2023.2.22 |
紙文書の電子化から始めるオフィスのペーパーレス化!
~スキャナーとOCRを活用したスモールスタートの方法と取り組み事例のご紹介~

オフィスに残る紙の書類を扱う業務。ペーパーレス化をあきらめていませんか?
実は、それらの業務はポイントを押さえて段階的に進めることでペーパーレス化が可能です。
ペーパーレス化することで、経費削減や省スペースといった直接的な効果のほか、業務の効率化や働き方改革、ワークライフバランスの実現などの大きなメリットにもつながります。
ここでは、オフィスのペーパーレス化の取り組み方法、進め方(何から取り組めばいいのか)について解説します。取り組みによる効果を実感していただくため、参考になる導入事例についてもご紹介します。
1. あなたのオフィスのいつもの業務、ペーパーレス化しませんか?
決まりごとだから、慣例だから、と普段何気なく行っている業務。
まだまだ紙の書類中心の業務をしていませんか?
どんな業務があるでしょうか?ちょっと考えてみてください。例えば、
- 取引先から送られてきた紙文書をファイリングして保管している
- アンケートや伝票など、紙文書に記載されている情報をシステムに手入力したり、電子データ化したりしている
- 会議の配布資料を準備するため、紙に印刷して配布し、会議の後で保管している
などなど…。
意外にまだまだ多く残っているのではないでしょうか?
実は、それらの多くは、ペーパーレス化することで次のような大きなメリットが期待できます。
■オフィス内の書類の保管場所が不要に
紙の書類を電子データ化して保存することで、いつでもPCで閲覧できるようになり、原本(原紙)を手元(オフィス内)に置いておく必要がなくなります。そのため、書類の保管場所を選びません。紙の書類を書庫や倉庫などにすぐに移動できるため、フロアスペースが確保できますし、レイアウト変更の際に毎回書類を移動する、などの付帯作業もなくなります。
■検索性の向上
ルール化して電子データにさえしておけば、いつでもPCから目的の情報を検索・参照できるので、紙を保管したバインダーから情報を探す時間や手間を削減できます。問い合わせなどがあっても、PCから簡単に目的の書類を見つけ出し、すぐに対応できます。
■ワークライフバランスの実現
紙が無くても仕事ができるため、作業効率が上がるだけではなく、リモートワークも可能となります。書類を受け取るために出社したり、押印処理するために帰社したりする必要がありません。時間や場所の制約なく働くことができるようになり、ペーパーレスを推進することが「働き方改革」や「ワークライフバランス」の実現にもつながっていきます。
近年、リモートワークや働き方改革が話題になっていますが、それらを実現するには、まず現場やオフィスで「ペーパーレス化」がどれだけ実現できているかがキーになります。
紙中心のワークフローを行っていると申請や稟議、過去情報の参照のために出社せざるをえず、紙に縛られて出社を余儀なくされます。
また、いろいろな場所へ紙の書類を持ち歩くことで、紛失や情報漏洩のリスクもあります。
このように、ペーパーレス化することは、単に紙の使用量を減らし経費を削減できるというだけでなく、実は多くのメリットがあるのです。リモートワークや働き方改革などを行うためにも、まずはオフィス業務のペーパーレス化に取り組んでいきませんか?
2. オフィスのペーパーレス化の方法とは?まずは何から取り組むべき?
まずは、オフィスや業務のペーパーレス化の方法にはどんなものがあり、何から始めるのが良いかについて紹介します。
2-1. オフィスのペーパーレス化には、2つのアプローチがある
オフィスのペーパーレス化の方法には、大きくわけると以下の2つのアプローチがあります。
1) そもそも紙を使わないようにする
「紙を使わない」取り組みの場合、単に紙を使用しないだけでなく、紙を使わずに業務を行うための仕組みも必要で、承認や会議、対外的な申し込みや契約など、オフィス文書を電子データのまま処理するシステムや仕組みを作る必要があります。
会議やコミュニケーションの改善、押印や承認フローの見直し、書類の保管ルールやセキュリティへの配慮など、必要な環境整備を行う取り組みです。
現状の業務を洗い出し、業務で紙文書を使わない仕組みにできないかについて検討し、障害になっている原因を取り除き、優先度をつけて対応していきます。オペレーションや運用も新しくなるため、運用規定の整備や社内説明会なども準備するとよいでしょう。
2) 紙文書を電子化して保存・活用する
「紙文書→電子化」の取り組みの場合は、オフィスで発生する紙の書類を電子化して保存するための環境整備や仕組みを作る必要があります。
取引先とのやり取りや運用上、紙の書類はどうしても残るので、スキャナーや複合機のスキャン機能を使って紙を電子化するための環境整備、電子データとして保存するための仕組みの整備を行います。
書類によっては、法定保存文書や個人情報にあたるため、法令要件への準拠やセキュリティに配慮した電子化および保存が必要になる場合があります。
オフィスのペーパーレス化の取り組み方法について整理してみます。
オフィスのペーパーレス化の取り組み方法のまとめ
