2025.7.2 |
これで安心! 正しい「契約書の管理」とは? ~原本の管理は必要?不適切な管理によるリスクも併せて解説~

契約書は、企業活動に欠かせないものですが、その管理は問題なく行われているでしょうか?
契約書は、様々な場面で取り交わしが行われ、法的効力を持つものも多くありますが、不適切な管理により、損失や情報漏えいを招くこともあります。違法行為や人的ミスから自社の信用を守り、さらには業務を効率化するために、適切な契約書の管理(契約管理)が求められています。
本記事では、そんな契約書の管理の基礎知識をはじめ、具体的な管理手法、おすすめのシステムを詳しく解説します。
1. 契約書の管理とは ─その必要性と意義、適切な手法─
契約書の管理とは、契約に関する様々な書類やその関連情報を管理することを意味します。単に原本を保存するだけではなく、付随の資料なども含めて適切に保管すること。さらに、契約書の種類ごとに取引内容、有効期限などを管理し、必要な時に参照・活用できる状態にしておくことです。適切な契約書の管理を行うには、管理方法の整備が欠かせません。
原本とは?
契約書の管理における「原本」とは、契約の当事者間で正式に合意された文書の最初の版を指します。謄本、抄本など様々な版のオリジナルとなる、大元の文書ということです。紙の契約書は通常、当事者の署名・記名や押印を残し、キャビネットなどに物理的に保存します。電子契約の場合は、タイムスタンプや電子署名を付与するのが一般的です。
契約書の保存期間は、法人税法(7年)、会社法(10年)、労働基準法(5年)など、複数の法律により定められています。近年の法改正では、電子帳簿保存法が企業活動に大きな影響を与えました。これにより2024年1月1日以降、電子データで受領した証憑類や契約書などが、法令要件に従って、電子保存の対象となっています(7年)。契約書関連では、電子契約書、電子契約システム、メールやクラウドサービスを利用してやり取りされたPDFの契約書などが該当します。
契約書の管理が必要とされるのには、法の遵守以外にも様々な理由があります。例えば、契約規範をいつでも参照できる状態することは、透明性の向上や迅速な意思決定のためにも重要です。また、証拠保全の観点では、問題が起きた際の合意事項の確認において、主張の正当性を裏づける強力な根拠となります。このため、契約書は、契約期間が終了した後も必要に応じて保存する必要があります。
2. 契約書の管理の重要性 ─誤った管理で、これだけのリスク─
企業が活動を行う際には、売買、雇用、賃貸、ライセンス、融資など、様々な種類の契約が発生します。これらの管理を誤ると、重大なリスクに直面する可能性があります。更新漏れ、紛失や破損、情報漏えい、それらに起因する損害や信頼失墜。特に問題が起こりやすいのは、定期的に契約を結び直すケースです。契約期間を把握せず、更新漏れが起きてしまうと、契約内容によっては損失が発生することや、違法行為につながることもあります。下記は、よくある契約書の管理のトラブルの例です。
契約書の管理におけるトラブルの例
- 社員が個人で保管し、ずさんな管理で紛失した
- 保険契約の更新漏れがあり、事故があった際に保険金がおりなかった
- 期限の切れた契約書を早く廃棄しすぎたため、後のトラブル時に証拠として提出できなかった
- セキュリティ対策が不十分だったために改ざんされ、損害を被った
- 契約内容が周知されておらず、義務を知らなかった社員による不履行が発生した
これらの例からもわかるように、契約書は、様々な角度からリスクにさらされています。適切な管理体制を構築することは、企業を守り、社会的信用を保つためにも極めて重要です。
3. 押さえておきたい、契約書の管理のポイント
ここでは、実際に契約書の管理を行うにあたり、どんなポイントに焦点をあてればよいのか、を説明します。必要なのは、誰が、何を、どこで、どのように……といった、管理のための指針や枠組みを作ることです。
項目 | ルールの例 |
---|---|
誰が | 契約書の管理者、管理部門を決定する。例えば、営業などの契約内容に直接かかわる部門が、それぞれ担当する契約書を管理するのか、または、法務・総務部門の専任担当者が、一括して管理するのか、などの方針を定める。 |
何を | 管理対象となる書類を決定する。契約書のほか、付随して管理する資料や情報があれば、すべて挙げる。 |
どこで | 紙の契約書の場合は、キャビネットで保管する。電子契約の場合は、ファイルサーバー・クラウドストレージなどで保管する。など、管理する場所を決定する。 |
どのように | 保存に至るフロー、アクセス権限、有効期限や更新時期など、管理のためのルールを策定する。 |

