1. 導入事例
2024.2.29

複合機を「fiシリーズ」に置き換えて報告書などの書類データ化を大幅に効率アップ
訪問看護や高齢者介護に関連する資料のスキャン時間を1/10に短縮し作業負荷を軽減

ひかり心身クリニック院長の鳥内勉さん。クリニック受付前にて。

三重県四日市市の「ひかり心身クリニック」は、うつ病、パニック障害、認知症などに罹患する患者さんが市内と周辺地域から訪れる心療内科・精神科診療所です。訪問看護ステーションや高齢者介護施設、薬局とも連携して地域医療の一翼を担う同クリニックでは、連携先と情報をやり取りするたびに発生する紙の書類を複合機でスキャンしていましたが、このたび複合機を「fiシリーズ」に置換してデータ化の効率を向上させました。院長の鳥内勉さんに、リプレースの目的と効果について詳しくうかがいました。

ひかり心身クリニック

業種:医療

診療科目:心療内科・精神科

課題
訪問看護・高齢者介護・訪問薬剤指導に関して発生する書類をカルテとは別に保存するため複合機によるデータ化を開始したが、スキャンに時間がかかっていた。
解決法
スキャン専用機の「fi-8040」を導入して複合機からリプレース。
効果
スキャンの所要時間が10分の1に短縮され、事務スタッフの作業負荷が軽減。より働きやすくなった。

1. 複合機でのデータ化に時間がかかり、スキャン専用機へのリプレースを決意

ひかり心身クリニックは「The same human being」、すなわち患者さん、医療スタッフ、医師はすべて同じ人間であるという理念に基づき、地域住民のメンタルヘルスの回復・維持・向上に貢献しておられます。どのような年齢層の患者さんを何人くらい診ておられるのでしょう。

鳥内さん全国的に心療内科および精神科クリニックが不足しているという事情は当地域にも当てはまりますから、高校生以下を除き、18歳から90歳代までの老若男女がさまざまな症状でお越しになります。現在コンスタントに診ている方は一日40人から50人です。毎日、再診の患者さんで診察枠がほぼ埋まっており、初診の患者さんをなかなか受け入れることができておりません。

ひかり心身クリニック院長の鳥内勉さん

ひかり心身クリニック院長で精神保健指定医・精神科専門医・老年精神医学専門医の鳥内勉さん。

ひかり心身クリニックの待合室の写真

ひかり心身クリニックの待合室。患者さん同士が顔を合わせる機会を少なくするため、入り口や受付に対して背を向ける形でソファを配置しています。

スキャンの対象になる紙の書類は、すべての患者さんに関して発生するのでしょうか。

鳥内さんすべてではなく、訪問看護を受けている方、高齢者介護施設を利用している方、訪問薬剤指導を受けている方に関して発生します。そうした方が20人程度おられ、事務のスタッフに頼んで月に数回、発生した書類をまとめてスキャンしてもらっています。処理枚数は多い場合で約70枚、平均すると60枚程度です。

書類をデータ化する目的を教えてください。

鳥内さん私のクリニックでは、電子カルテのシステムは導入済みなのですが、キーボードで入力しながらお話を聴くと患者さんの顔を見なくなる懸念があることから、紙のカルテに手書きする旧来のスタイルで診療を続けています。そのため自然な成り行きとして患者さんに関わるさまざまな書類も、発生するたびにカルテファイルに綴じていました。

ところが、こうして綴じてしまうとすべての書類が自動的にカルテ扱いになるため、患者さんの終診から5年間は分厚いカルテファイル全体を保管しておく必要が生じます。ついには保管場所が不足してきたため、5~6年前からカルテとして残すべき書類だけをピックアップして綴じ、残りの書類はデータで保存することにしました。データ化には長らく複合機を使っていましたが、今は2023年10月に導入した「fi-8040」で書類をスキャンしています。

