調べものはAIで変わる?ScanSnapとGemini Notebookで「自分専用サポート係」を作って、「A3スキャンの方法」を聞いてみた

みなさん、ScanSnapの「たまにしか使わない機能」ってどうしていますか?
ScanSnapは日常的に使う分には、ボタンをポンと押すだけでスキャンできる素晴らしい道具です。でも、いざ「A3サイズの書類をスキャンしたい」「厚手のカードを読み取りたい」といったイレギュラーな事態が発生すると、途端に手が止まってしまうことはありませんか?
「あれ、どうやるんだっけ?」「前にも調べた気がするけど忘れた」
そして、取扱説明書のPDFを開いて検索したり、Webサイトでサポート情報を探し回ったり......。これでは、せっかくのScanSnapのスピード感が台無しです。
今回は、そんな「たまにしか使わない機能」へのアクセスを劇的に速くする、AIを使った「環境整備」のお話をします。使うのは、Googleが提供している「Gemini Notebook」(旧NotebookLM)です。
目次
Gemini NotebookにScanSnapの「すべて」を覚えさせる
Gemini Notebook(旧NotebookLM)は、自分が用意した資料(ソース)だけを元に作成したノートブックで回答してくれるAIです。ChatGPTやGeminiのような汎用的なAIとは違い、関係のない情報を学習データから引っ張ってきて間違った回答(ハルシネーション)をするリスクが非常に低いのが特徴です。
今回は、このGemini NotebookにScanSnapの取扱説明書や関連資料をすべて読み込ませて、「自分専用のScanSnapサポート係」を作ってみました。お見せするのは、私が実際に使っているノートブックです。
作り方はとても簡単です。
まず、「Gemini Notebook」へアクセスし、Gemini Notebookで新しいノートブックを作成します。その後で、Gemini Notebookのソースとなる情報やデータをアップロードします。
以下は、[+ソースを追加]を選択すると表示されるポップアップウィンドウです。

「+ソースを追加」をクリックすると、PDF・ウェブサイト・Googleドライブ・テキストの4種類の方法でソースを追加できる。最大300個まで登録可能
このポップアップウィンドウから、ノートブックにScanSnapの取扱説明書(PDF)や、ヘルプページのURLをどんどん追加していくだけです。
今回は、各機種の操作ガイドだけでなく、「スキャン技術と用語」や「ネットワーク技術」といった周辺知識まで、合計22個のソースを登録してみました。
準備はこれだけです。では、さっそく質問してみましょう。
実演:「A3でスキャンしたいんだけど、どれでできるの?」
まずは、普段やることはあまりない「A3スキャン」について聞いてみます。

Gemini Notebookは、見事に答えてくれました。
ScanSnap iX2500の場合は「A3キャリアシートを使用する方法」と「原稿を半分に折って直接スキャンする方法(手差し)」の2つがあること、ScanSnap iX1300の場合は「リターンスキャン」を使うことなど、機種ごとの対応状況と具体的なスキャン方法を簡潔にまとめてくれています。
取扱説明書のPDFを自力で検索して、各機種のページを行ったり来たりするのに比べたら、圧倒的なスピードです。
他にもこんなことを聞いてみた
他にも、ScanSnapを使う上で「ちょっと困ったな」「どうするんだっけ?」となりがちな質問をいくつか投げてみました。
ScanSnapの設定方法や活用方法

ScanSnap iX1300で名刺をスキャンする際の設定について聞いてみました。
具体的な設定方法だけでなく、「以前、新入社員の方に向けて『名刺・レシートのスキャンとデータ化 実践マニュアル』というレポート資料を作成しております」と、ノートブック内に過去に作成した関連資料があることまで教えてくれました。
これは「自分用のAI」ならではの回答です。

領収書の整理方法については、専用の「名刺・レシートガイド」の活用や自動テキスト認識(OCR)に加えて、電子帳簿保存法(e-文書法)に対応するための解像度設定(200dpi以上)まで答えてくれました。実務で即使えるレベルの情報だと思います。
機種選びの相談

「ScanSnap iX1300とScanSnap iX2500、どっちが自分に向いている?」という相談にも、それぞれの強みを比較して的確に答えてくれます。さらに「先日ご案内した店舗向けの提案書でも触れたように」と、ここでも過去の文脈を踏まえた回答をしてくれています。
トラブル解決

Wi-Fi接続がうまくいかないときの確認手順は、本体の電源からルーターの設定、ソフトウェアの干渉まで、4段階で非常に整理された回答が返ってきました。トラブルシューティングの初動として完璧です。
AIが「正直に答える」という信頼感
一方で、こんな「少しズレた質問」もしてみました。