4. 契約書の管理方法
ここでは、実際に契約書の管理を行う際の、代表的な3つの手法を紹介します。
4-1. 管理台帳での管理
昔ながらの契約書の管理と言えば、管理台帳です。人の手で1件ずつ、契約番号、契約相手方の情報、契約の有効期間、締結日と満了日、主な契約条項など、必要な情報を記載していきます。紙、電子ファイルにかかわらず、使うことのできる普遍的な手法であり、契約書の数が少ない場合には十分に機能するでしょう。また、コストもさほどかかりません。
しかし、人に依存するため、ミスが発生しやすくなるなどのデメリットもあります。数が多ければ、それだけ負担が増え、能動的な契約期限の確認も大変になります。
4-2. 契約書管理システム、電子契約システムでの管理
契約書の管理に特化したシステムも存在します。契約書管理システムは、契約書の作成、保存、追跡、更新、共有などを一元管理するためのシステムです。また、近年では電子契約に特化したクラウドサービスも増えており、一部の電子契約のサービスは、契約書の管理の機能を併せ持っています。
これらのシステムは、それぞれの業務に特化したものなので、契約や契約書の管理をするには、非常に使いやすいと言えるでしょう。一方で、契約に関する書類以外の業務では使用できないため、ほかの文書に関する管理業務とは別で行う必要があります。そのため、システムの乱立につながるといったデメリットが存在します。
4-3. 文書管理システムでの管理
文書管理システム(DMS: Document Management
System)は、契約書を含む企業内の様々な文書を包括的に管理するシステムです。契約書の管理に求められる機能は、ほぼ網羅しており、加えて、契約に至る稟議の段階で利用できるワークフロー、様々な関連文書の保管といった機能までを一気通貫で提供しています。報告書、議事録、マニュアル、指示書など、いわゆる契約書管理システムの範疇にない文書までも、併せて管理できる点がポイントです。また、文書管理システムは、特に検索機能に優れているものが多く、契約書管理システムと同様に、バージョン管理や変更履歴の追跡ができ、過去の契約内容や修正も簡単に確認することができます。
文書管理システムの優位性は、汎用的なシステムだからこその対応力です。複数のシステムに契約書が分散して保存されることを防ぎ、管理を大幅に効率化します。これらの特長から、文書管理システムが契約書の管理に適していることは容易に理解できます。次章で、その選び方や必須機能について、さらに詳しく説明しましょう。

5. 文書管理システムを使用する際のポイント
文書管理システムで契約書の管理を行う際に求められる機能のうち、重要度の高いものをピックアップします。
● 契約期限や保存期限の管理
契約期限の管理は、契約書の管理の肝といえる機能です。契約に関する日付を適宜、管理者にリマインドし、期限切れや更新忘れといった重大なミスを防止します。様々な契約の状況をカレンダーやリストで一目瞭然にすることもでき、より精度の高い契約書の管理を可能にします。
● アクセス権限の管理
誰が契約書やその関連情報にアクセスできるのか、権限を確実に管理することが重要です。不要な情報へのアクセスを禁止することは、不正を防ぐための基本的かつ重要な対策です。
● ワークフロー
契約関連の業務の効率化に大きく貢献するのが、ワークフローです。契約の締結には複数の書類が必要になることが多く、それぞれにレビューや承認が必要です。文書管理システムがワークフローを搭載している場合、事前の申請・承認までを含めて同一のシステム内で完結させることができ、スムーズな処理が実現します。
● 高度なセキュリティ対策
契約書は、特に機密性の保持が必要とされる文書です。改ざんなどの不正行為の対策、情報漏えいの対策が必須のため、文書管理システムには、アクセス権限の最適化、暗号化、アンチウイルスをはじめとする高度なセキュリティ機能が備わっていることを求められます。セキュリティレベルとしては、国際的な情報セキュリティ規格である「ISO/IEC 27001」などの認証が目安になります。
● 外部システムとの連携
電子契約システム、ワークフローなど、既存の外部システムと併用する場合は、連携性の高さも重要です。どの外部システムからでも同じ契約書を参照できることが望ましく、また、契約書の状態をトリガーに既存業務システムの処理を開始できる機能があれば、さらに業務の効率化が進みます。拡張機能(プラグイン)があれば、より容易な連携が行えます。
● サポート体制
機密性と安全性が求められる契約書管理だからこそ、サポート品質にも注目しましょう。導入したら、それで終わりではなく、長期的な視点で活用を続ける必要があるため、導入サポートのほか、運用支援も重視すべきポイントです。
次の章では、これらのポイントをすべて押さえた文書管理システム「DocuWare」を紹介します。

6. 文書管理システム「DocuWare」による契約書の管理
6-1. DocuWareとは
DocuWareは、契約書の管理に適した文書管理システムです。世界で活用されるスタンダードな製品であり、データ活用の促進、業務の効率化を目指す多くの企業に選ばれています。文書の一元管理・活用・外部システムへの連携まで、包括的な管理が行える点が特長です。
6-2. DocuWareの強み
契約書の管理において、本記事で紹介した様々な要件にしっかりと応えるのがDocuWareの強みです。特に期限管理の機能では、目的に合わせた細やかなリマインドを行うことが可能です。また、DocuWareは、紙文書の電子化の支援にも優れており、紙と電子データによる契約書の混在環境には特に有効です。学習機能付きOCRで、正確かつスピーディに紙の契約書をシステムに取り込み、ペーパーレス化を同時に進めます。
手厚い導入支援も、DocuWareを選択するメリットの1つです。株式会社PFUのプロフェッショナルSEによる導入支援は、単なる業務システムの構築にとどまりません。業務効率化に確実につなげること、さらに導入企業様がその先のお客様に提供するプロダクトやサービスの、品質・満足度を向上させることまでを見据えた支援を行います。
7. まとめ
契約書の管理の課題を解決するのは、契約と契約書だけではなく、その前後のプロセスまでをしっかりと見据えたうえで、一元管理できる文書管理システムです。適切なシステムを導入することで、業務は驚くほど快適になります。DocuWareの汎用性は、契約書の管理のみならず、企業の多様な業務へ適用することが可能です。無償トライアルもご用意していますので、契約書や文書管理に課題をお持ちの方は、まずは、PFUへご相談ください。
*:DocuWareおよびDocuWareロゴは、DocuWare GmbHの商標です。