取り組み・方法 | 必要な準備(投資) | 特長や効果(メリット) |
---|---|---|
1) 紙を使わない | ||
オフィス環境整備、業務上の手続きや運用の見直し | 設備投資、ワークフローなどの見直し |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
2) 紙文書⇒電子化 | ||
①紙文書をスキャナーで読み取り、電子化 (PDFや画像ファイル化) |
|
|
②OCRによる認識(紙情報のデータ化) (認識結果をテキストデータ (CSV形式)で出力) |
|
|
これらは、まず何からどう進めればいいのでしょうか?
2-2. まずは紙文書の電子化から取り組むのがおすすめ
紙を使わない取り組みは、社内ルールやインフラの見直しが必須であり、設備投資や導入・周知期間なども確保する必要があります。したがって、時間やコストがかかる取り組みといえます。全社全体の取り組みとして、計画的に段階を追って進めるべきでしょう。
また、取引先や関係先とのやり取りも考慮すると、すべての紙文書を一度に無くすのも現実的ではありません。
したがって、まずは、「2) 紙文書を電子化して保存・活用する」取り組みから、ペーパーレス化を始めることをおすすめします。
3. ペーパーレス化の方法は、紙文書をスキャナーで読み取って電子ファイルにするだけ!
3-1. 紙文書を電子化する方法とは?
意外と簡単です。スキャナーを利用して紙文書を読み取り、電子ファイル(画像ファイルやPDFファイル)にして保存するだけです。
スキャナーの導入にあたっては、製品導入やルール化などの準備作業は少し必要です。
しかし、紙の書類を取り扱うときに、すぐに電子化する習慣を普段からつけておくことで、「1) そもそも紙を使わないようにする」取り組みに向けての準備作業にもなります。
では、紙文書を電子化するにあたって必要な準備作業とは、どんな作業でしょうか?
3-2. 紙文書を電子化するにあたって必要な作業
スキャナーを利用して紙の書類を電子化するには、以下の準備作業が必要です。
① スキャナーやファイルサーバなどの環境整備
スキャナーの設置(設定作業なども含む)、および電子化したデータの保存先(ファイルサーバやクラウドストレージなど)を準備します。
現在使っている環境が利用できるのであれば、それを利用することで簡単に整備できます。
② 紙文書を電子化するために必要な手続きやルールを決める
紙文書を電子化して保存するためのルールを検討し、それを明文化して周知しておきます。 例えば、以下のようなルールです。
- 電子化するデータの取り扱いに関するルール
参照ユーザーや頻度、セキュリティレベルなどを考慮し、電子化するタイミング、保存先(フォルダ名/ファイル名)、保存期間などのルールを決めておきます。 - 保存したデータのセキュリティレベルの設定ルール
書類の内容によって、必要があればアクセス制限を設定するルールを決めておきます。 - 作業フロー&承認フローなど、手続きや運用面のルール
ルールが煩雑で多くなると、実際の運用にはいって徹底されないことも起こります。ルールはできるだけ最低限とし、わかりやすく実際の業務がしやすいルールにするのが良いでしょう。
③ 運用テストの実施
本格運用の前にテストフェーズを設け、業務上の課題がないか、見直しなどを行う期間をとると良いです。必要があれば関係者に説明やレクチャーを行って、質疑応答などの機会をとるとスムーズに進められます。
3-3. 紙文書の電子化を行うスキャナーとして、業務用スキャナーがおすすめ
紙の書類をスキャナーで読み取る場合、一般的には複合機が使われることも多いと思いますが、スキャン量や頻度が多い場合は自動給紙機構(ADF)を備えた業務用イメージスキャナーの利用がおすすめです。
書類専用スキャナーなので、読み取り品質や使い勝手など、作業を効率的に行い、手間を削減できるいろいろな機能や特徴を備えています。
例えば、以下のようなものです。
- 異なるサイズの様々な種類の紙(伝票/レシート/FAX/郵便物/書類など)をまとめて、高速、高品質に読み取り(両面を一度に読み取り)可能
- 異なる向きの紙でもOK。読み取った画像の向きを自動的に修正して読み取り可能
- コンパクトサイズなので、デスクサイドに置いて使いたいときにすぐに使える
PFUの業務用スキャナー「fiシリーズ」であれば、OCRの文字認識に適した高品質な画像データを高速で生成できます。また、紙をスキャンする際に、紙に記載されている情報をファイル名やフォルダー名に流用し、電子化した画像ファイルを自動的に仕分けて保存することができます。
上記の事例でも紹介したスキャナー「fiシリーズ」は、お試しでご利用になれます!
スキャナー(デモ機)の無料貸し出しについてのお申し込みは、以下の画像から。
ぜひ、気軽にお試ししてみてください。
3-4. ペーパーレス化を実現した企業・自治体のご紹介
実際の取り組みや効果についてイメージを持っていただくために、PFUの業務用スキャナー「fiシリーズ」を利用したペーパーレス化の導入事例を2つご紹介します。
事例1:サッポロビール株式会社 経理部

