眠っていた紙資料を「すぐ取り出せるデータ」へ!ScanSnap×SideBooksで書庫探しを「数時間→数分」に短縮した自治体DX【福島県磐梯町】

働き方改革やDXなどで多くの自治体がデジタル化を進める一方で、過去の資料が紙のまま書庫に大量に残り、それらの資料を探したり利用したりするには時間がかかる――。
こうした課題は多くの自治体に共通するのではないでしょうか?
福島県のシンボル「磐梯山」のふもとに位置する福島県磐梯町でも、「SideBooks」や「SideBooks広報の本棚」(※1)を活用して役場内のデジタルデータの蓄積と活用を推進しています。

磐梯町の公式サイトで公開されているSideBooks「広報の本棚」(電子回覧板)
https://www.town.bandai.fukushima.jp/index2.html
この取り組みによって、過去5年分の情報はデータ化して保管・利用できるようになっている反面、SideBooksの導入以前(5年以上前)の資料はまだ紙の状態のまま、役場内の書庫に大量に眠っています。その資料を参照・活用するためには、わざわざ役場の書庫まで出向いて、紙の資料を一つひとつ手作業で探さなければならない、という課題が残っていました。
そこで、磐梯町では、紙のまま保管されていた過去の議案資料(3年分)をScanSnapでPDF化し、SideBooksのクラウド本棚へ登録することに!
「探すのに苦労する紙」から「すぐに取り出せるデータ」へ――その取り組みを取材しました。
※1 「SideBooks広報の本棚」とは、電子化(データ化)した文書をクラウド上の電子本棚でセキュアに管理し、登録されたメンバーで共有するシステムです。パソコンからアップロードした文書ファイルは、タブレットやスマートフォンなど様々なデバイスから閲覧できます。
目次
磐梯町におけるSideBooks「書庫(本棚)」の役割と使い方
――今回、ScanSnapを導入いただきましたが、ScanSnap導入後の様子を教えてください。
磐梯町では、磐梯町の電子回覧板(SideBooks広報の本棚)で広報誌などを公開していますが、ScanSnapで取り込んだデータで新たに公開されたものはありますか?
金子さん:磐梯町では隔週で「電子回覧板」を出していますけども、基本的にそこで外部に公開するものは、各方面から「公開してほしい」とお声かけいただいているもののみです。
ですので、今回、ScanSnapでスキャンしたデータについては、SideBooksのクラウド本棚に登録しましたが、まだ外部に公開しているものはあまりない状況ですね。
――なるほど。SideBooksのクラウド本棚には、外部公開しない資料も登録・管理されているんですね。
SideBooksには、本棚の用途(目的)や仕組み(機能)が実はいろいろあるとのことで、例えば、職員と関係者だけにアーカイブ目的で内部共有する本棚に資料を登録する使い方もあれば(SideBooks)、先ほどからのお話にあるように住民などの外部に公開するための本棚もあるとのこと。(SideBooks広報の本棚)
磐梯町では、町の広報紙などを「SideBooks広報の本棚」に「電子回覧板」として登録して、町民の皆様に公開している他、役場内の業務で利用するデータも登録している状況だとか。
業務の効率化を阻む「SideBooks導入以前の紙の過去資料」
――今回、ScanSnapで紙のまま残る過去の資料をデータ化されたとのことですが、役場内にまだ紙の資料は多く残っているのでしょうか?
金子さん:そうですね。今回のScanSnapの試験導入でデータ化できたのが過去3年分(SideBooks導入前:6~8年前の資料)だけなので、それ以前の資料がまだたくさん残っていますね。

役場内の書庫にある大量の紙資料の一部。こんな棚が他にもたくさんあります。
――SideBooksのクラウド本棚は、5年前から利用されているんでしょうか?
長(おさ)さん:東京インタープレイさんのSideBooksを導入して今年でもう6年目になります。
SideBooksに登録されている分はもうすでにデータ化されているので、SideBooksの導入後は基本的にデータ化した資料はどんどんSideBooksに蓄積されています。
ただ、SideBooks導入前(5年以上前)の資料は当然ながらデータ化されておらず、紙で保管されていました。なので、その資料が見たければ、いちいち役場内の書庫に行って自分の目でファイルを探し、紙をめくって手作業で探さないといけませんでした。

役場内の書庫で目的の資料を探す町民課 課長の長(おさ)さん
引き継ぎなどで担当が変わると以前の資料を探すのがとても大変だとか
――役場内の書庫に出向かねばならず、テレワークなどの障害にもなりますね。書庫で目的の紙を自分の足や目で探すのは、やっぱり時間がかかりますか?
金子さん:データ化されていればSideBooksのクラウド本棚に入っている資料データを開いて、どこからでも検索をかけるだけなので、ものの数分で検索が終わります。でも、紙だとそうはいかない。
実際に書庫まで出向いて自分の足や手でファイルや資料を探さないといけないし、出向いても簡単に見つからず、数時間もかかったりすることもありますね。
――役場内には、まだまだいろいろな紙資料が残っているんでしょうか?
金子さん:私が所属している「行政経営課」が先日フリーアドレスになりまして、そのタイミングで紙資料の整理を行いました。なので、私の部署では不要な紙資料はない、というところまではできているのかなと思ってはいるんです。
でも、それ以外の町民課とか建設課とか振興課などについては、不要な紙かどうか、資料の整理すら全くできていないというか。(笑)
特に、設計(図面)とかその辺りが絡んでくると、かなり紙文化になってしまいますね。

