700枚のスライドが半日で?紙の山がマニュアルに?──ScanSnap × Manusによる「無理ゲー」攻略、こうじりゅうじ流ワークフロー

あなたの職場には、こんな「無理ゲー」ありませんか?
「来週までに、この1年分の資料、全部まとめておいて」
「とりあえず、これまでの紙の資料、全部スキャンして共有フォルダに入れといて」
DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が叫ばれて久しいですが、多くの職場ではいまだに大量の紙資料や、形式がバラバラで分断されたデジタルデータに振り回されているのが現実ではないでしょうか。そんな「無理ゲー」とも思える煩雑な業務を、驚くべき方法で次々と攻略している人物がいます。
目次

長野県塩尻市で浄土宗善立寺の副住職を務める傍ら、寺院向けのITコンサルティングを行う合同会社DX4TEMPLESの代表でもある、こうじりゅうじ氏です。
https://dx4temples.org/
僧侶でありながら、ITの専門家でもある彼は、まさに現代の「駆け込み寺」のように、様々な組織の悩みを解決しています。
こうじ氏については、noteでも詳しいプロフィールを公開されています。
https://note.com/kojiryuji/n/n44b973170e1e
今回、こうじ氏へのインタビューを通して、彼が実践する「異次元の業務フロー」の秘密に迫りました。その鍵を握るのが、イメージスキャナー「ScanSnap」と、自律型AIエージェント「Manus」の連携です。紙の山が、なぜ"爆速"で価値あるデジタル資産に変わるのか。その驚きのプロセスを、具体的な事例と共にご紹介します。
こうじ氏は、Manusを「秘書というか、優秀な後輩」のような存在として活用しています。膨大な知識を持っていても、それをどう活用すれば良いのか、具体的な指示がなければ動けない。だからこそ、人間が「良い上司」として、的確なゴール設定と指示を与えることが重要だと語ります。この「AIとの協業」という視点が、彼のワークフローの根幹をなしているのです。
【入力の変革】ScanSnapですべてを「デジタル情報」に
業務改革の第一歩は、アナログ情報のデジタル化から始まります。しかし、ただスキャンして画像データとして保存するだけでは、情報の再活用は限定的です。こうじ氏がまず取り組んだのは、あらゆる物理情報を、AIが「意味を理解できる」テキストデータに変換することでした。
4年分の「しがらみ」が詰まった紙の山
こうじ氏が直面した課題の一つに、ある社団法人の「事務局の引き継ぎ」がありました。4年で役員が交代するその団体では、引き継ぎ資料が驚くべきことに「紙」で渡されたのです。

こうじりゅうじさん
「前の事務局が九州だったので、オンラインで引き継ぎ会をやったんです。でも、資料は紙で送られてきて(笑)。パソコンで打ったものをわざわざ紙で印刷して引き継ぐ文化だったんですね。歴代の引き継ぎ書も全部紙で、中には手書きのメモも混じっている。こっちも向こうも思いついた順に話すので、会議の議事録も体系化されていない。これを読み解くだけで1年かかりそうでした」
Word、Excel、そして大量の紙。形式がバラバラで、どこに何が書かれているのか誰も把握できていない。多くの組織が抱える、典型的な「負の遺産」です。このカオスな状況を打破するために、こうじ氏はまずScanSnapを手に取りました。

