母子保健事業に欠かせないアンケートの入力業務を自動化し、作業時間を1/6に短縮
A3高速スキャナーと業務用OCRソフトウェアの連携で、庁内の定型作業を効率化
七尾市 健康福祉部 健康推進課
業種:自治体
七尾市人口:49,660人(令和4年3月)
課題:毎月実施している「健やか親子21アンケート」の回答を集計するために、回答を1枚ずつ手作業でExcelに転記しており、時間と手間がかかっていた。
解決法:PFUのA3高速スキャナー「fi-7480」と業務用OCRソフトウェア「DynaEye」を導入し、回答の入力業務を自動化。
効果:1か月分のアンケートの回答入力にかかる時間が1/6に短縮。空いた時間で個別相談の対応時間を増やすなど、本来の保健師業務に集中できるように。
企画振興部 企画政策課
デジタル戦略室 水戸さん
健康福祉部 健康推進課
桶成さん
健康福祉部 健康推進課
松本さん
企画振興部 企画政策課
デジタル戦略室 水戸さん
健康福祉部 健康推進課
桶成さん
健康福祉部 健康推進課
松本さん
妊娠・出産・育児が安心して行えるようサポートする母子保健事業では、子育て家庭が抱えるニーズや悩みに寄り添い、適切な支援へとつなげることが必要です。七尾市 健康福祉部 健康推進課では、A3高速スキャナー「fi-7480」と業務用OCRソフトウェア「DynaEye」を活用し、「健やか親子21アンケート」の回答入力業務を効率化。毎月のアンケート結果の入力にかかる時間が1/6に短縮されたことで、健診後の個別相談の対応時間を増やすなど、柔軟な体制で妊産婦のケアができるようになっています。その取り組みについてお話をうかがいました。
定型作業の効率化で、高度化・多様化する市民ニーズに対応したい
健康福祉部 健康推進課 母子保健グループの松本さんにうかがいます。母子保健グループでは、主にどういった業務を担当されていますか?
松本さん:妊産婦健診や乳幼児健診、これからお子様が生まれるご家庭向けのサポート教室、発育や発達に関するご相談、離乳食や食事のお話など、子育て家庭が安心して育児を行えるよう、心身の健康に関する支援を幅広く承っています。
健診や教室は基本的に来所いただいていますが、新生児期から乳幼児期には保健師がご家庭に伺い赤ちゃんの体重測定や育児相談を行うなど、出産前から出産後まで様々なサービスを行っています。
PFUのスキャナーとOCRソフトウェアが導入されているのはどの業務でしょうか。同じく健康推進課 母子保健グループの桶成さんにうかがいます。
桶成さん:乳幼児健診時に保護者から回収している「健やか親子21アンケート」の回答入力作業になります。健やか親子21アンケートは「子どもの健やかな成長を見守り育む地域づくり」の実現に向けて国が実施しているアンケートで、4か月児・1歳6か月児・3歳児を対象に行っている乳幼児健診の際に回答していただきます。回答結果は年に1度集計して、県に報告しています。
健康推進課の桶成さん。乳幼児健診では、お子様の発育・発達から離乳食や生活習慣などを確認し、乳幼児の健康保持と増進のためのサポートを行います。
実際に使用している健やか親子21アンケートの用紙です。健診を行う年齢ごとに、それぞれ10問ほどの質問があります。
左:健康推進課の桶成さん。乳幼児健診では、お子様の発育・発達から離乳食や生活習慣などを確認し、乳幼児の健康保持と増進のためのサポートを行います。
右:実際に使用している健やか親子21アンケートの用紙です。健診を行う年齢ごとに、それぞれ10問ほどの質問があります。
どのようなきっかけから、スキャナー「fi-7480」とOCRソフトウェア「DynaEye」を導入いただいたのでしょうか。庁内業務のデジタル化をサポートされている企画政策課 デジタル戦略室の水戸さんにうかがいます。
水戸さん:デジタル戦略室で「高度化・多様化する市民ニーズに対応するため、RPAの導入で帳票データの転記や集計などの定型作業を効率化できないか」と検討を始めたことがきっかけです。検討にあたり各部署で導入できそうな業務があるかヒアリングしたところ、福祉課と子育て支援課から「医療費払い戻しに関する請求書の処理業務を効率化したい」との要望があがり、そこから導入をスタートしました。さらに、健康推進課の「健やか親子21アンケート」の入力・集計業務でも活用できないかとの声があり、取り組みを拡大して今に至ります。