サッポロビール株式会社では全国の営業拠点で発生する大量の伝票処理を紙で運用していたため、書類の配送や保管にまつわるコストが発生し、起票や承認にも工数を要していました。
そこで、PFUのスキャナー「fi-7160」を全国の営業拠点に配置し、「電子帳簿保存法 スキャナ保存制度」対応を進め、大きなコスト削減を実現。請求書のデジタル化ならびにワークフローシステムとの連携も行うようになりました。
この取り組みにより、伝票の保管等にかかる年間コスト415万円が削減されたほか、処理が迅速になり年間3,300時間の工数削減も実現しています。さらに、営業・経理ともにテレワークでの起票や承認が可能になって働きやすさが向上し、支払処理漏れリスクも軽減されています。
事例の詳細はコチラから
事例2:石川県立 金沢桜丘高等学校

大学入試で「調査書」が重要視されるようになり、生徒一人ひとりの学業や課外活動への取り組みをより正確に管理する必要が出てきています。
石川県立金沢桜丘高等学校では、生徒のこれまでの歩みを詳細に把握し、生徒の活動記録をデータで一元管理するため、PFUのスキャナーA3高速スキャナー「fi-7480」を導入し、ペーパーレス化に取り組みました。授業で使用したプリントや部活動の記録を生徒ごとのフォルダーで一元管理し、データはGoogle ドライブで保存。生徒とも共有できるようになりました。
この取り組みによって、進路指導や調査書作成にあたって生徒の個性を把握したきめ細かい対応が可能になり、担任が変わる際の引継ぎもスムーズになったそうです。
事例の詳細はコチラから
4. OCRを使うと紙文書に書かれた文字情報も活用できる
4-1. 電子ファイルを保存するだけじゃもったいない!
紙文書をせっかく電子化したのであれば、それをただ保存するだけでなく、他システムに登録したり、分析や二次加工用の元データとして有効利用したりしたいですよね。
スキャナーで読み取った紙文書は、電子化(PDFや画像データ化)して保存されますが、OCR(*)ソフトウェアを使えば、その電子化したデータから文字情報を抽出し、テキストデータなどの形で保存することができます。

OCRを利用することで紙の情報を自動でデジタル化
OCRの認識率は100%ではないので内容確認は必要ですが、システムへの手入力作業がなくなり、認識結果のチェック作業中心になるため、作業負荷が大きく軽減できます。
*:OCR(Optical Character Recognitionの略称)。光学的文字認識
4-2. 外部システムやクラウドシステム、RPAツールなどとの連携が可能
OCRで認識した文字情報はテキストデータ(CSV形式など)で出力できるので、業務システムやRPA(*)ソフトウェアとの連携が可能になります。

