」にセットしたところ

物品受領書の切り口()。ハサミで切ったものや物差しを当てて切ったものなどが混在していますが、「fi-8150」ならばそのままセットするだけで問題なくスキャンできます()。

「fi-8150」でスキャンする様子

「fi-8150」はA4高速スキャナーのスタンダードモデルです。1分間に50枚・100面の高速読み取りが可能です。

搭載されたスタッカーサポーター

スキャン時に小さな紙が散らばらないようサポートする「スタッカーサポーター」を搭載しています。

スキャンしたイメージデータはどこに保管していますか。また、データも保管期間が決まっているのでしょうか。

下西さんデータは当センターのローカルサーバーに保管しています。法的に定められた保管期間は紙と同じく7年間です。

スキャンを終えた物品受領書は廃棄しているのでしょうか。

下西さん廃棄しています。ただ、万一のチェック漏れに備えて即刻廃棄は避け、1週間から2週間経ってから廃棄するようにしています。

「fi-8150」の導入によって、過去の物品受領書が必要になったときに手早く検索できるようになり、物理的な保管スペースも2023年以降の分は必要なくなったということですね。2022年までの物品受領書もいずれはデータ化するご予定でしょうか。

下西さん毎日新しい物品受領書が発生しているため今はまだ手が着いていませんが、いずれはスキャンしてデータ化し、2019年の設立以降の物品受領書をすべて同じ保管条件で揃えたいと考えています。

4. PFUのデモ機貸し出しサービスを活用して機種を選択し、希望の設定を実現

「fi-8150」を導入する前に、複合機でのスキャンも試されましたか。

下西さん試しましたが、変型で小さい物品受領書を一気に流そうとすると機械の中で詰まってしまい、カバーを開けて1枚ずつガラス面に置く方法を取らざるを得ませんでした。「fiシリーズ」はその点でも読み取り速度の点でも圧倒的に優れています。

「fiシリーズ」については導入前から何らかの情報を持っておられたのでしょうか。

下西さんいえ、Webでスキャナーのデモ機貸し出しが対応可能なメーカーを検索したところ、ぱっと出てきたのがPFUの「fiシリーズ」でした。購入して失敗したという状況は避けなければならないので、デモ機貸し出しは当初からの前提条件でした。

他社のスキャナーも同時に検討されたのでしょうか。

下西さん検索はしましたが、デモ機を借りられる場合も機種が限られていたり、スキャナー自体が当方の希望より大型だったりしたため、ほぼPFU一択で機種の検討に入りました。PFUに相談し、グレードの異なる機種をいくつか試した結果、用途とコストのバランスという観点から「fi-8150」の導入を決めました。

スキャナー選択の条件に付いて話す下西さん

「デモ機を試用できることがスキャナー選択の前提条件でした」と下西さん。

「fiシリーズ」と「PaperStream Capture」の機能を高く評価する竹中さん

センター長の竹中さんも「fiシリーズ」と「PaperStream Capture」の機能を高く評価しています。

「ゾーンOCR機能」などを高いレベルで活用しておられます。設定はスムーズに進みましたか。

下西さん希望する結果が出るまでに少々時間を要しました。標準添付ソフトウェアの「PaperStream Capture」で車両識別番号と販売会社名の2か所を読み取り、ファイル名の自動付与とフォルダーの自動仕分けにそれぞれ活用するにはどうすればよいのか、PFUのサポートと何度もやり取りし、メールや電話で細かいレクチャーを受けました。その結果、希望の設定を実現させることができ、無事に運用へと至りました。

今回の改善によって、懸案解決のほかにメリットは発生しましたか。

竹中さんスキャナー導入によって物品受領書の確認が簡単になり、マニュアル化すれば誰にでもできる作業になりました。また、物品受領書のデータを今後、何かの分析などに活用できるかもしれません。それらはデータ化して初めて顕在化する可能性ですから、将来的に見てもメリットがあったと思います。

「fiシリーズ」が業務改善のお役に立てて幸いです。本日はありがとうございました。

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