2025.1.27 |
製造業の人手不足解消は品質管理業務の電子化から!方法やメリットをご紹介

近年、製造業では深刻な人手不足が問題となっています。製造業で人手不足が続くと、企業や従業員にどのような影響があるのでしょうか。
本記事では、製造業の人手不足の現状と影響について解説し、人手不足の対策の1つとして「紙帳票の電子化」について紹介しています。最後に、製造業で使用する紙帳票の電子化に適したスキャナーについても紹介します。
ぜひ、最後までお読みいただき、人手不足解消のヒントとしてください。
1. 製造業の人材不足の実態
日本では少子高齢化などにより労働人口が減少しています。その影響を受け、製造業での人手不足の問題は年々深刻化しています。
ここでは、製造業の人手不足の現状と人手不足が与える影響について解説します。
1-1. 製造業の人手不足の現状
製造業の人手不足の現状は、データからも明らかです。
パーソル総合研究所・中央大学「労働市場の未来推計2030」では、2030年には製造業は38万人の人手が不足すると予測しています。
また、「2023年版 ものづくり白書」によると、製造業では56.3%の企業が、事業に影響を及ぼす社会情勢の変化として人手不足を挙げています。
「2024年版 ものづくり白書」の中小企業における産業別の従業員数における過不足状況でも、製造業は2020年に新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響を受けて過剰に転じたが、それ以降は不足に転じ、2023年には同感染症が拡大する以前(2019年)より人手不足感が強くなっていると分析されています。
このように、製造業の人手不足は深刻です。
人手不足を解消するためには就業者を増やす必要がありますが、次の統計結果から、人手を確保することも年々難しくなっているのが現状です。
● 全産業に占める製造業の就業者の割合は、低下傾向で推移している。

就業者数の推移(出典:「令和5年度 ものづくり基盤技術の振興施策」)
● 新規学卒者(*)の製造業への入職割合は、2000年以降低下傾向にあり、2022年度は9.7%となっている。

新規学卒者のうち製造業への入職者数及び製造業への入職割合の推移(出典:「令和5年度 ものづくり基盤技術の振興施策」)
*:原則として平成28年3月に学校教育法に基づく高校、高専・短大、大学を卒業した者又は大学院修士課程を修了し修士号を取得した者若しくは取得見込みの者をいう。ただし、大学医学部及び歯学部、専修学校、各種学校、職業能力開発施設等を卒業した者は除く。(出典:厚生労働省「主な用語の定義」)
1-2. 製造業の人手不足が与える影響
次に製造業の人手不足が続くことによる影響についてみていきます。
人手が不足すると、それに比例して一人当たりの作業量が増加し、次のようなことが起こります。
- 作業負荷が高くなり、作業ミスにつながりやすくなる
- 作業遅延や納期遅れにつながるリスクがある
- 定常業務で手一杯になり、新たな業務に着手できない
このような状態が続くと、人材の成長が阻害され、会社の競争力の低下にもつながっていきます。また、労働環境の悪化や成長機会の損失などにより、転職を考える人が増え、さらに人手が不足するという悪循環に陥ってしまいます。
このような状態を回避するため、人手不足に対応することが必要です。
2. 製造業の人手不足の対策
ここでは、人手不足の対策の1つとしてデジタル技術の活用についてご紹介します。
2-1. デジタル技術の活用が有効
デジタル技術(IoT、AI、RPAなど)を活用すると、生産性の向上や品質の安定化・向上が期待できます。
たとえば、IoT(モノをインターネットに接続する技術)を利用すると現場の設備状況や生産ラインの状況などが確認できるようになります。人の手や目で行っていた管理やチェック作業を自動化・省力化ができるようになり、生産性の向上や品質の安定化が期待できます。
また、ものづくり企業におけるデジタル化の活用は大きく進んでいます。8割を超えるものづくり企業がデジタル技術を活用しており、多くの企業がコスト削減や品質の向上を実感。4割程度の企業は「人手不足の解消」や「労働時間の短縮や休暇・休日の増加」といった人事面の効果も実感しています(出典:「2024年版 ものづくり白書」)。
しかし、製造現場によっては高齢の労働者が多く、「長年慣れた運用を変えたくない。」といった理由でデジタル技術の活用が進みにくいところがあります。その典型的な例が紙運用での業務です。
2-2. 品質管理部門の課題(運用に紙を利用する業務での課題)
製造業の品質管理部門では、次のような場面で検査票などの紙帳票を使用する機会が多く、業務がアナログになりがちです。
- 最終製品の問題発生時に、特定の製造日・シリアル番号の製造指示書を探し出し、製造・検査工程で自社の過失がないことを確認する
- 取引先や規格認定機関の監査を受ける際に、過去数年の製造記録を用意して応対する
- 要求水準の高い外部監査で、抜き打ちで特定の製造日・シリアル番号の製品の製造記録を要求される場合に対応する
紙帳票を使用するたびに保管してある書庫などに移動し、たくさんのファイルの中から該当する紙帳票を探すのはとても大変です。そのため、顧客監査の準備や、過去の製造品の問い合わせに対応する場合、必要な検査票を探すために時間をとられるなどの課題が発生します。