「ただのスキャン」で終わらせない──OCRで紙が検索可能に
ScanSnapは、ワンプッシュで高速・高品質なスキャンを実現するだけでなく、スキャンした画像から文字情報を自動で認識し、検索可能なテキストデータに変換する「OCR(光学的文字認識)」機能が非常に強力です。
こうじ氏は、山のような紙資料をすべてScanSnapでスキャンし、テキスト情報が付与されたPDFファイルに変換しました。これにより、手書きのメモを含むあらゆる情報が、キーワード検索できる「デジタル情報」に生まれ変わったのです。
ここでのポイントは、情報を活用可能な形に変えることを入り口の段階で実現したことです。これが、次の「処理の変革」でAIの能力を最大限に引き出すための重要な布石となりました。
ScanSnapの最新モデルiX2500を使えば、A4カラー両面原稿を毎分45枚・90面の速さでスキャンできます。数十ページ、数百ページの資料であっても、あっという間にデジタル化が完了します。この「入力」の圧倒的なスピード感が、その後のプロセス全体の効率を劇的に向上させるのです。
【処理の変革】Manusで「情報」を「知性」に
ScanSnapによってAIが扱える形になった膨大なデジタル情報。しかし、情報がただそこにあるだけでは価値を生みません。次に登場するのが、自律型AIエージェント「Manus」です。
Manusは、単に質問に答えるだけでなく、与えられたゴールに向かって自ら計画を立て、タスクを遂行します。こうじ氏は、このManusの「処理能力」を駆使して、整理された情報を価値ある「知性」へと昇華させました。
事例1:混沌から生まれた「生きたマニュアル」
先の事務局引き継ぎの事例では、ScanSnapでスキャンしたPDFファイルと元々デジタルで存在していたWordやExcelのファイルをすべてManusに投入しました。そして、こう指示を出します。
「これらの情報を元に、新任の事務局メンバーが迷わず業務を遂行できるような、体系的なHTML形式の運営マニュアルを作成してください。スマホでも見やすいレスポンシブデザインにすること」

こうじりゅうじさん
「データ量がかなり多かったので、他のAIサービスでは途中で止まってしまったり、うまくいかなかったりしたんです。でも、Manusは長い日本語のデータもギブアップせずに最後まで処理してくれました。驚いたのは、ただ情報をまとめるだけでなく、CSSもいい感じに調整して、本当に見やすいスマホ対応のマニュアルを一発で生成してくれたことです」

こうして、誰もがいつでもどこでも運営マニュアルにアクセスできる、検索可能な「生きた運営マニュアル」が完成しました。紙の山という混沌から、わずかな時間で実用的な知性が生まれた瞬間です。
この運営マニュアルはHTMLファイルとしてDropboxにアップロードされ、URLを知っている関係者はいつでもアクセスできるようになっています。さらに、新しい情報が追加されれば、マニュアルをどんどん進化させていくことも可能です。
事例2:700分の講義動画コンテンツを"爆速"で創造
Manusの処理能力は、情報の整理・再構築だけにとどまりません。既存の情報から、全く新しいコンテンツを創造することも可能です。
こうじ氏は、2025年春から始まる大正大学の社会人向けリカレント教育講座「SHODAIリカレント」で、『デジタル社会と現代対応』という寺院向け教材の講義を担当することになりました。その数、なんと全35回、合計700分にも及びます。


こうじりゅうじさん
「最初はどうしようかと思いましたよ。手作業なら1枚10分はかかるだろうから、7000分(約117時間)の作業、つまり実質3か月かかる作業になる。これを3ヶ月の納期で作らなきゃいけないから、毎日仕事しなきゃ間に合わないなって。でも、Manusに『私の過去のブログ記事を全部読み込んで、仏教関係者向けのITリテラシー講座の構成案を35個作って。それぞれ20枚のスライドで構成して、各スライドに合ったイラストも生成して』とお願いしたんです」
元になったのは、こうじ氏の1本2000文字程度のブログ記事が40本、合計約8万文字という膨大なテキストデータです。これを自分で読み解いて要点だけを抜き出すのは、人間にはほぼ不可能でしょう。
結果、Manusは膨大な過去記事からテーマを抽出し、35回分の講座構成を提案。さらに、スライドのテキスト案と、内容に沿ったイラスト画像をセットにして、20枚ずつのZIPファイルとして一括で出力しました。1セットの処理にかかる時間は約10分。人間が行ったのは、そのテキストと画像をパワーポイントに貼り付けるという「分業」作業だけです。この途方もないタスクが、わずか半日で完了したと言います。

こうじりゅうじさん
「Manusのすごいところは、バッチ処理ができること。スライド20枚分のテキストとイラストを1セットにして、それを35回繰り返す、というような指示ができるんです。他のサービスだと、一度に大量の処理をさせようとするとエラーになったり、そもそも受け付けてくれなかったりする。Manusは『次に進みますか?』と確認しながらタスクを引き継いでくれる。この感覚が、まさに優秀な部下を持っているようで、本当に助かります」
一度指示を出せば、あとはAIが自律的に作業を進めてくれる。人間はその間に別の仕事に集中できる。この「人間とAIの分業」こそが、"爆速"のコンテンツ生成を実現する鍵なのです。

