ScanSnap

「PDFの日」33周年記念イベントに見る、紙・PDF・AIをつなぐ最新ワークフロー

「PDFの日」33周年記念イベントに見る、紙・PDF・AIをつなぐ最新ワークフロー

6月15日は「PDFの日」。1993年にPDFの生みの親であるアドビがPDF閲覧・編集ソフト「Acrobat」を発売してから、今年で33周年を迎えました。
これを記念し、アドビとPFUの共催で開催されたプレスイベント「紙からPDF、そしてAIへ」では、AI時代における文書活用のあり方と、その中核を担うScanSnapとAcrobat AIアシスタントの実践的な連携が紹介されました。

生成AIの普及によって「紙をどう電子化し、どうAIに活用させるか」は、企業だけでなく個人事業主や家庭にとっても身近な課題になりつつあります。

本稿ではイベントの内容をもとに、その解決の道筋をレポートします。

目次

    書類も、思い出も、自由自在。整理に悩まず、活用が進むScanSnap

    PDFの歴史――PDFとは「固めるファイル」ではなく「情報コンテナ」

    まず、アドビの製品マーケティング本部 プリンシパルプロダクトマーケティングマネージャー 立川太郎氏が登壇し、PDFやAcrobatの歴史について語りました。

    アドビ 立川太郎氏

    アドビ 製品マーケティング本部 プリンシパルプロダクトマーケティングマネージャー 立川太郎氏

    PDFは、アドビ共同創設者ジョン・ワーノック氏の構想から生まれた文書フォーマットです。
    1990年代当時、OSやデバイスによって文書の見え方が変わるという課題を解決するために開発され、1993年にAcrobat 1.0が登場しました。

    しかし現在でもPDFは「編集できない、固めるためのフォーマット」と認識されることが少なくありません。
    立川氏は、PDFの本質は文書を固めることではなく、目に見えるテキストや画像に加えて、フォームデータや作成日などのメタデータ、セキュリティ情報といった様々な情報を複数のレイヤーに格納し、一つにまとめて持ち運べる「情報コンテナ」にあると説明しました。

    PDFは情報コンテナ

    PDFは、様々な情報を複数のレイヤーに格納する「情報コンテナ」

    PDFがAI時代に改めて注目されている理由は、見た目だけでなくテキストやメタデータを保持できる点にあります。
    スマートフォンで撮影した文書画像は単なる画像ですが、OCR処理(光学文字認識)されたPDFは文字検索やコピーが可能で、AIも内容を理解しやすくなります。

    立川氏は「見た目が同じでも、AI活用できるかどうかは大きく異なる」と説明しました。

    文書画像と正しく作られたPDFの違い

    単純な文書画像は、文字も線も全て"絵"で、テキストデータは含まれない。一方、正しく作られたPDFは、テキストデータを含む色々なデータを持ち、AIが活用できる。

    AIが「PDFを読む」時代へ

    アドビ 立川氏は、昨今、PDFの使われ方そのものが変化していると指摘しました。
    これまでPDFは「人が読むもの」でしたが、生成AIの普及により、今後は「AIが読み、業務に活用するもの」としての役割が急速に大きくなっています。

    ここで重要になるのが「RAG(検索拡張生成)」と呼ばれる仕組みです。
    一般的な生成AIは社内資料や契約書などの情報を持っていませんが、RAGを使うことでAIに自社の情報という"図書館"を与え、必要な情報を検索・回答させることができます。

    さらに、その図書館から情報を瞬時に探し出す"目録"にあたるのが検索インデックスです。

    RAGの土台にあるのが検索インデックス

    RAGの土台にあるのが検索インデックス。キーワードに関する情報を、瞬時に取り出せる。

    ただし、この検索インデックスに情報が正しく載るためには、PDFの中にテキストデータが存在している必要があります。

    「最近のAIは画像内の文字も読めるのだから、スキャン画像のままでもよいのでは」という質問もよく寄せられるそうですが、一件ずつの読み取りはできても、何十万件という大量の文書から瞬時に必要な情報を探し出す業務基盤としては不十分だといいます。

