| 2026.10.27 |
株式会社ジェイアール東海ウェル
JR東海が保有する膨大な量の紙資料をスキャン、毎月14万枚を電子化
創意と工夫でスキャナーを使いこなし、長さ6メートルの長尺図面もスキャン可能に

企画営業部 文書電子化事業課 課長代理の小倉明宏さん。WDCにて。
JR東海の特例子会社である株式会社ジェイアール東海ウェルでは、障がいを持つ方々を含めた大勢の社員がJR東海を支えるさまざまなバックオフィス業務に携わっています。それら業務のうち、JR東海が保有する膨大な量の紙資料を電子化する事業を一手に担うのが文書電子化事業課のウェル・ドキュメントセンター(WDC)です。WDCでは「fi-8950」「fi-7700」「ScanSnap SV600」のPFU製スキャナー3機種を駆使し、ありとあらゆるサイズや紙質の資料を電子化しており、長さ6メートルの長尺図面も創意と工夫でスキャンしているとのこと。WDCを訪ね、高度な使いこなしの実際を拝見しながら詳しいお話をうかがいました。
株式会社ジェイアール東海ウェル
業種:その他(印刷・サービス・BPO)
社員数:129名(うち障がいのある社員は85名/2026年4月1日現在)
事業内容:印刷、封入・封かん、オフィスサポート、物品管理、文書電子化 ほか
- 課題
- 業容拡大のため文書電子化事業を開始するにあたり、JR東海が保有する膨大な量の紙資料をスムーズに電子化でき、最大20人での電子化作業にも適したスキャナーが必要だった。
- 解決策
- A3大容量スキャナー「fi-8950」、A3フラットベッド付きスキャナー「fi-7700」、A3オーバーヘッドスキャナー「ScanSnap SV600」の3機種を導入。
- 効果
- 手探りで始めた電子化だったが、社員の工夫と機器の性能が相まって高品質なデータの生成が可能になった。現在では長尺図面の多くを「fi-8950」でスキャンできるようにもなっている。

1. JR東海が保有する膨大な量の紙資料を電子化するため、事業をゼロから立ち上げる
株式会社ジェイアール東海ウェル 企画営業部 文書電子化事業課 課長代理の小倉明宏さんにお話をうかがいます。はじめにジェイアール東海ウェルがどのような会社なのか、沿革と事業内容を教えてください。
小倉さん 当社は東海旅客鉄道株式会社(以下、通称のJR東海と表記)の特例子会社として、障がいのあるなしにかかわらず仕事を通じて成果を認識して働く意欲を持てる会社を目指し、2006年に設立されました。当初はJR東海グループの社内誌や名刺などの印刷や封入・封緘・発送からスタートし、JR東海の制服管理、オフィスサポート、ヘルスケアと、20年の間に事業の範囲を拡大して現在に至っています。
巨大組織であるJR東海のバックオフィス業務の多くを引き受けているのですね。制服の管理までなさっているのには驚きました。
小倉さん 当社にはさまざまな仕事があり、また特例子会社でもあることから、さまざまな特性を持った社員がそれらの仕事に向き合っています。
ジェイアール東海ウェルの社屋。鉄道の高架下を有効利用しています。
企画営業部 文書電子化事業課 課長代理の小倉明宏さん。障がい者職業生活相談員でもあります。
その中で、本日の本題である文書電子化事業はどのような位置づけになるのでしょうか。
小倉さん 文書電子化事業は、社会のデジタル化に伴って紙媒体の印刷物受注量が減少してきたことを背景に当社が新しく立ち上げた事業で、JR東海が倉庫に保管する紙の資料をスキャンし、電子化するのが主たる業務です。
現在の文書電子化事業課は、2025年3月に竣工したウェル・ドキュメントセンター(WDC)という専用の社屋で業務を行っていますが、その前身は社員6人から成る準備室的なチームで、2024年6月に会議室を使って文書電子化を開始し、WDC開設に備えました。6人の内訳は管理者1人と作業員5人です。私自身が文書電子化事業課に異動してきたのはその翌月のことです。
準備室スタートの時点でWDC設立の計画があったのですね。文書電子化事業の拡大が確実視されていたのでしょうか。
小倉さん JR東海は国鉄時代からの膨大な量の資料を保有しています。それらを電子化して過去の資料の検索を容易にするとともに、保管倉庫のスペースを物理的に空けて有効活用することが好ましいという、時代の要請がまずありました。また電子化すべき資料の量は、WDCでの仕事にして数十年分あることが確実でした。