受付奥の事務スペースにある棚の写真
棚の中にたくさんのファイルが入っている様子

受付奥の事務スペースには複数の棚が置かれ、カルテのファイルがたくさん並んでいます。

複合機をスキャン専用機に置き換えた理由をお聞かせください。

鳥内さん当院の複合機は企業のオフィスにあるような大型機ではなく家庭用の小型モデルで、ガラス面に1枚ずつ書類を置いて低速でスキャンするフラットベッドタイプだったため、スキャン作業のたびに事務スタッフが複合機の前に長い時間ついていないといけないことが気になっていました。そこで「fi-8040」を導入したところ、問題が見事に解決しました。

A4コンパクトスキャナー「fi-8040」の写真

2023年10月に導入したA4コンパクトスキャナー「fi-8040」。基本機能を充実させたエントリーモデルです。1分間に40枚・80面の高速スキャンが可能です。

フラットベッドスキャナーとして使用していた複合機の写真

「fi-8040」導入前にフラットベッドスキャナーとして使用していた複合機。現在はカラープリント用・カラーコピー用に使っています。

2. 書類の扱いを院長が判断して指示を出し、事務スタッフがスキャン

カルテにする書類と、しなくてもよい書類はそれぞれどのようなものでしょうか。

鳥内さんたとえば物忘れが気になって来院された方には、近隣の脳神経外科クリニックや総合病院等で頭部CTを撮ってきてもらいます。その結果が記された書類はカルテの一部として必ずファイルに綴じるものです。一方、前述の訪問看護関連や高齢者介護施設関連、訪問薬剤指導関連の書類は主に資料的な位置づけで、カルテとして扱う必要まではないものがほとんどです。それらをスキャンしてデータで保存し、原本を廃棄するようにしたことで、カルテファイルの厚さは圧縮され、保管スペースにも余裕ができました。

データ保存に切り換えてカルテのスリム化を果たされたのですね。またデータにしておけば、過去の資料を見返すときもPCで手軽に閲覧できますね。

鳥内さん現実的には、終診となった方が数年の期間をおいて再び受診されることもあり得るので、データ化開始以前の厚いカルテも少なからず残っており、すぐに棚が空いたわけではありませんし、データ化した資料を見返す機会も多くはありませんが、カルテが棚を埋めていく速度は大きく低下しています。

カルテファイルの写真

カルテファイルは書類を綴じられる2穴バインダー型です。一部のファイルにはデータ化開始以前の書類が残っており、「別冊」と書かれたファイルもあります。

鳥内さんがファイルを棚に戻している様子

通院が終了した患者さんのカルテは5年間保存後に廃棄が可能ですが、心療内科・精神科の場合は数年の期間をおいての受診の可能性があるため、古いカルテも相当数、保存しています。

スキャン対象となる書類について詳しくお聞かせください。まず訪問看護を受けている方に関して発生するのはどのような書類でしょうか。

鳥内さん当院と訪問看護ステーションの間で交わされる指示書と計画書・報告書です。私からステーションに指示書を送り、先方からは計画書と、主に月次で報告書をいただきます。スキャンする書類がいちばん多いのはこの訪問看護関連です。

なお、同じ訪問サービスでも介護の場合はさまざまな業種の方が携わりますが、「看護」と名の付くものは必ず看護師さんが行います。精神科の場合、訪問した看護師さんが患者さんの訴えを傾聴し、状態観察を行います。

訪問看護ステーションとのやり取りで発生する書類の写真

訪問看護ステーションとのやり取りで発生する書類。奥から手前へ、鳥内さんが手書きした指示書、ステーションからの計画書、同じく報告書。

どのような病状の患者さんが訪問看護を利用するのでしょう。

鳥内さんうつ病であまり外出できない方や統合失調症の方などですね。年齢はさまざまです。そうした方々を見守るような形で看護師の方に訪問していただいています。頻度は通常、週に1回から3回ですが、状態が悪い場合は毎日行っていただくこともあります。

訪問看護は主治医からステーションに依頼するのでしょうか。

鳥内さんそうです。現在当院には看護師が在籍していませんので、地域にいくつかあるステーションのうち3か所に依頼しています。訪問看護は状態に応じて私から患者さんに提案する場合もありますし、患者さんが訪問看護を受けたいと希望される場合もあります。