RPAを導入するには、書類を電子化するためのスキャナーに加え、帳票に記載されている情報をデータ化するためのOCRソフトウェアが必要になります。そのため、RPAの導入を支援されている株式会社システムサポート様にご協力いただきながら「fi-7480」と「DynaEye」を導入しました。
企画政策課の水戸さん。RPA導入のため勉強会を実施したり、総務省が発行しているガイドブックや他自治体での活用例を見ながら、徐々に理解を深めてきました。
DynaEyeがインストールされたPCとスキャナーは印刷室に設置されていて、複数の部署で利用できるようになっています。
左:企画政策課の水戸さん。RPA導入のため勉強会を実施したり、総務省が発行しているガイドブックや他自治体での活用例を見ながら、徐々に理解を深めてきました。
右:DynaEyeがインストールされたPCとスキャナーは印刷室に設置されていて、複数の部署で利用できるようになっています。
A3高速スキャナー「fi-7480」と業務用OCRソフトウェア「DynaEye」の連携で、アンケート結果の入力業務を自動化
スキャナー・OCRソフトウェアを使用した「健やか親子21アンケート」の入力業務の流れについて、詳しく教えてください。
桶成さん:ご家庭に乳幼児健診のご案内とアンケート用紙を同封して郵送し、健診当日、ご持参いただいたアンケート用紙を回収します。アンケートは、4か月児健診・1歳6か月児健診・3歳児健診で実施しており、1回の健診で20~30枚、1か月で計80枚ほど集まります。健診時はアンケートの回答も確認しながら健診を行い、健診後1~2日以内にアンケートの回答をスキャナー・OCRソフトウェアを使って入力します。
入力時は、担当している年齢分のアンケート用紙20~30枚をまとめて「fi-7480」でスキャンします。スキャンしたデータは直接「DynaEye」に取り込まれるので、取り込まれたアンケート用紙の回答をOCR機能で認識させ、モニター上で、認識結果と画像を照らし合わせながら確認します。すべての回答を確認したら、結果をCSVファイルで出力して完了です。
DynaEyeで、取り込んだイメージデータのOCRと、認識結果の確認作業を行います。
記入欄の画像と照らし合わせながら、認識結果を確認できます。
左:DynaEyeで、取り込んだイメージデータのOCRと、認識結果の確認作業を行います。
右:記入欄の画像と照らし合わせながら、認識結果を確認できます。
アンケートは選択式でしょうか?
桶成さん:ほぼ選択式です。保護者の喫煙本数のみ、数字でご記入いただく必要があります。以前は、該当する番号にマルをつけていただくようなアンケート用紙でしたが、現在は、DynaEyeで認識しやすいようチェックボックスで回答いただく形に変更しています。
DynaEyeの認識精度も良く、回答が枠から大きくはみ出ている場合や、訂正のために塗りつぶされている場合は認識結果を修正する必要がありますが、そういったものは50問中1問程度で少ないです。
入力業務を機械が行ってくれるため、私たち担当者は認識結果を確認するだけで良く、一人でも十分な体制で業務にあたることができます。
回答の際はチェックボックスにチェックを記入してもらいます。回答は、DynaEyeが自動で認識し、結果を出力します。
使用しているスキャナーはA3サイズまでの用紙を取り込むことができる「fi-7480」。原稿の上下の向きも自動で補正してくれます。
左:回答の際はチェックボックスにチェックを記入してもらいます。回答は、DynaEyeが自動で認識し、結果を出力します。
右:使用しているスキャナーはA3サイズまでの用紙を取り込むことができる「fi-7480」。原稿の上下の向きも自動で補正してくれます。
CSV出力されたあとのデータはどうなるのでしょうか?
桶成さん:各月のCSVファイルは乳幼児の年齢ごとのフォルダーに蓄積していて、年に1度、石川県へ報告するタイミングで集計します。集計した値は、報告用フォーマットに転記して石川県に送付します。報告用フォーマットも値を転記するだけで作成できるようになっているので、短時間で作業を終えることができます。
書類をハイスピードで取り込むことができ、手書き・活字文字の両方が認識可能
A3サイズまでの書類を取り込めるスキャナー「fi-7480」をご活用いただいていますが、どのような点が導入の決め手となりましたか?