一方、当社としても文書電子化事業が拡大すれば業容を広げ、より多くの社員を雇用することができます。これには法定雇用率における除外率の段階的な縮小も関係しており、JR東海に求められる雇用数の増加が見込まれる中、その意味でも業容拡大が必要でした。
WDC稼働後は、電子化後に廃棄した資料の分だけ保管スペースに余裕ができ、何よりも資料の検索が容易になってかなり助かっているという声をJR東海からいただいています。


ウェル・ドキュメントセンター。2025年、本社並びの高架下に竣工しました。
準備室を立ち上げた際、A3大容量スキャナー「fi-8950」とA3フラットベッド付きスキャナー「fi-7700」、ならびにA3オーバーヘッドスキャナー「ScanSnap SV600」を1台ずつ導入してくださったとうかがいました。
小倉さん 当時の担当者が検討の上、どのような体裁の資料が来てもスキャンできるようにと、現在も使用しているその3機種を揃えたと聞いています。その上で実際の電子化業務は、作業に慣れるための準備の意味も含め、主に「fi-8950」でスキャンできるA4やA3の単票資料から始めました。
WDC開設にあたり、スキャナーを追加で導入されたとか。現状はどの機種を何台お使いでしょうか。
小倉さん 「fi-8950」を5台、「fi-7700」を3台、「ScanSnap SV600」を2台です。会議室からWDCに移った時点では社員が9人でしたが、最大で20人を入れて5班に分けることが決まっていたので、主力となる「fi-8950」は各班に1台ずつ必要でした。また「fi-7700」は当初2台でしたが、ある時期から2台では捌ききれなくなったため、1年後に1台を追加導入しています。
2. 月平均14万枚・70箱の紙資料をスキャン。確認に確認を重ねて高品質のPDFを生成
文書電子化のフローについて、はじめに全体像をうかがいます。現在、この事業には何人の方が携わり、それぞれどのような役割分担で作業されていますか。
小倉さん 人員は管理者1人、指導員5人、作業員20人の計26人です。管理者はセンター全般の管理運営を受け持っています。指導員は各班の責任者で、作業員からの質問への対応や細かい作業指示を行います。指導員にはAとBがあり、指導員Aは電子化の依頼受付、内容確認、データ納品など、依頼主とのやり取りを行います。指導員Bは主に作業員への対応と納品前のデータ確認を担当しています。また作業員のうち準備室立ち上げメンバーの5人は、各班の作業におけるリーダー的な役割を果たしています。
WDC内部全景。木材を多用した、静かで落ち着ける環境です。
文書電子化事業課は5班に分かれており、メインスキャナーの「fi-8950」が各班に1台ずつ配置されています。
文書電子化の依頼を受けてからの流れを教えてください。
小倉さん JR東海の各部署から依頼を受けたら、総量と、毎月何箱ずつ電子化するかを事前に打ち合わせ、資料原本を送っていただきます。資料リストと資料が届いたら作業員がペアになって内容物を確認し、1箱ずつ作業員に渡します。最初の頃は作業員一人ひとりに資料のファイルを1冊ずつ渡していましたが、業務に慣れてくるとファイル単位ではなく、箱単位で任せられるようになりました。また、資料を留めてあるステープラーの針やクリップを外す段階で、特に指示がなくても作業員自身が「この資料はどのスキャナーで読み取るのが一番よいか」を考えるようにもなりました。
スキャン以降の工程では品質管理を重要視しており、複数の工程で確認を行っています。まず作業員自身がスキャン直後の画像を見ながら、向き、折れ、破れ、色合い、ページの順番などを現物と照合して一枚ずつ確認し、PDF化したあとで再度、データ全体を確認します。続いて指導員がデータと資料を照合して仕上がりを確認し、不具合があれば差し戻してやり直しを指示します。一箱分の作業が終わると、最後に指導員が全体を確認してから納品します。私たちが「一次確認」「二次確認」「最終確認」と呼ぶこれらの工程は手間がかかりますが、お客様によい成果物をお渡しするために欠かせないものと考えています。
電子化に際しては依頼主からの細かい指示もあるのでしょうか。