主治医からステーションへの指示書はどのように渡されるのでしょうか。

鳥内さん郵送の場合と直接取りに来ていただく場合があります。現在7~8人と、最も多く訪問していただいているステーションとのやり取りは手渡しが多いですね。

ステーションの看護師さんは主治医から専門的な指示を受けたら計画を立てて訪問看護を実施し、その結果を報告書でフィードバックしてくるのですね。

鳥内さん緊急のときには電話で連絡が入ることもありますが、それとは別に報告書をいただきます。直接持参されるステーションもあれば、郵便やFAXを利用するステーションもあります。

続いて、高齢者介護施設を利用している方の場合はどのような書類が発生するのでしょうか。

鳥内さん高齢者介護施設を利用している方の中には、私が主治医を務めている患者さんが何人かいます。もともと当院の患者さんで、途中から介護保険を使って施設のサービスを受けるようになった方もいれば、介護施設から紹介を受けて当院の患者さんになった方もいます。その方々に関して、患者さんごとの介護計画書が施設から当院に送られてきます。

なお、スキャンする書類は基本的に片面印刷のA4サイズですが、介護計画書は両面で、時にはA3サイズで受け取ることもあります。A3サイズでも二つ折りにすればスキャンできるようですが、当院の場合はほかのA4の書類と合わせて一気に読み取りたいので、事務スタッフがA4に縮小コピーしてスキャンします。

高齢者介護施設とのやり取りで発生する書類の写真

高齢者介護施設とのやり取りで発生する書類。手前が計画書、奥はそれに伴う連絡票です。この計画書は原本がA3サイズのためA4に縮小コピーされています。

施設の利用者は皆さんご高齢で、何かしらのご病気をお持ちなのですね。

鳥内さん精神科で介護保険を使う高齢者の場合、最も多いのは認知症です。介護保険には介護度という指標があり、施設に入所している重度の方もいれば、自宅で生活しながら施設に通っている軽度の方もいます。いずれの場合も私が頻繁に患者さんを診るということはなく、施設に日々の介護をしていただきます。自宅で生活している方なら施設のケアマネージャーが訪問して介護の手配をすることもあります。

何か所の施設と連携しているのでしょうか。また、介護計画書はどのくらいの頻度で発生するのでしょう。

鳥内さん付き合いのある施設は5か所ほどで、現在の連携先は3か所程度です。各施設に1~2名、当院の患者さんがいます。介護計画書の発生頻度は低く、1~2年に1回というところです。これ以外に報告書が届く場合もありますが、高齢の患者さんには安定している方が多いため、ごくまれです。

次に訪問薬剤指導を受けている方に関して発生する書類、これはどのようなものでしょうか。

鳥内さん正式には在宅患者訪問薬剤管理指導といい、在宅の患者さんが当院で処方した薬を正しく服薬できていないと考えられる場合、当院から薬局に患者さんのお宅への訪問を依頼し、服薬指導や副作用の確認などをしていただきます。このときに薬局からの報告書が発生することになります。ただ当院の場合、訪問看護ステーションと高齢者介護施設の2系統に比べれば数は少なく、現時点で2~3件というところです。

ここまでにうかがった3系統のほかにも、資料的な書類は存在するのでしょうか。

鳥内さん障害年金や公的助成に関するものなど、随時発生する書類はもちろんあります。また、お話しした書類の中にも事情によってはカルテとして扱うものが出てきます。ですから書類が発生するたびに私が扱いを決め、なるべく早い段階で「カルテに綴じる」または「カルテポケットに収納後PDF化」と書かれた樹脂製の栞をカルテファイルに添え、事務スタッフに渡すようにしています。後者の指示は「とりあえずカルテと一緒にしておき、作業日にスキャンしてください」という意味です。

カルテの上に樹脂製の栞が載っている写真

指示を記した樹脂製の栞をカルテに載せて事務スタッフに渡します。

合理的なフローですね。月に数回の作業日にスキャンしたら、書類の原本は廃棄するのでしょうか。

鳥内さん個人情報ですからシュレッダーにかけて廃棄します。

3. 「fi-8040」と「PaperStream ClickScan」で書類を円滑にデータ化、作業時間が1/10に

実際のスキャン作業についてうかがいます。「fi-8040」を接続しているPCは電子カルテやレセコン用とは別の事務用でしょうか。

鳥内さん そうです。事務スペースの奥に設置したPCとスキャナーを使って、常時3人いる事務スタッフが書類をスキャンしてくれます。データの保存先は医療用クラウドではなく、外付けのHDDです。