Manusと作成した講義スライドの例
この講義については、こうじ氏のX(旧Twitter)でも告知されています。https://x.com/KOJIRYUJI1/status/1991822365492453378
【出力の変革】最適な形でアウトプットする柔軟性
優れた業務フローの最終段階は、目的に応じて最適な形で「出力(アウトプット)」することです。Manusは、その柔軟性においても真価を発揮します。
Webサイトからスライドまで、用途に応じた多様な出力
先の事務局マニュアルの事例では、誰もがブラウザで閲覧できる「HTMLファイル」として出力されました。講義動画作成の事例では、スライド作成作業を効率化する「テキストと画像のZIPファイル」という形式でした。
さらに、こうじ氏はWebサイト制作の評価にもManusを活用しています。

こうじりゅうじさん
「他のAIはコードは見てくれるけど、サイトで使われている写真が良いかどうかまでは評価してくれない。でもManusは画像分析もできるので、つまり"目を持っている"状態なんですね。デザインや写真のクオリティまで含めて『競合のこのサイトは、こういう写真を使っていて良いですね』と、人間が見るのと同じように評価してくれるんです。これは本当に信頼できます」
このように、Manusは処理結果を、人間が判断しやすい「評価レポート」として出力することも、そのまま成果物として使える「HTML」や「ZIPファイル」として出力することも可能です。この出力の柔軟性が、業務の最終的なゴール達成を強力にサポートします。
さらに、こうじ氏はManusのWebブラウジング機能も高く評価しています。

こうじりゅうじさん
「例えば、塩尻から博多までの交通手段って、羽田経由とか名古屋経由とか、実はたくさんあるんです。なので、AIに『塩尻から博多まで、一番安く行ける交通手段を調べて』とお願いすると、新幹線、飛行機、高速バスなど、あらゆる選択肢を比較検討して、最適なルートを提案してくれる。しかも、その思考プロセスを全部見せてくれるので、なぜその結論に至ったのかが分かる。この透明性の高さが、AIを信頼して仕事を任せる上で非常に重要です」
単に結果を提示するだけでなく、その過程を可視化してくれる。だからこそ、人間は安心してAIの提案を受け入れ、次のアクションに移ることができるのです。
おわりに:あなたの仕事も「入力→処理→出力」で再定義できる
今回ご紹介した、こうじりゅうじ氏の「異次元の業務フロー」。それは、決して魔法ではありません。
- 入力の変革:ScanSnapであらゆるアナログ情報をAIが読める「デジタル情報」に変える。
- 処理の変革:Manusで膨大な情報を整理・再構築・創造し、価値ある「知性」に変える。
- 出力の変革:目的に応じた最適な形でアウトプットし、業務を完結させる。
この「入力→処理→出力」というフレームワークは、業種や組織の規模を問わず、多くの職場で応用できるものです。あなたの目の前にある「無理ゲー」も、この視点で再定義してみることで、意外な突破口が見つかるかもしれません。
こうじ氏は、インタビューの最後にこう語ってくれました。

こうじりゅうじさん
「ChatGPTのチャット画面に張り付いて相談とか質問している人には、Manusは向かないかもしれません。でも、Claudeなどの他のAIも使ってみて、AIにも得手不得手があると理解した人には、Manusは最高のパートナーになれると思います。AIに仕事をさせる。その感覚が分かる人にこそ、使ってほしいですね」
AIは道具でも、単なるアシスタントでもありません。それは、あなたの「同僚」であり、「部下」であり、時には「相談相手」でもある存在です。そして、その能力を最大限に引き出すためには、人間側が「良い上司」として、明確なゴールと的確な指示を与えるスキルが求められるのです。
まずは、身の回りの紙の山をScanSnapでスキャンしてみることから始めてみてはいかがでしょうか。そして、そのデータをManusに投入し、「この情報から、こういう成果物を作ってほしい」と指示を出してみる。その一歩が、あなたの職場に「異次元の業務改革」をもたらすかもしれません。
この記事を書いた人

2002年メディア芸術祭特別賞、第5回Web クリエーションアウォードl人ユニット賞受賞。著書も多数。2011 年9月より内閣広報室・IT広報アドバイザー。同年アルファブロガー・アワード受賞。 ネット発のカバンデザインも好調。ひらくPCバッグで2016年グッドデザイン賞受賞。
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