窓口業務の多い町民課、図面の多い建設課などは、資料は紙が中心だとか
ScanSnapで過去3年分をデータ化――その効果
まずは議案資料から~ScanSnapによるデータ化作業の進め方~
――今回、主にどういった資料をスキャンされたのでしょうか?
金子さん:ScanSnapでスキャンした内容としましては、SideBooks導入前の過去の議案資料ですね。紙だけで残っている過去の資料をデータ化しました。
――実際にはどのくらいの量があったんでしょうか?
金子さん:過去までさかのぼると本当にずっと何年間分もあるんですけど、今回、取り急ぎ対応したものとしてはSideBooks導入前の6年前から8年前の資料で、過去3年分くらいの資料ですね。ファイルにすると3冊分ほどです。

今回ScanSnapでデータ化した3年分の議案資料がある棚
――実際のデータ化作業は、どういった作業体制で、どのくらいの期間で実施できたのですか?
金子さん:体制といたしましては町民課の課長である長さんにメインで入っていただいて、ずっと長さんの方で対応していただきました。
長さん:私一人で作業して、3年間分の議案資料をScanSnapでデータ化するのに2~3週間程度ですかね。
ただ、この作業だけにかかりきりというわけではありません。
というのも、ちょうど予算を作る時期だったりもしたので、他の作業も兼務しながら空いた時間を見つけて2~3週間ぐらいで終わりました。

試験導入されているScanSnap iX2500(左)とSV600(右)は、
役場内のフリースペースに設置されていました
――ずっと、お一人でコツコツスキャンされたんですか?(笑)
長さん:そうなんです。(笑)
でも、私、実は、新しいものを使ってみたいという気持ちもあって。(笑)結構楽しく作業できました。
何より、スキャン開始のスタートボタンを押すと、紙がバーっと吸い込まれて処理されていくのを見ているのが結構気持ちいいんですよね。(笑)
――資料をデータ化したことで、その後、何か変化はありましたか?
長さん:当たり前のことなんですけど、SideBooksで検索をかけると今まで過去5年分しか検索できなかったのが、今は8年分検索できるようになりました。ほんの少しの差なのですが、これがとても便利で非常に助かっています。できれば取り急ぎ、10年分ぐらいはデータ化しておきたいですね。
「一人でも回せた」データ化作業――ScanSnap iX2500の実力
――紙の資料と言ってもいろんなものがあると思います。ホッチキス止めになっているものや、冊子になっているものなどもあると思いますし。その中で、ScanSnap iX2500とScanSnap SV600について、どう使い分けしたのでしょうか?
長さん:実は、今回メインで使わせていただいたのはScanSnap iX2500ですね。A4の資料が多かったのもあり、ほぼそちらを使わせていただきました。

今回の作業の主役。ScanSnap iX2500
――資料はホッチキス止めされてなかったんですか?
長さん:されていました!(笑)
ホッチキスは、手で1つひとつ外していかないといけないので、そこはちょっと大変でした。
――ScanSnapを使ってみてどうでしたか?
長さん:ScanSnap iX2500については、紙のセットの仕方(紙の裏表)について最初少し戸惑いました。でも、すぐにわかったし、その後は特に困ることもなくサクサク進められました。
何より、スキャンの速度がすごく早いですし、白紙部分を自動で除いてデータ化してくれたり、上下逆さまになっていてもすべて修正されてデータ化されたりするので、いろいろすごく便利でした。
他に、文字認識(OCR)のスピードもとても速いし、非常に使い勝手がいいなって思いました。
――やり直しが必要になるようなトラブルは?
長さん:全然ないですね。あれだけやりましたけど、一度紙詰まりがあったかな?ぐらいで、ほぼ問題なくできました。
ScanSnap SV600の「非破壊スキャン」の利用は?
――ScanSnap SV600は使われましたか?
長さん:はい。少し(数回)使わせていただきましたが、どうしても本のスタイルのままスキャンするので、スキャンしたデータが波打ってしまったりするんですよね。
あと、ページを手動で1枚ずつめくっていかなければならないので、200ページとかになるとちょっと大変でした。なので、今回の作業ではあまり使わず、ほぼScanSnap iX2500を使っていました。
スキャン後はどう管理する?SideBooksへの登録フロー
――実際にScanSnapでスキャンしたデータはどう保管されているんですか?
長さん:デフォルトでScanSnapが接続されているPCの方にまず保存される状態になっています。
――その後はどうされていますか?
長さん:スキャンすると自動でScanSnapがネーミング(ファイル名)してくれて(自動ファイル名生成機能)、ちゃんとそれっぽい適切なファイル名をある程度つけてくれますよね。
データ化したPDFファイル名には日付を必ず入れたいので、日付などがない場合は、そのときに日付などの少し必要な修正を入れたりします。
ファイル名を修正後は、そのファイルをそのままSideBooksの本棚へドラッグ&ドロップして保存する感じですね。
――SideBooksに保存するときのファイル名の付け方やフォルダー構成など、新たにルールは決めたりしましたか?
長さん:その辺りのルールは、すでにSideBooksの導入時に作ってあったので、我々が今使っているシステムのルールに基づいてやりました。
例えば、基本的に年度ごとに紙資料のフラットファイルが分かれているので、SideBooksの書庫の中に、そのフラットファイルに対応するフォルダーを作ります。
例えば、議会資料であれば「定例会」などの名称のフォルダーを作って、その下にさらに年度ごとのフォルダーを作成し、スキャンした議案資料を保存していきます。
やっぱりファイル名には日付がないと分からないので、何年何月に開催した議案の第何号ですよ、ってことがわかる感じでつけていますね。

