2025.9.30 |
FAX受注を効率化する5つの方法|ヒューマンエラー防止にも有効

受注業務において多くの企業でFAXが利用されていますが、紙ベースの運用やシステムへの手入力など、業務がアナログになりがちです。その結果、ヒューマンエラーを招きやすく、働き方の制約といった課題が生じやすくなります。
本記事では、FAX受注で起きやすい問題点や、効率化するための5つの方法を解説します。
1. FAXによる受注業務を効率化すべき5つの理由
ここでは、FAXの受注業務で起きやすい5つの問題点について解説します。
- 受信する度に紙を取りに行く必要がある
- 仕分けやファイリングが必要
- データ入力に手間がかかる
- ヒューマンエラーが発生しやすくなる
- 書類を探すのに時間がかかる
1-1. 受信する度に紙を取りに行く必要がある
FAX受注では受信時に紙に自動印刷されるため、誰かが複合機まで取りに行く必要があります。
1回の作業だけを見ると影響は小さく感じますが、何度も複合機の前に移動することが積み重なると大きな時間ロスにつながります。特に、オフィスが広い場合や席と複合機の距離が離れている場合は、移動だけでも非効率です。
さらに、FAXで受信した注文書は紙として出力されるため、内容の確認やシステムへの入力作業はオフィス内でしか行えません。結果として「FAXを確認・処理するためだけに出社しなければならない」という状況が生まれ、テレワーク推進の妨げにもなってしまいます。
1-2. 仕分けやファイリングが必要
受信したFAXは注文書・見積依頼書など、書類の種類や取引先ごとに仕分ける作業が必要です。取引先や受注件数が増えるほど担当者の業務負担が大きくなります。
さらに、仕分けたFAX用紙はファイリングして保管する必要があり、そのための手間や保管スペースの確保も課題です。キャビネットや棚が書類で埋め尽くされ、オフィスのスペースを圧迫することも少なくありません。
加えて、用紙やインクの補充といった消耗品の管理も発生し、紙を中心とした運用は業務負担とコストの増加に直結します。
1-3. データ入力に手間がかかる
紙で受信したFAXの注文内容は、担当者が目で見て確認し、販売管理システムなどへ手作業で入力する作業が必要です。
手入力という単純作業に時間が割かれることで、より付加価値の高い業務に取り組む時間が失われてしまいます。
また、繁忙期などで発注が増加すると入力作業が追いつかなくなることもあるでしょう。結果として、残業による人件費の増加などの原因になります。

1-4. ヒューマンエラーが発生しやすくなる
FAX受注では確認・入力・保管のすべての工程で人が関与するため、各段階でヒューマンエラーのリスクが高まります。
例えば、以下のようなヒューマンエラーが考えられます。
- 発注数量などシステムへの単純なデータの入力ミス
- 受信したFAXの見落とし・回収遅れ
- 書類の紛失
ミスが発生すると入力内容の修正や納期遅延、謝罪対応などにつながる恐れがあります。ミスの内容によっては、取引先からの信用にも影響するため、いっそう注意しなければなりません。

1-5. 書類を探すのに時間がかかる
FAX受注業務では、紙を中心として扱うため過去の注文書の内容を見返したい時に時間がかかってしまいます。紙の書類はデータのようにキーワードで検索できず、大量の書類の中から探すしかないためです。
結果として、急な問い合わせ対応や過去の取引との照合が必要な際に、業務の遅延につながります。
また、書類の原本は原則として社内に保管するため、社外からは内容を確認できません。万が一、入力ミスが後から発見された場合、原本との照合のために出社が必要になるため業務効率の低下につながります。
2. FAXによる受注業務を効率化する5つの方法
ここでは、FAXの受注業務を効率化する5つの方法について解説します。
- OCRでデータ入力作業を効率化する
- RPAで自動化する
- PC-FAXを導入する
- クラウドFAXを導入する
- FAXを介さない受発注システムを導入する
2-1. OCRでデータ入力作業を効率化する
OCRとは、画像データから文字情報を抽出し、テキストデータに変換する技術です。
FAXで届いた注文書から品名や数量、金額などのデータを抽出すれば、システムに手入力する手間が削減され、入力ミスを未然に防げます。

OCRの注意点
データ入力作業を効率化したいならOCRは非常に有効な手段ですが、FAXは文字欠けやかすれ文字など、印刷品質が安定しないケースが多く、一般的にはOCRが難しいと言われています。そのため、文字の認識精度を上げる運用や工夫が重要になってきます。
以下の記事では、OCR精度を向上させるポイントやFAX文書のOCRが難しい理由について詳しく紹介しておりますのでぜひあわせてご覧ください。
2-2. RPAで自動化する
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、人がPC上で行っている単純操作をソフトウェアロボットに代行させて自動化する技術です。業務時間の短縮や作業漏れといったヒューマンエラーの低減が期待できます。
特にFAX受注業務では、OCRと組み合わせることで効果を発揮します。OCRで注文書をデータ化し、そのデータをRPAでシステムに自動登録することで、OCRだけでは効率化にとどまっていた入力業務を自動化できます。