小倉さん 「カラーで」「向きを統一」「見開きのまま」など、さまざまなご要望があります。指導員は依頼内容を確認し、専門的な表現があれば作業員が理解しやすい言葉に置き換えて「今回の仕事で気をつけること」という文書に整理します。それを作業員全員に説明した上で、作業員がいつでも自分のPCで見返すことができるよう、PDF化して保存します。それを見ても判断に迷う場合は、迷ったまま進めることのないよう、必ず指導員に確認するのが決まりです。


WDCでは電子化にあたり、品質を重要視しています。スキャンしたら必ず原本と画像を照らし合わせてチェックします。※以下すべて、書類は見本です。
納品時のデータ型式、ファイル名やフォルダー構成などにルールを設けていますか。
小倉さん データ型式はPDFのみです。またファイル名の付け方やフォルダー構成にルールは設けておらず、依頼主のご要望に沿うようにしています。ただ、あくまでも作業員が理解できることが基準になるため、あまりに複雑な依頼はお断りすることがあります。なおデータの納品はクラウドストレージの「Box」によって行います。
WDCでは毎月何枚の資料を電子化しているのでしょうか。
小倉さん 2025年度の実績では月平均14万枚、段ボール箱の数にして70箱でした。月ごとの処理数は資料の状態によって変動し、最大で月24万枚・101箱を処理したこともあります。ただしこれはWDCの処理能力を超えた数字で、受け入れる目安は毎月85~90箱程度です。箱数を基準にする理由は、資料によって枚数が大きく異なるためです。
JR東海の保管資料には国鉄時代まで遡るものもあるということでした。実際にはどのような大きさ・紙質・厚みの紙をスキャンするのでしょう。
小倉さん とにかくさまざまな状態の資料が送られてきます。大きさは名刺サイズのものから長さ10メートル以上の線路図面までとさまざまです。紙質は普通紙もあれば、藁半紙のような紙や非常に薄い紙もあり、青写真やトレーシングペーパーが出てくることもあります。資料の種類も、古い裁判資料や契約書、社内広報誌、設計図面、会議資料、議事録、立案書や経理関係書類など、多岐にわたります。
1964年の東海道新幹線開通に関わるものなどもあるのでしょうか。
小倉さん あります。東海道新幹線の開業準備に関わる各種資料なども電子化の対象です。
歴史的価値の大きい資料も電子化しているのですね。スキャンには相当気を遣っておられるのではないかと想像します。
小倉さん 特に返却が必要な永年保存文書をスキャンするときは気を遣いますね。その代表が古い裁判資料です。当時使われていた紙がティッシュペーパーのような薄葉紙なので、取り扱いには細心の注意を要します。
また、1冊のファイルに右開きの資料と左開きの資料が混在して綴じられているので、ページの順序にも気をつける必要があります。単純に端からスキャンすればよいというわけではないのが難しいところです。
3. 6メートルの長尺図面を折りたたみ「手差し・単送モード」で安全にスキャン
ここからは文書電子化事業のフローを具体的にうかがいます。多様な資料を電子化するために、「fi-8950」「fi-7700」「ScanSnap SV600」をどのように使い分けていますか。
小倉さん 単票に分解できる資料であれば、基本的にメインスキャナーの「fi-8950」で読み取ります。このときは資料の状態に応じて自動給紙と「手差し・単送モード」を使い分けています。A4やA3の普通紙であれば自動給紙で高速スキャンができますが、状態の悪い資料は「手差し・単送モード」で紙を送ります。その代表が前述した薄葉紙です。このスキャンには苦心しましたが、透明なキャリアシートで紙を挟み、1枚ずつ手差しすることで安全にスキャンできるようになりました。


WDCのメインスキャナーとして活躍する「fi-8950」はA3大容量スキャナーです。最大で750枚までの普通紙をセットでき、1分間に150枚・300面の高速でスキャンします。傾いた原稿を自動で整える「自動スキュー補正」機能など、高い給紙性能を備えています。
小倉さん 一方、自動給紙が使えないもの、たとえば綴じられた契約書のように単票に分解できない永年保管資料や、図面製本された資料は「fi-7700」のフラットベッドでスキャンします。図面製本は背貼製本ともいい、二つ折りにした図面の裏面同士を糊付けして綴じ、各図面を見開きで見ていく製本方式です。この場合、ヘラを使うなどして糊を剥がせれば単票に分解して「fi-8950」でスキャンしますが、剥がせない場合は無理をせずに「fi-7700」のフラットベッドを使い、見開き単位やページ単位でスキャンします。