ScanSnapでデータ化したデータ(PDF)のSideBooksへの登録フロー
――ScanSnapでスキャンしたときのOCR結果(自動ファイル名)は、いかがでしたか?
長さん:ほぼ修正することはないです。なので、本当にすごいなあと。使ってみてとても良かったですね。
データ化しても紙が「減らない?」――最後に残るのは「規程(ルール)」の課題
――スキャンした後の原本って、どういう扱いになっていますか?
長さん:実は、紙の原本はスキャンしてもまだ廃棄できないので、もう一回ファイルリングし直して保管しています。(笑)
――やはり原本は簡単には破棄できないのでしょうか?
長さん:書庫の「文書管理規程」というのがありまして。
その規程では、例えば議案ですと、紙の原本を3部コピーして書庫でそのコピーを管理して保管しておかなきゃいけない、といったような様々な規程があるんですね。なので、今は無理なんです。
今後、関連する規程なども改正し、SideBooksに登録するデータは「正本」として扱って管理したいと思っています。SideBooksに登録したデータを「正本」として管理し、その正本があれば、紙は廃棄できる、というルールにしたい。ルールの改正まで出来れば、紙は一気に捨てられるかなとは思っているんです。
――文書管理規程まで直すとなると大変そうですね。いろいろ作業も増えそうです。
長さん:直そうと思えばできるんですけど、具体的にファイルの綴り方を1つひとつ決めていったり、細かい点で個別に判断していったり、という部分が多く、やろうとすると結構なボリューム(工数)になってくると思うんです。
普段の業務もある中、それをいつ、誰がやるんだろうと(笑)。

ScanSnapの使い方について改めて説明を受ける金子さん(右)と神林(かんばやし)さん(左)
今後の働き方改革(テレワーク/窓口改革/AI活用)に向けて「データ化は前提条件」
――これから計画的にScanSnapを使って資料などをデータ化していく計画はありますか?
金子さん:はっきりした計画までは今はまだ立てられてはいないですけども。
でも、今後のペーパーレス化とかテレワークとか、働き方改革やDXが進んできている中で、電子決裁を役場に来なくても完結できる業務っていうのを増やしていきたいっていうのはあります。
なので、やっぱり紙の資料をデータ化していくというのは今後も必要になっていくかなとは思いますね。
――町民課の現場(窓口)ではどうでしょう。渡部さんは異動されたばかりと伺いました。
渡部さん(町民課):町民課はやはり紙文化がすごいんですよ。申請はほぼ紙ですし。
そこで、今回導入させていただいたScanSnapを利用することで、少しでも紙をなくしていけるんじゃないかという期待があって。「町民課でもぜひ評価させてください!」という形で手をあげて、無理をいって今回、町民課にScanSnapを一台置かせていただきました。(笑)
今後の窓口業務の改善や改革にScanSnapがうまく利用できれば、町民の方にもそのメリットを還元できるサービスが提供できるんじゃないか、と期待しています。

働き方改革だけではなく住民サービスの向上も目指し、町民課でもScanSnapを試験導入中。
――データ化したデータのAI活用の話も出てきていますが、その辺りはどう考えていますか?
長さん:AIを利用するためにも、まず紙の情報をデータ化しないといけないですしね。
そのためにもScanSnapを使ったデータ化は必要になります。
磐梯町では、Microsoft 365が入っていてCopilotが使えます。ただ、そこでは個人情報などを扱うことはできません。それで、Copilotで75%ぐらいの情報を収集してから、SideBooksで検索してアーカイブされているデータをうまく利用することで、正しい情報を効率よく引き出すことができるんです。
過去のデータをSideBooksで補完して、そこから100%の資料を作るっていうような作り方をしていますね。
――なるほど。AIの利用についても早速、取り組みが始まっているんですね。
皆さん、本日はお忙しい中、取材へのご協力、誠にありがとうございました!
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この記事を書いた人

人口は約3,300人(2022年6月現在)。福島県会津盆地北東部に位置し、町土の約70%は森林で占められます。山々の南山麓を扇状に広がる丘陵地や山麓の湧水を水源とする一級河川の大谷川に沿って、農用地や居住地を構成している農山村地帯で山紫水明な地域です。
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