    つまり紙文書をAI活用可能な情報資産に変えるためには、OCRによってテキスト化された、正しいPDFを作成することが不可欠だといえます。

    紙の書類も、OCRで「検索できるPDF」に

    テキスト情報を持つPDFを作成することで「検索できる・AIが使える文書」になる

    ScanSnapとPDF、25年の歩み

    続いてPFUのドキュメントイメージング事業本部グローバル戦略統括部長 轡田大介が登壇し、ドキュメントスキャナー市場で世界シェアNo.1※(北米42%、国内74%、欧州33%)を誇るPFUの立ち位置を紹介したうえで、ScanSnapとPDFの深い関係を振り返りました。

    ※ ドキュメントスキャナーを対象とする。日本・北米はKEYPOINT INTELLIGENCE社 (InfoTrends)により集計(2024年実績)。 ドキュメントスキャナー集計よりMobile/Microを除く 6セグメントの合計マーケットシェア(主に8ppm以上のドキュメントスキャナー全体)。欧州はinfoSource社(2024年実績)の集計に基づく、西欧地区(トルコとギリシャを含む)におけるシェア。

    PFU 轡田大介

    PFU ドキュメントイメージング事業本部グローバル戦略統括部長 轡田大介

    ScanSnapは2001年の誕生当初からPDFを標準出力フォーマットに採用してきました。
    Acrobatのバンドル提供やOCR処理への対応など、アドビとの連携を早くから進め、紙文書を検索可能なPDFに変換する価値を早くから追求してきたといいます。

    一方で、企業や家庭に眠るデータの多くは今なお紙のままであり、これがAI活用を阻む一因になっているとも指摘されました。
    取引先から紙で請求書や契約書が届くケースのように、ペーパーレス化は自社だけでは完結しないのがビジネスの実情です。

    また家庭でも、学校や自治会などからの配布物も多く、昨年PFUが実施したアイデアコンテスト「SCAN to AI 価値創造アイデアコンテスト」でも、子育てやライフハックの場面で紙処理に悩む声が数多く寄せられたといいます。

    ビジネスシーンでの紙

    ビジネスシーンで扱う書類のアンケート結果。仕入れ先や顧客の都合もあり、ペーパーレス化は自社のみで完結しない。

    SCAN to AI 価値創造アイデアコンテスト

    紙×AIのアイデアコンテストに寄せられた意見から、ホームシーンにおいて、学習関連や学校・園で紙類に関する課題が多いことがわかった。

    紙は視認性が高く持ち運びやすい反面、検索も共有もできません。
    だからこそ「まずはスキャンする」というシンプルな一歩が、ビジネスでも家庭でも、AI時代の情報活用の起点になるとまとめられました。

    デモで見る、紙からナレッジハブへの最短ルート

    会場では、昨年発売されたフラッグシップモデル「ScanSnap iX2500」を使った実演も行われました。

    ScanSnap iX2500は1分間に45枚90ページという高速読み取りに加え、タッチパネルとWi-Fiを備えています。
    紙資料の束を読み取り部にセットしてスキャンボタンを押すだけで、OCR処理されたPDFが生成され、クラウドサービスに保存されます。

    人の手を介さず、スキャンしたその瞬間からAIが活用できるデータになる点は大きな特長です。

    ScanSnap iX2500で書類をOCR処理・PDF生成するデモを行う

    ScanSnap iX2500で書類をOCR処理・PDF生成するデモンストレーションが行われた

    生成されたPDFは、Acrobatの「PDFスペース」に追加することで真価を発揮します。
    PDFスペースは、PDFに限らずWordやPowerPointなど最大100ファイルを横断的に検索・要約できるワークスペースです。

    PDFスペースとは

    生成されたPDFを、Acrobat「PDFスペース」に追加し、活用する。

    実演では、スキャンしたばかりの資料に対し、AIアシスタントへ「要点を詳しく教えて」と質問すると、数秒で開発目的や特徴が要約され、回答には引用元の該当箇所を一発で確認できる引用機能も付いていました。