「fi-7700」は多様なニーズに対応するフラットベッド付きA3スキャナーです。上部のADFで高速読み取り、下部のフラットベッドはカバーを開けたままスキャンできる「カバーオープンクロップ機能」(右写真)を備えており、作業時間を短縮できます。
小倉さん また、分解できない厚い冊子のような資料は非接触でスキャンできる「ScanSnap SV600」で読み取ります。ページを開いて見開き単位でスキャンし、画像補正機能で歪みを正してからPDFを保存します。


「ScanSnap SV600」はパーソナルスキャナー「ScanSnap」シリーズの1機種で、冊子を傷めずにスキャンできるため、業務に採用されることも多いモデルです。サイズはA3まで、厚みは30ミリまでをスキャンできます。
10メートルを超える場合もあるという長い図面のスキャンは「fi-7700」で行うのでしょうか。
小倉さん 長い図面も「fi-8950」でスキャンできる場合が多くあります。「fi-8950」の「手差し・単送モード」は6メートルまでの長尺読み取りが可能です。そのため左右が6メートル以内の図面で、なおかつ天地がA4長辺とほぼ同じ30センチ幅になるまで折りたたんだときに、原稿を曲げない「ストレートスキャン」で送れる厚みに収まればスキャンできます。天地を何回折れば30センチにできるのかは資料によって異なるため、その都度判断します。


ヘラを使って長い図面の天地が30センチ程度になるように折り、「fi-8950」の「手差し・単送モード」でスキャンできるようにします。


折った図面に手を添えながら「手差し・単送モード」で送り、スキャンします。
小倉さん また、左右が6メートルを超える図面も左右に1回折れば短くなるので、天地方向の折りの回数が少なければ「fi-8950」でスキャンできる場合があります。ただし、どの場合もスキャナーに過剰な負荷をかけないよう、作業員には決して無理に紙を通そうとしないようにと伝えています。
折った結果が厚すぎて「fi-8950」に適さないものは、「fi-7700」のフラットベッドでA3サイズに分割してスキャンするか、依頼主に連絡して表題だけのスキャンでよいかどうかを確認します。返却が必要な資料であれば、多くの場合に表題だけのスキャンでよいというお返事をいただきます。
原本を引き続き保管するので、表題の検索が効けば十分ということですね。
小倉さん そうです。逆に廃棄する資料であればデータの出来映えを優先し、スキャンしやすい長さや幅に裁断することもあります。
長い図面を分割した場合、あとで合成して1ページのPDFにするのでしょうか。
小倉さん 合成はせず、分割された状態のPDFで納品します。長い図面の分割は依頼主も了解済みで、依頼書にも「上面が1ページ目で下面が2ページ目」といったサンプルが添付されています。ただし実際にスキャンしてみると2ページでは収まらず、4ページ以上にわたることもあり得ます。
なお、長い図面を除く大判の資料では、「PaperStream Capture」の表裏合成機能を活用し、分割スキャンをしたあとで1ページのPDFに合成することもあります。
そのほか、多様な原稿をスキャンする際の工夫があれば教えてください。
小倉さん トレーシングペーパーのような紙は普通にスキャンすると暗く写るため、同じサイズのコピー用紙を重ねてスキャンします。分解できない契約書などで紙の裏が透けてしまう場合も、コピー用紙を裏から当てて裏写りしないようにしています。また、図面製本された冊子資料は「fi-7700」のフラットベッドでスキャンしますが、しわが目立つため、貼り合わせてある面にアクリル板を差し込んで目立たなくする工夫をしています。
スキャナーの使いこなし、スキャン時の工夫、ともに非常に高度ですね。
小倉さん PFUの担当者にも「想定以上の使い方をしている」「機器の性能を十分に引き出している」と驚かれたことがありますが、つまりは「だんだんコツがわかってきた」ということです。
現在では資料の状態を見て、どのスキャナーを使うのが最適かを判断できる作業員が何人もいます。そのスキャナーを別の作業員が使用している場合には「別の機種ならどうすれば同じ品質で読み取れるか」も考えながら作業しています。このような判断はマニュアルだけでは対応できません。現在の運用は、日々さまざまな資料に向き合い、「どうすればきれいに、安全に電子化できるか」を考えながら失敗と改善を積み重ねてきた結果といえます。