2-3. PC-FAXを導入する
PC-FAXは、現在使用している複合機とPCを連携させ、受信したFAXをPC上でPDFデータとして直接確認できる仕組みです。自席のPCで内容を確認できるため、FAXを受信するたびに複合機まで紙を取りに行く必要がありません。
また、紙出力が不要になることでペーパーレス化にもつながり、これまで発生していた用紙代やインク代といった消耗品コストが削減できます。
2-4. クラウドFAXを導入する
クラウドFAXは、受信したFAXをインターネット経由でクラウドサーバー上に自動保存し、PCやスマートフォンから場所を選ばずPDFで確認できるサービスです。インターネット上でFAXの送受信もできます。
PC-FAXは電話回線利用に限定されるため電波の届く範囲内にいる必要があるのに対し、クラウドFAXはインターネット環境があれば場所を選ばず利用できます。PCだけでなく、スマートフォンやタブレットからもアクセス可能なため、出張時やテレワークとの相性が良いといえます。

2-5. FAXを介さない受発注システムを導入する
FAXを介さず、Web上で受注を行う受発注システムを導入することも業務効率化につながります。受発注システムを導入することで、取引先が入力した発注データをそのまま活用できるため、注文内容をシステムに転記するデータ入力作業が不要となります。
受発注システムの以下のような拡張機能から業務効率化を実現できます。
- リアルタイムでの在庫確認
- スマートフォンからの発注
- 請求書の自動発行
ただし、社内だけでなく取引先にも新しい発注方法への変更を依頼する必要があるなど、導入のハードルが高い部分もあります。
3. FAXによる受注業務を効率化する3つのメリット
ここでは、FAXの受注業務を効率化する3つのメリットについて解説します。
- 業務スピードが上がる
- テレワークしやすくなる
- 顧客満足度が上がる
3-1. 業務スピードが上がる
FAX受注業務を効率化することで、作業時間を短縮でき、業務全体のスピードが向上します。
例えば、PC-FAXやクラウドFAXを導入すれば、FAXを回収するために複合機まで足を運ぶ手間がなくなり、効率的にFAXを受け取ることができます。さらにOCRやRPAを活用すれば、注文内容のデータ入力が自動化され、手作業にかかっていた時間の削減が可能です。
業務スピードが上がることで残業時間の抑制だけでなく、空いた時間を他の付加価値の高い業務に充てられるようになり、全体的な生産性向上につながります。
3-2. テレワークしやすくなる
クラウドFAXのような場所を選ばないツールを導入することで、テレワークへ対応しやすくなります。インターネット環境さえあれば、自宅や外出先からPCやスマートフォンでFAXの受信や確認が可能になるためです。
ツールを導入することで、FAXを確認するためだけに出社するといった非効率な状況を減らせます。また、自然災害や感染症の拡大といった不測の事態が発生した場合でも、事業を継続しやすくなるというメリットもあります。
多様な働き方を許容できるためテレワークを促進しやすくなり、従業員の満足度向上や優秀な人材の確保にもつながるでしょう。
3-3. 顧客満足度が上がる
受注業務の効率化は、迅速かつ正確な顧客対応を実現できるため、顧客満足度の向上につながります。
手作業によるプロセスが自動化されることで、注文を受けてから処理が完了するまでのリードタイムを短縮できるためです。また、データ入力の自動化によって、入力ミスや転記漏れといったヒューマンエラーを削減できるため、誤った数量を発送するなどのトラブルも未然に防げます。
結果として顧客満足度が向上し、長期的な取引関係の維持につながります。
4. FAXによる受注業務を効率化する前に気をつけたい注意点
ここでは、FAXの受注業務を効率化する前に気をつけたい注意点について解説します。
- 自社に必要な機能を選定してから導入する
- 段階的に試しながら導入する
4-1. 自社に必要な機能を選定してから導入する
FAX受注を効率化する際は、自社に必要な機能を選定してから導入しましょう。自社に合っていない方法を導入してしまうと業務効率化の効果が半減したり、課題の解決につながらないなどのリスクがあるためです。
例えば、FAXを受信して電子保存できれば良いのか、文字を自動でデータ化するOCRの認識精度が重要なのかなどによって方法が異なります。
まずは自社の業務フローにおける課題を整理し、何を解決したいのか、どのような機能が必要なのかを明確にして目的に合ったツールを選定しましょう。
4-2. 段階的に試しながら導入する
FAX受注を効率化するためにツールを導入する際は、段階的に試しながら進めていきましょう。全社で一斉に導入すると、現場が混乱する可能性があるためです。
長年慣れ親しんだ業務フローを一度に変更すると、従業員が新しいシステムの使い方に戸惑い、効率が落ちることも少なくありません。
まずは、特定の1回線だけで試験的に実施したり、FAXの利用頻度が最も高い部署で先行導入したりして、効果や運用上の課題を確認するのがおすすめです。
小規模な範囲で得られた知見や改善点を反映しながら、徐々に適用範囲を広げることで、リスクを最小限に抑えつつ、着実に導入を進められます。
5. まとめ
本記事では、FAX受注業務における効率化方法を詳しく解説しました。
FAXによる受注業務は、作業場所の制約や作業の負担、ヒューマンエラーといった多くの課題を抱えています。これらの問題を解決するためには、組織としての課題を特定し、目的に合ったツールの導入が有効な手段です。
特にFAX文書のOCRは、認識精度の低さが課題とされていましたが、技術の進歩によりその実用性は大きく向上しています。PFUの「DynaEye 11」では、AI-OCR機能が強化され、これまで読み取りが難しかったFAX特有のかすれ文字や薄い印字も高精度に認識できるようになりました。
FAXを扱う多くの業種・業務において、データ入力業務の効率化と担当者の作業負担軽減を実現し、生産性の向上が期待できるでしょう。
AI-OCR機能が強化されたPFUの「DynaEye 11」について、こちらの記事で詳しく解説しているのであわせてご覧ください。