スキャン用の作業スペースの様子

スキャン用の作業スペース。コンパクトな「fi-8040」は置き場所を選びません。

「fi-8040」に書類をセットしてスキャンする様子

スキャンは書類をセットしてボタンを押すだけです。

「fiシリーズ」には、フォルダーの自動仕分け機能などを備えた「PaperStream Capture」とシンプルな操作性の「PaperStream ClickScan」、2種類のソフトウェアが標準添付されています。画面を拝見すると「PaperStream ClickScan」をお使いのようですね。

鳥内さん ソフトウェアは両方ともインストールしてありますが、自然に「PaperStream ClickScan」がメインになりました。スキャン作業を任せている事務スタッフが、当院のスキャン作業にはそちらが適していると判断したのだと思います。

スキャンしたイメージデータにはスキャン日時をベースにした数字のファイル名が自動で付与される設定にし、スキャンのたびに保存先を選べる「PaperStream ClickScan」の機能を活かして、患者別のフォルダーを都度選択して保存しているのですね。

鳥内さん そうです。書類の発生する患者数は前述の通り20人弱で、読み取る書類は1人につき多くても3枚ですので、さほど大変な作業ではありません。スキャン結果とお名前を確認してフォルダーに入れ、フォルダー内でファイルが時系列に並ぶようにしています。

「PaperStream ClickScan」の画面
「PaperStream ClickScan」の画面と保存先フォルダーの画面

「PaperStream ClickScan」の画面より。スキャン後に表示されるイメージデータの確認画面で、保存先(患者別のフォルダー)やファイル名を指定できます。

「fi-8040」に対する事務の方々の評価はいかがでしょうか。また、複合機を「fi-8040」に置換したことでどのくらいの効率化が実現しましたか。

鳥内さん スキャンが速い、読み取った画像を確認しやすい、音が静か、機能が複雑ではなく使い勝手がよいという感想を得ています。複合機の頃はそれなりのストレスがあったのだろうと改めて思います。

効率化については、スキャン作業に要する時間が10分の1くらいに短縮され、効率は大きく向上しました。

事務の方々はすぐに「fi-8040」を使えるようになりましたか。

鳥内さん 早々に使いこなせるようになりました。もう私がスキャナーに触れることはなく、完全に任せています。

どのようなきっかけで「fi-8040」に白羽の矢を立てられたのでしょう。

鳥内さん 複合機に代わるよい機器はないものかと思っていたとき、定期購読している医療情報誌にPFUが掲出していた広告を見たのが直接のきっかけです。サイズがコンパクトであること、価格が手頃なことに加えて、当院での書類スキャンには十分すぎる機能を備えているだろうと予想できたので、直感で「これだ」と決めました。

他社のスキャナーとの比較検討はされましたか。

鳥内さん まったくしませんでした。YouTubeで製品紹介の動画を見て確認し、すぐに購入しました。

最初に稼働させたとき、直感が当たったという感はありましたか。

鳥内さん ありました。嘘偽りなく、まさに「当たった」と思いました。

「fi-8040」について話す鳥内さん

鳥内さんは「fi-8040」の機能を高く評価しています。

クリニックのロゴが使用された記念品

こちらは鉄道ファンの鳥内さんがクリニックのロゴをヘッドマークにした列車を走らせたときの記念品。手前のブリキ製の猫とともにクリニックのエントランスの癒しアイテムになっています。

高いご評価、ありがとうございます。今後、現在の書類スキャンのほかに「fi-8040」を活用するご予定はありますか。

鳥内さん 紙の書類が今以上に多く発生することはないので、当面は現在の用途でのみ使用することになると思います。事務スタッフの作業時間が短縮されただけでも十分に大きな効果があったと考えています。

「fiシリーズ」が業務効率化の一助となれて幸いです。本日は詳しくお聞かせくださり、ありがとうございました。

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