    生成AI利用者が懸念するというハルシネーションのリスクを、ファイルに紐づいた根拠提示によって抑えられる点は、業務利用における安心材料といえるでしょう。

    デモの流れ:紙からPDF、そしてAIへ

    デモの流れ。紙原本をScanSnapでスキャンし、PDF化。PDFはAcrobat「PDFスペース」に追加し、AI活用する。

    実践者が語る、お寺の紙業務改革

    続いて、ゲストスピーカーとして登壇した長野県・浄土宗善立寺副住職の小路竜嗣氏より、ScanSnapプレミアムアンバサダーとして10年活動してきた立場から、実際の業務改善事例の紹介がありました。

    浄土宗善立寺 小路竜嗣氏

    浄土宗善立寺 副住職 小路竜嗣氏

    檀家への案内はがき約300枚を紙のまま管理していた頃は、訪問済みかどうかの情報共有に行き違いが生じていましたが、ScanSnapで一括PDF化したことで、スマートフォンやiPadから関係者複数人がいつでも確認できるようになり、齟齬が解消したといいます。

    さらに小路氏は、Acrobat AIアシスタントを契約書チェックにも活用していると紹介しました。
    「自分にとって不利な条項はあるか」と尋ねると、該当箇所を引用付きで提示してくれるため、専門部署を持たない小規模事業者でも一次スクリーニングが可能になります。

    加えて、アップロードした文書がAIの学習データに二次利用されないことが明記されている点も、契約書のような機密性の高い書類を扱ううえでの安心につながっているとのことでした。

    事例:PFU間 契約書レビュー

    契約書データをPDFスペースに追加し、自分に不利な条項がないかチェックできる。

    また、15年分・約90冊にのぼる寺の会報誌をPDFスペースにまとめて投入し、「過去にどのようなテーマで書いたか」といった対話を通じて次の企画を練るなど、眠っていた紙の資産をAIとの対話が可能な資料へと変える活用法も語られました。

    事例:寺報15年分をPDFスペースで活用

    過去の寺報をPDFスペースに追加し、AIと対話しながら次の企画を練ることができる。

    1935年創刊、通巻1000号を超える別の会報誌についても、PFUの非破壊スキャナー ScanSnap SV600で全号をデジタルアーカイブ化し、無償公開している事例が紹介され、長期保存フォーマットとしてのPDFの信頼性の高さも改めて示されました。

    まずはScanSnapで電子化し、AIアシスタントで効率化する

    今回のイベントを通じて浮かび上がったのは、「紙をどう電子化するか」がAI活用の出発点になるという一貫したメッセージです。
    AIアシスタントがどれほど優れていても、テキストデータを持たない文書画像では、その力を引き出すことはできません。

    ScanSnapは、ワンタッチのスキャンでOCR処理されたPDFを生成し、Acrobat AIアシスタントが読み解ける状態のデータをその場で作り出せる点に強みがあります。
    まずScanSnapで日々の紙文書を確実にPDF化する習慣をつくり、そのうえでAcrobat AIアシスタントやPDFスペースを組み合わせることで、要約・検索・ファクトチェックまでを含めた一連のワークフローが完成します。

    紙の整理に悩む個人事業主から、契約書や社内資料を扱う企業まで、この2つを組み合わせることで得られるメリットは大きいはずです。
    特に、AIに読み込ませられるPDFを作れるかどうかは入り口の部分で決まるため、まずは信頼性の高いスキャナーでの電子化なしにAI活用の恩恵は始まりません。

    ScanSnapでの電子化を起点に、Acrobat AIアシスタントで日々の業務を効率化する。この一連の流れを、ぜひ自社や自分自身の業務に取り入れてみてはいかがでしょうか。

    PDF33周年記念に配布された花束のようなお菓子と「PDFの日」記念日登録証
    ScanSnap_iX2500

    ScanSnap iX2500

    毎分45枚の両面高速スキャンで、驚くほどスピーディーに電子化。静電容量式タッチパネルによる直感操作で、誰でも簡単にスマートに使えます。原稿サイズ、色や両面・片面を自動的に判別。Wi-Fi対応で各種クラウドサービスへのデータ転送も簡単に行えます。
    ScanSnap SV600

    ScanSnap SV600

    厚みのある本や雑誌、新聞などの電子化に最適な非接触スキャナー。原稿を均一に読み取るVIテクノロジーやブック補正機能により、A3サイズまでしっかりクリアに読み取れます。

    この記事を書いた人

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