2024.5.28 |
「スキャナーと解像度」用途に合わせた読み取りとは【スキャナー基礎知識】
スキャナーで紙の書類や写真などを電子化する場合、解像度の設定について悩んだことはありませんか?
高解像度でスキャンしておけばキレイだからいいのでは?と思っている人も多いのではないでしょうか。
本記事では、そんな解像度にまつわる疑問を解消するため、スキャンと解像度の関係を解説。用途に合わせた解像度の目安についてまとめました。
この記事で、こんなことがわかります!
- 解像度は高く設定した方が良いの?
- 用途に合わせた解像度の目安は?
1. 解像度とは
解像度とは、簡単にいうと「画像の密度(画像の細かさ)」のことです。単位は「dpi(dots per inch)」を使用します。
解像度は、1インチの幅にいくつのドットが入るかということなので、密度が高い(数値が大きい)ほど、より精細な画像ということになります。
2. スキャン設定と解像度の関係
スキャンするときの設定画面で目にする「解像度」や「dpi」。ここでは、読み取りと解像度の関係について解説します。
2-1. 解像度は高く設定するべき?
「高解像度=キレイな画像」なので解像度を高くして読み取れば安心か、というと一概にそうとは言い切れません。
解像度を高くすることで、以下のようなデメリットが起こります。
● データ容量が大きくなる。
解像度を高くするとデータ容量も大きくなります。たとえば、解像度を2倍にすると、幅と高さの密度がそれぞれ2倍になるので、データ容量は4倍になります。
データ容量が大きくなると、ファイルストレージなどの保存容量を圧迫したり、データの送受信に時間がかかったりします。
● PCでの表示スピードが遅くなる
保存した画像のデータ容量が大きくなることで、PCでの表示に時間がかかるようになります。PC表示が遅いとストレスを感じたり、業務スピードの低下につながったりします。
● 読み取り速度が遅くなる
解像度を上げるとデータ容量が大きくなるので、スキャン時の読み取りに時間がかかることがあります。大量の書類をまとめてスキャンする場合は、読み取りが遅いと感じるでしょう。
2-2. 読み取り時の解像度設定のポイント
解像度が高いと、きめ細やかな画像になります。だからといって高い解像度で読み取ると前述のようなデメリットがあります。
また、人間の目(肉眼)では、一定の解像度(300~400dpi)を超えると画像の違いを認識できないため、これを大きく超える解像度を設定する必要がないともいわれています。
これらのことから、解像度は用途に応じた適切な値で読み取ることが大切です。
次に、用途に合わせた解像度の目安をご紹介します。読み取り設定時の参考にしてください。
3. 用途に合わせた解像度の目安
自社で図面や契約書などの書類の電子化・ペーパーレス化を進めるとき、スキャン後のデータをどのように活用するかによって適切な解像度が異なります。
用途に合わせた解像度の目安を知っておくと、適切なデータ容量で画像を保存でき、効率的にデータを活用できます。
用 途 | 推奨解像度 | |
---|---|---|
画面表示 | Webで閲覧 | 75~150dpi |
PCで閲覧+印刷 | 300dpi | |
大画面で表示 | 600dpi | |
アーカイブ | デジタルアーカイブ | 400dpi |
写真や図を含む書類 | 300dpi以上 | |
精密さが必要な図面など | 600dpi以上 | |
OCR(文字認識) | 300~400dpi | |
契約書などの法令文書の電子化 | 200dpi以上 |
次にそれぞれの詳細について説明します。
3-1. 画面表示
画像を画面(Web)で確認する用途であれば75~150dpiで十分です。ただし、PDFなどで保存してPCで閲覧するだけでなく印刷して利用する場合は300dpiでスキャンするのがよいです。
また、フルHDや大画面で表示する場合は600dpiでスキャンするのがよいでしょう。
3-2. アーカイブ
デジタルアーカイブとして保存する場合は、一般的に400dpiがよいといわれています。
二値白黒モードで読み取る場合は200dpi以下でも問題ありませんが、写真や図を含む書類をカラーモードで読み取るなら、どうしてもデータ容量を軽くしたい場合を除き、300dpi以上でスキャンすることをお勧めします。
また、図面や絵画のように精密さが求められるものを保存する場合は、600dpi以上でスキャンするのがよいでしょう。
3-3. OCR(文字認識)
紙文書をスキャンして OCRする場合は300~400dpiが適しています。これ以上の解像度でスキャンしても文字の認識率が大きく向上することはありません。
認識率を向上させるには、解像度の設定だけでなく、使用するOCRに適した画像データを作ることもポイントになります。次の記事で詳しく説明していますので、あわせてお読みください。
3-4. 契約書などの法令文書の電子化
領収書や契約書、インボイス(適格請求書)といった国税関係書類などの法令文書を電子化する場合の解像度は、200dpi以上が必要です。
解像度のほか、階調や圧縮強度などe-文書法(電子帳簿保存法)の画質要件を満たす必要があります。対象となる書類や「スキャナ保存」のための要件については、以下を参照してください。
複合機のスキャン機能とスキャン専用機、どちらを使う?
スキャンする機会が少なかったり、スキャン枚数が少量の業務ではオフィスに設置されている複合機のスキャン機能でも十分です。
逆にスキャンする頻度や大量の書類をスキャンする場合はスキャン専用機がおすすめです。
次の記事では、複合機とスキャン専用機の違い、判断のポイント、スキャン専用機を利用するメリットをわかりやすく紹介しています。また、解像度の調節を直感的に行えるUI、向き補正や白紙削除などの便利な画像処理機能を備えたおすすめのスキャン専用機もご紹介しています!
4. まとめ
紙の書類などを電子化する際、単に高解像度でスキャンすると、データ容量が大きくなり読み取りやPC表示のスピードなどに影響がでてしまいます。用途に適した解像度で読み取ることが重要です。この記事が、用途に合った画像の読み取りのお役にたてると幸いです。