カレー沢薫のなりゆきデジタル化ぐらし~Vol. 18~

目次
AI時代である。
仕事上ではもちろん、日常生活でもAIを使うことが増えて来たし、もちろん私も使っている。
AIは便利である。だが誰もがそれを便利に使いこなせるわけではない。
火だって人間しか使いこなせない高度な文明だが、それを利用して生活を豊かにする人間がいる一方で、火傷したり家を全焼させるマヌケもいたはずだ。
私は17歳の時に革命とも言える技術「インターネット」と出会い、その世界に手製の二次元イケメンイラストをアップロードすることに命をかけてしまったため、成績は激オチさんして、進学の意志もなくした。
それから十数年後、「スマホ」という人類の叡智の結晶を手に入れてからは、その表面を乾布摩擦していたら一日が終わるようになってしまった。
つまり私は生活を便利にするためのツールで生活を破壊しがちなところがあるということだ。
こんな人間にAIを使わせるのは危険、そう思っていたが、気づけば恋愛リアリティーショーの出演者の言動の是非についてAIと激論することで一日が終わるようになったし、議論は終わらなかったので明日に持ち越しだ。
使い方を間違える人間に与えるとこうなってしまうのだが、AI自体は間違いなく便利であり、仕事などに取り入れないという手はない。
ScanSnapも例外ではなく、満を持してAIを使った機能をリリースしてきた。
ScanSnapは一度にたくさんの書類を高速でスキャンし、自動的にサイズ分け、OCRで文字情報を読みこむなど、極めて高性能なスキャナーであることは疑いようがない。
ただ私は使いながら「魔法」が足りないんじゃないか、とも思っていた。
「魔法」とは何かというと、
こんなことまで出来るなんてにわかに信じられない!
全員で俺を騙そうとしている!
弁護士を呼べ!
と激怒するレベルの機能だ。
激怒は言い過ぎだったかもしれないが「こういう便利なことはできますかって、まあできねーか、はは」と●●野郎が自己完結しそうなことぐらいはできるようになっている。
私も、資料をPDFでもらうことが多いが、そこに参照URLが書いてある時点で渋面になるし、一応そこをクリックしてみるが、それでリンクが開くこともなければ資料を送って来た編集の胸に風穴があくこともない。
PDFデータであれば使用ソフトによって魔法は起こるかもしれないが、それが紙の資料だった場合、そこに記載されているアドレスをどれだけつついても絶対何も起きないし、起きるとしたら、向こう側の景色が見えるぐらいで、人はそれを「破損」と呼ぶ。
だが新機能「ScanSnap Cloud+」のAI機能を使用してスキャンをすれば、作成されたPDF上のURLやQRコードをクリックすればブラウザが開くし、メールアドレスをクリックすればメーラー、電話番号をクリックすれば電話アプリが開く。
ただ紙の書類をデータ化しただけだったものが、急に見る側にとっても行き届いた資料へと化したのだ。

2枚スキャン。
ちゃんとメールアドレス押したらメーラーが開いた
ちなみに、PDF資料に書かれた膨大な手書き注釈を見るたびに特大舌打ちをしてきた私だが、AI機能を使うと手書き文字も読み取って検索することができるらしい。
ただ、先に言っておかないと暴動が起きると思うので言っておくが、このAI機能は有料だ。
すでに言うのが遅い気もするが、これだけの機能が急にタダで使える方が怖いだろう、ただし価格差はスキャン枚数の上限だけで、最安プランの980円でもAI機能は全て使える。
また、どれだけScanSnapの利便性を説明されても「でもそれはScanSnapを買わないと使えないんでしょう」と思った人も多いだろう。
それは当たり前であり、某ドリームグループの社長も、エアコンの機能を説明した後に「今説明した機能がエアコンなしでも使えます」と言いだしたことは一度もない。
だが、ScanSnapはついに、ScanSnapなしでもスキャンがデキる方向に舵を切った。私があのお馴染みの女性だったら渾身の「すごい」を発しているだろう。
使用するのはお手持ちの「スマホ」だ。
専用アプリである「ScanSnap Home」に追加された「ScanSnap Camera」という機能を使い、スマホで書類などを撮影するとそのままスキャンデータにしてくれるし、書類の向きの修正やカラーなどは自動判別してくれる。
さらにここまでは無料であり、有料サブスク会員になれば上記のようなAI機能を使うことができる。
一見ScanSnap本体を売るのは諦め、サブスク事業でやっていくことを一大決心したようにも見えるが多分違う。
漫画だって、スマホ用漫画ソフトは存在するし、それで漫画を描くことは可能だ、だが本格的に漫画を描こうと思ったらやはりスマホでは不十分であり、何しろ画面が狭い。
ちょっとしたメモ程度のスキャンであればスマホ版で事足りるだろうが、何十枚もの資料をスキャンするなら、やはりScanSnapは必要だ。
ただ、いきなりScanSnapを買うのは敷居が高いという人はスマホ版で使用感を体験して見るのも良いだろう。
この新機能さえあれば、私を苛立たせてきたPDF資料は格段に使いやすくなるだろう。だが惜しいことに私は資料を作る側ではなく、大体受け取る側なのだ。
何故かうちにはScanSnapが「3台」あるし、メーカーの編集も「そこまで送り返すのが面倒なら譲渡してもいい」と諦めの姿勢を見せているので、これを1台担当編集に送り付け「以後資料はこれで送れ」と指示しようかと思う。
ただ、私のために有料AIサブスクに入ってくれるかというとおそらく入らず、ただ高機能スキャンをプレゼントしただけになりそうなので送るに送れない。


ScanSnap Camera
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