WDCでは「fi-8950」を班ごとの有線LAN接続で共有しているとうかがっています。複数人による運用で気をつけているポイントがあれば教えてください。
小倉さん 「fi-8950」は普通紙750枚をセットでき、一度に大量のスキャンが可能ですが、WDCではあえて1回のスキャン枚数に制限を設けています。「fi-8950」がどれだけ高速でも枚数相応の時間はかかるため、ほかの作業員がその分だけ待つことになるからです。特に修正のための再スキャンが発生すると、わずかなページをスキャンするために待ち時間はさらに延びます。そうした時間的ロスを解消するため、少しずつスキャンしては結果を確認し、間違いがなければ続きをスキャンするという運用にしています。
複数人で効率的に共用するための工夫をされているのですね。次に利用したい人のPCとスキャナーの接続をスムーズに行うためのルールなどもあるのでしょうか。
小倉さん 特にありません。「fi-8950」で人が読み込んだデータが自分のPCに来てしまうことは誰もが経験しているので、それぞれが気をつけるようにしているようです。誰かがスキャンしようと席を立ったときに別の誰かがPCでスキャン設定などをしていれば「今やっているからちょっと待ってね」と声をかけています。誰かが設定をしているときにスタートボタンを押してもスキャナーは動かないので、そういう声かけが必要になりますね。
「fi-7700」にも運用上のルールや慣習はありますか。
小倉さん 「fi-7700」はフラットベッドで1枚ずつスキャンすることが多いため、その都度自席に戻らなくても済むようスキャナーの近くに専用の端末を置いています。すると、綴じられた契約書などを1ページずつスキャンするときなどに独り占めによるロスが発生しがちなので、1回の使用時間を30分と決めています。30分ごとに自席に戻ってスキャン結果を確認し、次に使いたい作業員がいなければさらに30分スキャンしてよいというルールで運用しています。
作業員の皆さんが顧客の期待に応えるため、向上心と集中力を持って仕事に望んでおられる様子がよくわかります。
小倉さん 立ち上げ当初からのメンバーの中には、IT機器の扱いに長けた作業員もいます。全端末共通のジョブ設定もその作業員に任せました。A2サイズ以上の資料の読み込み方法については私も参加して意見を出し合い、試行錯誤を繰り返してきれいに電子化する方法を考えました。その作業員は中心的な立場で周囲に教えてくれており、近くで誰かが困っていたら自分から声をかけ、どうすればよいか一緒に考えたり、「こちらのほうがきれいに読めるよ」と自分の経験を伝えたりしています。すべて現場の中で自然に生まれ、少しずつ根付いてきたものです。
4. 高速で大量にスキャンでき、ネットワーク接続も可能な「fi-8950」は必須だった
文書電子化事業を立ち上げるにあたり、スキャナーとしてPFU製品を選ばれた経緯をお聞かせください。
小倉さん 当時の担当者に確認したところ、大量の紙資料を電子化することになるだろうと容易に想像できたので、短時間で高速かつ大量に電子化できる機器の導入を考えたということです。
担当者は東京の展示会にも足を運び、数社のスキャナーを実際に見て回りました。その際に他社の製品も候補に上がりましたが、1台に対して作業員一人しか接続できない仕様だったため、最終的に候補から外しました。将来的にWDCで20人の社員が業務に携わることを想定していたので、一人1台ではスキャン以外の作業のときに高額の機器が何台も遊んでしまいます。ここはやはり複数人が接続できるスキャナーが必須だろうということで、探した中で唯一、1対多のネットワーク接続ができ、高速で大量にスキャンできる「fi-8950」の採用に至りました。
「fi-7700」と「ScanSnap SV600」については、「fi-8950」でスキャンできない資料が存在することを考慮し、リコージャパン株式会社の営業担当者から候補を挙げてもらって導入を決めました。


「fi-8950」はネットワーク接続、大容量高速スキャンなど、WDCにとって欠かせない条件を備えたスキャナーでした。
実際、すべての機種を見事に活用されていますね。