スキャナーで取り込んだ紙文書をOCRで文字認識し、他システムなどに連携
*:RPA(Robotic Process Automationの略称)。ロボットやツールによる業務自動化
RPAを利用し業務システムへの登録を自動化する場合は、OCRで文字認識し、紙情報のデジタル化が必要です。外部クラウドサービスなどの利用を行う場合も、情報がデジタル化されていることが前提になります。
OCRの導入をお考えであれば、次の記事もぜひ参考にしてください。
4-3. OCRの導入、オンプレミス環境で使える買い切り型「DynaEye」がおすすめ
PFUが提供する「DynaEye」は、業務用スキャナーである「fiシリーズ」とも親和性が高いAI-OCRソフトウェアです。
認識が困難な手書き文字も高精度に認識でき、外部ネットワークに接続しなくても利用できるオンプレミス型なので、セキュリティ面でも安心です。
買い切り型のソフトウェアなので、サブスクリプション型やクラウド型と異なり、一度購入してしまえば、運用コストも低く抑えることができます。
AI-OCRソフトウェア「DynaEye 11」は、次のバナーから無償評価版をダウンロードできます。
また、無償評価版でもご利用可能な「OCR定義テンプレート」もご用意しています。ダウンロードして差分のみ修正すればすぐにお使いいただけますので、ぜひ、ご一緒にお試ししてみてください。
4-4. AI-OCRソフトウェア「DynaEye」導入事例のご紹介
実際の取り組みの効果についてイメージを持っていただくためにも、AI-OCRソフトウェア「DynaEye」を利用したペーパーレス化の参考事例について2つご紹介します。
事例3:横浜環境保全株式会社 経営企画室 情報システム課

産廃マニフェストに事務所のスペースが圧迫され、社内伝票と契約書のシステムへの入力に多大な時間を要し、連日の時間外勤務が発生している課題を解決するための取り組み事例をご紹介します。
PFUのスキャナー「fiシリーズ」と「ScanSnap」、業務用OCRソフトウェア「DynaEye」を導入し、産廃マニフェスト・社内伝票・契約書の電子化やOCRを開始。
この取り組みによって、産廃マニフェストの記録・閲覧が楽になり、一時保管スペースが1/3に縮小。書類の電子化とOCRによって手間のかかる事務作業が大幅に効率化し、社内伝票で年間2,700時間、契約書で年間1,700時間の削減につながっています。
事例の詳細はコチラから
事例4:石川県かほく市 企画振興課・健康福祉課

まだまだ紙帳票で行う業務が残っている自治体は多く、問い合わせのたびに膨大な紙資料の中から情報を探したり、申請書の情報を手入力でデータ化したりする、という課題を解決するための取り組み事例をご紹介します。
乳幼児健診の問診票の入力、任意予防接種の支払依頼に関する業務にPFUのA4高速イメージスキャナー「fi-7180」とAI-OCRソフトウェア「DynaEye」を導入し、入力業務を自動化。
この取り組みによって、乳幼児健診のデータ入力時間を60%、任意予防接種の支払依頼の作業時間を46%カットになりました。何より、改善によって時間と心の余裕が生まれ、次のステップの改善を考えるなど職員の意識に変化が生まれたといいます。
事例の詳細はコチラから
5. まとめ
オフィスのペーパーレス化は、紙の使用量が減ることによる経費削減やSDGsへの取り組みが直接的な効果ですが、ペーパーレス化によって、自身のPCからすぐに検索・参照、二次活用できるため、事務処理が効率化され、どこにいても作業ができるようになるという大きな効果もあります。オフィスのペーパーレス化を進めることは、紙に縛られない働き方であり、「ワークライフバランス」の実現や「働き方改革」にもつながっているのです。
ペーパーレス化を行うには、社内ルールの改訂やインフラ整備などの準備や投資も必要ですから、現状の業務を分析し、計画を立てて段階的に進めていくのが良いでしょう。
今回は、ペーパーレス化に向けた最初の取り組みとしておすすめの「紙文書の電子化」を中心に解説しました。
オフィスをペーパーレス化するための道のりは長いと感じるかもしれません。
でも、いきなり100%を目指す必要はありません。まずは、できることから少しずつ取り組みを進めていけばよいのです。
働き方改革や業務改善は一日にしてならず。
まずは気軽に「紙文書の電子化」からペーパーレス化への取り組みを始めてみませんか?