2-3. 検査票などの紙で運用している紙帳票を電子化
検査票を探す時間を効率化・短縮する方法をご紹介します。
スキャナーで紙帳票を電子化。検索性を向上し、紙の保管スペースも削減
検査票などの紙帳票をスキャナーで電子化する方法です。その際、ファイル名の命名ルールを決めておくことで必要なファイルが検索しやすくなります。
業務用スキャナーを利用すると、帳票内のキーワード(文字列)でファイル名を付けたり、バーコードを利用して保存先のフォルダーを指定したりできます。
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キーワードを利用してファイル名を付ける
タイトルや通し番号など、帳票の定位置に印字されたキーワードを、ファイル名やフォルダー名として活用できます。 -
バーコードの情報を利用して保存先を振り分ける
紙に印刷されたバーコードを認識して、フォルダー名として利用したり、保存先の振り分けに利用したりできます。
この取り組みの場合、次のようなメリットがあります。
-
ファイル名から必要な帳票を検索できるようになります。
どこからでも検索や閲覧が可能になるので、書庫に出向いて帳票の内容確認をする時間を削減できます。 - 電子化することで原本の保管が不要になった紙帳票を廃棄でき、保管場所が不要になります。
- 現状の紙を使った製造検査手順を大きく変えずに、検査データを電子で活用できるようになります。
2-4. 導入事例
紙帳票を電子化している事例を2つご紹介します。
■三井金属鉱業様
製造課では過去の製造記録を現場で活用するため、製造時に発生する紙書類を複合機でデータ化していました。スキャン後のファイル名変更に手間と時間がかかるため、「fiシリーズ」を導入。標準添付ソフトウェア「PaperStream Capture」の「ゾーンOCR機能」を活用してファイル名を自動で付与する運用に改善し、スキャンとイメージデータ保存に要する時間を75パーセント削減!
書類のデータ化がスムーズになり、過去の製造記録をより現場で活用しやすくなりました。
■ダイハツ九州部品センター様
物品受領書を紙で保管していたため、大量の受領書の中から特定の受領書を見つけるのに時間がかかること、保管スペースが逼迫していたことから「fiシリーズ」を導入。「PaperStream Capture」を活用してファイル名の付与とフォルダー仕分けを自動で完了する運用に改善。
データ保管(PDF)へと移行したことで、キーワード検索が可能になり、急な監査にも対応できる体制が整うなど企業統制のレベルが向上。書類の保管スペースも不要になりました。
3. 製造業の電子化に適している業務用スキャナー
製造業で発生する紙の帳票や書類の電子化に適している業務用スキャナー「fiシリーズ」についてご紹介します。
3-1. fiシリーズが適している理由
「fiシリーズ」には、製造業での使用に適した次の特長を持っています。
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油や粉塵にさらされた状態の悪い紙のスキャンでも紙詰まりしにくい
給紙性能については「【業務用スキャナーfiシリーズが選ばれる理由】安定した給紙性能で紙詰まりや重送を防ぎ、スキャン業務を止めない」の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。 -
異物が入った際のメンテナンスや清掃も作業者本人で容易に対応できる、メンテナンスがしやすい構造
PFUでの塵埃試験、品質チェックのこだわりとは
PFUでは「お客様に安心してお使いいただける製品」を提供するために、厳しく、ときには気の遠くなるような品質チェックを行っています。その具体的な内容をご紹介しています。
3-2. 推奨スキャナー
次にfiシリーズの中でも、製造業での使用に合う推奨スキャナーをご紹介します。
■RICOH fi-8190
最新鋭の給紙搬送技術であらゆるニーズに応えるコンパクトサイズのA4高速モデルです。
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高速読み取りと省スペースを両立
デスクサイドに置いて使えるコンパクトサイズながら、1分間に90枚の高速両面読み取り(A4縦)が可能です。
■RICOH fi-8950
fiシリーズ最速のパフォーマンスで業務効率化を加速する、A3大容量フラッグシップモデルです。
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大量原稿の電子化を可能にするスキャニング性能
毎分150枚 / 300面(A4横送り)の高速読み取りが可能です。
原稿トレイには750枚もの大量原稿をセットできるので、大量の検査票を短時間で処理可能!
■RICOH fi-7700
様々な読み取りニーズに対応するA3フラットベッド付きモデルです。
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多彩な書類の読み取りに1台で対応
A3サイズのフラットベッドが搭載されているので、製本された資料や傷みやすい原稿なども電子化できます。ドキュメントカバーを開けたままスキャンでき、作業時間を短縮します。
4. まとめ
この記事では、製造業の人手不足の実態と与える影響について解説し、人手不足を解消するためには製造業独自の事情を考慮してデジタル化を進めることが大切であり、「紙帳票の電子化」から始めることがポイントだとお伝えしました。
そしてその1つの取り組みとして、品質管理部門の業務で発生する紙の帳票や書類などの電子化についてご紹介しました。
記事の後半には、製造業の電子化に適している業務用スキャナーについても説明しています。この記事を参考にして、現場にあったスキャナーで、現場で使用する紙帳票の電子化から人手不足を解消していただけると幸いです。