水戸さん:最初に導入をスタートした福祉課と子育て支援課の伝票処理業務では、A4、A5、B4など様々な伝票サイズがあったため、いずれの用紙サイズにも対応可能、かつ大量の書類を高速でスキャンできるという点がポイントになりました。
さらに今後、活用用途が増えた場合でも用紙サイズを気にすることなくスキャンできるよう、A3サイズまでの書類を取り込むことができる「fi-7480」を選択しました。
申請書の入力業務の自動化など様々な可能性を考えると、A3サイズまで取り込めるスキャナーがあれば安心ですね。
「DynaEye」は、どのような点がポイントとなりましたか?
水戸さん:伝票の活字やアンケート用紙の手書き文字といった、活字・手書きの両方が認識可能な点です。かつ、スキャナーと同じPFU製のソフトウェアで相性が良い点もポイントになりました。
毎月のアンケート入力業務において実際にご使用いただき、使い心地はいかがでしょうか。
桶成さん:「fi-7480」はスキャンスピードがとにかく速いですし、私がこの業務を担当して半年経ちますが、紙詰まりを起こしたこともありません。スキャンしたアンケート用紙はカルテとして5年間保管するのですが、綺麗な状態のままファイリングできています。
「DynaEye」は、使い始めは操作が少し難しく感じましたが、毎月使用するうちすぐに慣れました。導入時に作成した簡易マニュアルもあるので安心して業務にあたれます。ほかにも同じ作業の担当者が2名いますが、滞りなく処理できています。
認識結果の修正も50問中1問程度ですし、シャープペンシルとボールペンのどちらで記入いただいた回答でも認識できるので、ペンを探すような保護者のちょっとした負担も軽減できますね。
「fi-7480」は、A3サイズまでの書類を1分間に80枚の速さでスキャンできます。桶成さんは、そのスキャンスピードに驚いたと言います。
担当者は1枚1枚の回答を手作業で転記する必要がなく、認識結果と回答を突き合わせて確認すれば作業が完了します。
左:「fi-7480」は、A3サイズまでの書類を1分間に80枚の速さでスキャンできます。桶成さんは、そのスキャンスピードに驚いたと言います。
右:担当者は1枚1枚の回答を手作業で転記する必要がなく、認識結果と回答を突き合わせて確認すれば作業が完了します。
入力業務にかかる時間が1/6に短縮し、個別相談の対応時間が増加
アンケートの入力業務が効率化されたことで、どのような効果がありましたか?
松本さん:職員が手作業で転記していた頃から比べると、毎月の回答入力時間が1回の健診あたり1時間から10分に、4か月児・1歳6か月児・3歳児を対象に健診は月に3回行っているので、トータルで3時間から30分に短縮されました。
空いた時間で相談対応の時間を増やすなど、柔軟な体制で妊産婦のケアができるようになっています。時間だけ見れば効果は少ないかもしれませんが、本来の保健師業務に時間を費やせるようになったのは大きなメリットです。
桶成さん:以前は作業時間を前もって確保していましたが、作業時間が10分に短縮されてからは業務と業務の合間に対応できるようになりました。
また、手入力の場合、段違いで入力していないか、どこまで入力したかなど注意を払う必要がありますが、今は認識結果をチェックするだけで良いのでそうした負担もありません。
作業が効率化されたことで、妊産婦からの相談や健診への要望にも、これまで以上に柔軟に対応できるようになりました。
こうした改善が積み重なれば大きな成果になりますね。
今後、「fi-7480」や「DynaEye」を他業務でも活用いただくご予定はありますか?
水戸さん:今まさに、ほかにも効率化できそうな業務がないかヒアリングを行っているところです。庁内には同じような伝票処理作業やアンケートの入力業務があるので、これまでの取り組みを先進事例として他業務に横展開していきたいと考えています。業務負荷・コスト・心理的負荷などを勘案して進めていく予定です。
今後もPFUのスキャナーとOCRソフトウェアが業務効率化の一助となれば幸いです。本日はお忙しいところ、ありがとうございました。
※本記事に記載されている会社名、製品名などは、各社の商標または、登録商標です。