「ScanSnap Homeのデータをバックアップする方法は?」という質問です。
ScanSnap Homeは基本的にデータの受け渡しや管理をするソフトなので、データ自体のバックアップのことを聞くのは、基本は筋違いです。
するとGemini Notebookは、「具体的な手順は記載されていませんでした」と正直に答えた上で、PDFデータのバックアップ機能についての情報を提示し、さらに「スキャンしたデータのバックアップは?」という適切な問い直しの提案まで出してくれました。
わからないことは「わからない(資料にない)」と答え、関連情報を提示してくれる。この「忖度しない」姿勢こそが、業務でAIを使う上での大きな信頼感につながります。
「AIの使い方がうまい」の正体は「環境整備」の差
いかがだったでしょうか。
「AIの使い方がうまい人」と「そうでない人」の差は、実はプロンプト(指示文)のテクニックの差ではありません。「自分のデータと自分のAIを育てておく」という環境整備の差なのです。
ScanSnapで紙をデジタル化して、整理して、Gemini NotebookのようなAIに読み込ませて自分用の環境を整備しておく。そうやって「自分用のAI」を育てておけば、今回のように必要なときに、必要な形で(時には動画やスライドの素材として)AIが私たちのアウトプットを強力にサポートしてくれます。
ここではScanSnapの取扱説明書を題材にしましたが、例えば自宅で使っている電気製品などの取説を全部ノートブックとして作成しておけば、我が家専用の電気製品サポート係の出来上がりです。
ツールを使うことが目的になってはいけません。大切なのは、日々のデジタル化の積み重ねが、いざという時の「爆速の問題解決」につながるという体験です。
みなさんもぜひ、ScanSnapの取扱説明書や自分の業務マニュアル(※)をGemini Notebookに読み込ませて、「自分専用のサポート係」を育ててみてください。
※ 業務マニュアルや顧客情報など、機密情報・個人情報を含む資料をAIサービスに取り込む場合は、社内規程・契約上の守秘義務・サービスのデータ取り扱い方針を必ず確認してください。
PFUサポートチームからの見解と補足
今回、Gemini Notebookが生成した回答内容について、PFUのメーカーサポートチームにも確認していただきました。その結果、他のお客様からの質問に対しても回答できるレベルであり、「ほぼほぼ正解」とのお墨付きをいただきました。
ただし、AIを活用する上で、いくつか重要な注意点と補足もいただいています。
情報の鮮度とハルシネーションの懸念
今回の回答はあくまで「2026年7月16日現在」のものであり、提供した情報の範囲内に限ったものです。AIである以上、参照データを制限してもハルシネーション(もっともらしい嘘)が発生する可能性はゼロではありません。
今回は正解でも次回も正解である保証はないため、最終的な判断は人間が行う必要があります。
公式の「サポートAIナビ」との使い分け
PFUでは、公式のAIチャットボットとして「サポートAIナビ for ScanSnap」(https://www.pfu.ricoh.com/scansnap/support/chat/)を提供しています。これはメーカーが提供する「全お客様向け」のサービスです。

サポートAIナビ for ScanSnap
一方で、今回作成したGemini Notebookのノートブックは、自分の個人的なデータも参照できる「より個人向け(かゆいところに手が届く)」のAIです。ITスキルや用途に合わせて、両者を使い分けるのがおすすめです。
プロ目線の技術的な補足
AIの回答は「ほぼ正解」でしたが、メーカーサポートの目線から見ると、さらに以下のような案内ができると完璧だったとのことです。
- A3スキャンについて:
ScanSnap iX100やScanSnap iX110は、別売のキャリアシートを使わなくてもA3スキャンが可能です。さらに、ScanSnap Home V4.0の機能改善により、強制合成もできるようになりました。 - 名刺のスキャンについて:
ScanSnap iX1300の場合は、ヘルプで案内されている「リターンスキャン」についての言及もあるとより親切でした。 - データのバックアップについて:
PDF形式のバックアップだけでなく、メタ情報も含む「コンテンツのエクスポート」に関するヘルプ記事がヒットするのが理想的でした。
プロの目線から見ても「ほぼほぼ正解」。それが、今回のGemini Notebookの回答に対する評価です。もちろん、まだ拾いきれていない情報もあります。でも、それは欠点ではなく、「これから育てていく余地」です。
自分用のノートブックは、使えば使うほど、追加すればするほど、自分の仕事に寄り添ったものになっていきます。この「ScanSnapで育てる自分用AI」のシリーズでは、そのプロセスをこれからも一緒に続けていきます。

ScanSnap iX2500
| 毎分45枚の両面高速スキャンで、驚くほどスピーディーに電子化。静電容量式タッチパネルによる直感操作で、誰でも簡単にスマートに使えます。原稿サイズ、色や両面・片面を自動的に判別。Wi-Fi対応で各種クラウドサービスへのデータ転送も簡単に行えます。 |
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ScanSnap iX1300
| 毎分30枚(A4カラー/300dpi)の高速読み取りが可能な「Uターンスキャン」と、一般的な紙からA3までの大きな書類、厚手の原稿等の読み取りも可能な「リターンスキャン」2つの読み取り方法を備え、仕事環境や家庭に発生する多様な書類をすばやく電子化します。 |
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この記事を書いた人

2002年メディア芸術祭特別賞、第5回Web クリエーションアウォードl人ユニット賞受賞。著書も多数。2011 年9月より内閣広報室・IT広報アドバイザー。同年アルファブロガー・アワード受賞。 ネット発のカバンデザインも好調。ひらくPCバッグで2016年グッドデザイン賞受賞。
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