2025.6.20 |
FAX注文書はOCRできる?精度を向上させる3つのポイント

デジタル化やDXが進んできたとはいえ、FAXを利用した発注・受注は今も残っています。FAXで受領した注文書(FAX注文書)の内容は、社内システムへ手作業で入力する必要があるため、効率化したいと考えている企業は多いと思います。効率化のためにOCRを取り入れている場合でも、認識精度が低く、困っている企業も多いのではないでしょうか。
この記事では、FAX注文書の受注処理の効率化を妨げている問題をふまえ、OCR精度を向上する3つのポイント、OCR後の業務をさらに効率化する方法をご紹介します。また、記事の後半でFAX注文書の読み取りにおすすめのAI-OCRソフトウェアについてもご紹介します。
FAX注文書の処理を効率化したい方、FAX注文書のOCR精度にお悩みの方は、ぜひ最後までお読みください。
1. FAX注文書の受注処理における課題・OCRが難しい理由
FAX注文書の受注処理業務で多いのは、次のようなデータ入力に関する問題です。
● 担当者の負担が大きく人為的ミスが起きやすい
担当者はFAX注文書に記載されている文字を目視確認しながら手入力するため、手間が多く入力ミスも発生しやすくなり業務効率の低下につながります。
● 担当者のスキルのバラつきが全体効率に影響する
入力速度や入力業務の経験などにより、注文書の内容をシステムなどに入力するスピードや正確性に差が生じます。
入力ミスが多い場合は、確認・データ修正にも時間がかかり、作業全体をみた場合、一部の担当者に負担がかたよってしまったり、全体の効率を低下させてしまったりするなどの影響が出ます。

データの手入力業務を効率化する場合、OCRの活用が推奨されていますが、次のような問題が発生します。
● OCR後の修正作業が多い
FAXは送信・受信時に画像が圧縮されるため、画質が劣化し、文字や罫線がぼやけてしまいます。その結果、OCRの認識精度が低下しやすく、認識結果の校正や修正の手間が発生し、対応に多くの時間がかかります。
このような問題からFAX注文書の処理は効率化が難しく、担当者の負担となっています。
2. FAX注文書のOCR精度を向上させる3つのポイント
1章で解説したとおり、FAX注文書をOCRで読み取ろうとしても、なかなか思うように認識されない場合も多いと思います。ここでは、そのOCRの精度を向上させるポイントを3つ紹介します。
1) FAXに対応したAI-OCRを利用する
従来のOCRでは、パソコンで入力した活字文字でもFAX特有の欠けやカスレがあると認識できなかったり誤認識したりと、認識が困難でした。しかし、OCRにAI技術を組み合わせたAI-OCRを利用することでFAX特有のノイズを除去したり、学習によってより高い精度で文字認識できるようになっています。たとえば、PFUのAI-OCRソフトウェア「DynaEye 11」を用いた検証では、従来OCRでの認識率が80%だったのに対し、AI-OCRでは98%という結果が出ています(*1)。
ここで重要なのは「AI-OCRなら何でも良い」というわけではありません。AI-OCRの認識精度は学習するデータ次第で、大きく左右されます。FAXの画質は特殊なため、FAXの画像を学習しているAI-OCRでなければ十分な認識精度を出すことができません。
無料トライアルで精度確認しよう!
最近は、無料トライアルができるソフトウェアが多くなっているので、導入前に実際の業務で使用しているFAX注文書で試して精度を確認することが大切です。
*1:PFU基準帳票を用いた認識精度結果
2) FAXの紙はスキャンしない!複合機の受信データをそのまま活用するのが基本
紙で出力されたFAXをスキャンして、画像化したものをOCRするケースが時折見られますが、これは避けるべき運用です。なぜなら、FAXは受信時点ですでに低解像度・圧縮済みのため、さらにスキャンすることで画質が二重に劣化し、OCR精度が著しく低下してしまうためです。
多くのオフィス複合機では、FAX受信時に画像データが内部保存されており、これをPCに転送してOCR処理に使用することが可能です。
3) 傾きや拡大・縮小を補正する
画像に傾きや拡大・縮小がある場合、OCRによる文字認識の精度が低下します。しかし、取引先に対して「傾けてFAX送信しないように」と依頼するのは現実的ではありません。傾きや拡大・縮小の補正が可能なOCRソフトウェアもあります。導入を検討する際は、こうした補正機能の有無も確認しましょう。

3. OCRと合わせて使おう!FAX注文書の処理をさらに効率化するには
OCRの利用からさらに業務を効率化する方法を紹介します。
● RPAと組み合わせて自動化する
RPA(Robotic Process Automation)とは、人がPCで行う定型業務を自動化する技術・ツールです。一定のルールに従って行う作業などの手順をシナリオとしてRPAに記憶させ、自動で遂行させることができます。
OCRでFAX注文書をテキストデータ化し、そのデータをRPAでシステムに自動入力されるように設定することができます。このようにOCRとRPAを組み合わせると、FAX注文書の受信からデータのシステム入力までの作業を自動化できます。
● データ連携を考慮した機能を持つAI-OCRソフトウェアを利用する
認識したテキストデータを後続の業務システムに連携したり、出力結果をシステムに合わせた形式に変換したりできると業務システムへの連携がスムーズになり、RPAとも連携しやすくなります。

4. FAX注文書の読み取りにおすすめのAI-OCR
PFUのAI-OCRソフトウェア「DynaEye 11」は、FAX注文書やドットプリンターで印字された伝票など、カスレや薄い印字などの低品質な活字も高精度に認識できるので、FAX注文書に最適です。これまで読み取りが難しかった罫線との接触や特殊フォントを含む帳票も正確にデータ化できます。
認識結果を後続の業務システムの仕様に合わせた形式に自動で変換して出力する機能も搭載しているので、出力後の手作業による変換・編集作業をなくし、スムーズに連携できます。
「DynaEye 11」は、流通業をはじめとする、伝票やFAX注文書を活用する業種が抱えるデータ入力業務効率化と担当者の作業負担軽減を実現します。
詳細は、コチラからご確認いただけます。

「DynaEye 11」は60日間無償トライアルも実施していますので、ぜひ実際の業務で使用しているFAX注文書や帳票などで精度をお試しください。
5. まとめ
今回は、FAX注文書のOCR精度を向上させる3つのポイントと、OCR後の作業をさらに効率化する方法について解説しました。
取引顧客とのやり取りにFAXを使用する機会は簡単には切り替わりません。OCRを使うと取引顧客のプロセスを変えずに自社の業務を効率化できます。本記事を参考にして、FAX注文書の業務の効率化につなげてください。