小倉さん 繰り返しになりますが、実際の業務を通じて徐々に自分たちのものにしていったという流れがあります。その一例がA1サイズなど大きな資料の電子化です。現在は前述の通り「PaperStream Capture」の表裏合成機能を活用していますが、当初は大きな資料や長い図面をすべて「fi-7700」と「ScanSnap SV600」で分割して読み取っていました。「fi-8950」はA3スキャナーですから、それ以上大きなものには対応できないと思っていたためです。
ところがあるとき、表裏合成をすれば2ページのA3を1ページのA2にできるのではないかという意見が作業員から出て、試したところ見事に1ページになりました。それと並行して「『fi-8950』で読み取れる最大の長さが6メートルだから長尺の図面も分割してスキャンできる」といった発見などもあり、スキャナー活用の幅が広がっていきました。今では全員、大判資料や長い図面も臆することなく電子化に取り組んでいます。
「fi-8950」に貼られた、長い図面や大判資料をスキャンするときの大きさの目安。どれも現場での試行錯誤によって導き出された数字です。
「社員が自発的に取り組んでいるのが何よりもうれしいこと」と小倉さん。
スキャナー3機種の性能や使い勝手をどのように評価していますか。
小倉さん 「fi-8950」はメインスキャナーとして少々荒っぽい使い方をしているかもしれませんが、それでもほとんど故障がありません。消耗品のローラーは耐久性が高く、半年に1回程度の交換で済んでいます。
「fi-7700」も非常に使いやすく、目立った故障は今のところありません。「fi-8950」でスキャンできない資料はほとんど「fi-7700」で読み取れるので、かなり活躍しています。
「ScanSnap SV600」については、厚手の冊子資料を電子化するとき、スキャナーの下に台を差し込んで少し高い位置からスキャンすれば、依頼主が指定した読み取りサイズよりも少し大きいサイズで読めることがわかったので、その方法を使うこともあります。一方、室内の照明が入り込んで白飛びしてしまうことがあるので、使っているエリアの照明を消したり、手製のカバーで覆ったりしてスキャンすることがあります。作業員によっては作業机の下に潜り込んで使っていますね。
「PaperStream Capture」についてはいかがでしょうか。
小倉さん 設定できる機能がたくさんありますが、共通して使っている設定は解像度、容量分割、色自動判別、OCR、白紙除去です。この設定値を基本設定として、それ以外は各人が必要と思う設定を追加したジョブを使っています。
容量分割は、データの容量が大きすぎると依頼主がダウンロードできない場合があるという問題を解決するために使い始めた機能で、現在は200MBに設定しています。200MBを超えると自動的にファイルが分割されるので便利です。
本日お話をうかがい、スキャナーとソフトウェアの性能を極限まで引き出した活用の仕方に感銘を受けました。
小倉さん 手探りで始めた文書電子化事業ですが、今ではお客様のご要望に応えられる品質の電子化が可能になりました。それには機器の性能が大きく寄与しているのはもちろんのことですが、同時に社員同士が自然に助け合い、品質を高められるよう努力するようになったことも非常に大きいと考えており、私たちとしてはその点を何よりもうれしく感じています。
当社は特例子会社ですから、社員一人ひとりに得意なことや苦手なことがあります。静かな環境の中で力を発揮できる社員もいれば、人とのコミュニケーションを少々苦手にしている社員もいます。そのような社員たちが自分の経験を仲間へ伝え、困っている仲間がいれば自然に手を差し伸べています。その姿を見るにつれ、この事業は単に紙資料を電子化するだけの仕事ではないと感じます。仕事を通して経験を積み、その経験を仲間へ伝え、また次の仕事へ生かしていく。そうした積み重ねが、この部署の文化になっているのではないかと思います。
文書電子化事業の今後の展望についてお聞かせください。
小倉さん 当面はJR東海が大量に保有する文書の電子化に注力していきますが、将来はJR東海グループの会社や、昭和からの紙資料が残る組織、機関の文書電子化のお手伝いをしたいと考えています。
PFU製品がジェイアール東海ウェルと文書電子化事業の発展に寄与できて幸いです。本日は詳しくお聞かせくださり、ありがとうございました。
※BOXはBox Inc.の商標または登録商標です。
