1. インボイス制度や改正電子帳簿保存法により負担が増える請求書処理をAI-OCRで効率化!
2024.10.16

インボイス制度や改正電子帳簿保存法により負担が増える請求書処理をAI-OCRで効率化!

インボイス制度の施行や改正電子帳簿保存法が請求書処理業務に影響し、経理部門への負担が企業の悩みとなっています。その中で今、「AI-OCR」が請求書処理の効率化に役立つソリューションとして注目を集めています。
今回のコラムでは、インボイス制度や改正電子帳簿保存法により、新たに対応が必要となった業務と課題、「AI-OCR」を活用して効率化する方法をご紹介します。

1. 請求書処理における従来からの課題

請求書の処理業務で従来から効率化へのニーズが高いのが「データ入力プロセス」です。
支払依頼書と請求書原本を元にした、請求書内容のデータ化、業務システムへのデータ入力、同時に自身が入力した内容の確認など、請求書内容の確認とデータ入力業務が、経理担当者の負担となっています。
また、データ入力業務を人手で行った場合、時間や手間がかかり、人的ミスが発生するリスクもあります。

2. インボイス制度と改正電子帳簿保存法により、経理の負担増加

インボイス制度および改正電子帳簿保存法によって、新たな業務が発生し、経理部門の大きな負担となっています。

2-1. インボイス制度とは

インボイス制度(正式名称「適格請求書等保存方式」)とは、複数税率に対応した消費税の仕入税額控除の方式で、2023年10月から施行されました。 インボイス(適格請求書)は、販売先に対し、税率と税額を正確に伝えるために、従来の区分記載請求書に必要事項を追記した請求書のことを指します。 消費税を納付する際に、仕入先等が発行するインボイスがないと仕入税額控除が受けられません。

2-2. インボイスの確認業務

インボイス制度では、インボイス(適格請求書)への登録番号(適格請求書発行事業者として登録を受けた際に発行される番号)記載が必須となり、課税事業者である買い手はそのインボイスを保管することが原則となりました。 そのため、インボイスを受領した側には、登録番号などの必要記載項目を満たしているか、また番号が正しいかを確認する業務が新たに加わりました。 インボイスは取引先によってレイアウトが異なるため、必要記載項目を見つけるのにも手間がかかります。

2-3. 改正電子帳簿保存法とは

国税に関する電子帳簿保存法は、2022年に「改正電子帳簿保存法」が施行され、所轄税務署が相当の理由があると認める場合など、従来から要件が緩和される「猶予措置」が設定されましたが、その一方で、電子取引データの紙保存(出力保存)が実質禁止され、すべて「電子データで保存」することが完全義務化となりました。

2-4. 検索要件

国税関係書類を電子データで保存する場合は改正電子帳簿保存法の要件を満たす形で保存する必要があります。その一つが検索要件です。
検索要件に対応する方法には次の2つがあります。

  1. 保存するデータのファイル名に「取引年月日」・「取引金額」・「取引先」を含める
  2. エクセルによる索引簿や文書管理システムを導入し、「取引年月日」・「取引金額」・「取引先」の項目で検索できるようにする。

いずれの方法においてもファイル名や検索項目の設定を手入力で行うとなると大きな負担がかかり、入力ミスのリスクもあります。

3. 請求書処理を効率化する方法

3-1. 「AI-OCR」の導入

請求書処理業務を効率化するための具体的な方法として、「AI-OCR」の導入が効果的です。
AI-OCRとは、AIの学習機能とOCRの読み取り処理を融合させた技術で、紙の帳票をスキャンして作成した画像データから、高度な文字認識機能でテキスト情報を抽出することが可能です。
帳票の文字や数字を目視で確認しながら業務システムに手入力していた作業を効率化し、人手不足の解消や作業時間の大幅な削減が可能になります。

3-2. インボイスの確認業務を効率化

インボイスから登録番号をAI-OCRで読み取ることで、必要記載項目を満たしているかチェックする業務・業務システムへのデータ入力作業を効率化することができます。
インボイスは取引先によってレイアウトがさまざまですが、AI-OCRは異なるレイアウトの帳票も高精度に認識できます。読み取り位置を間違えた場合でも、学習機能により、次回から正しく読み取りできるようになります。

3-3. 検索要件への対応

請求書から「取引年月日・取引金額・取引先」といった情報をAI-OCRで抽出し、ファイル名を付与したり、索引簿・文書管理システムへ検索データとして登録する作業を効率化することができます。

請求書処理を外部委託するという選択肢

請求書処理を効率化する方法として、「請求書受領サービス」を利用するという方法もあります。
「請求書受領サービス」とは、取引先から届く請求書の受け取り、スキャン・データ化・保管などを代行するサービスのこと。
データ化作業を中心に効率化するAI-OCRに対し、業務効率化の範囲が広いことが特長です。
以下の記事で、「請求書受領サービス」と「AI-OCR」を詳しく比較していますのでぜひご覧ください。

4. AI-OCRを活用した請求書処理の効率化の事例と効果

4-1. スキャナーとAI-OCR/RPAツールの連携で、一般財形「払出請求書」のシステム入力を自動化
【朝日生命保険相互会社様】

課題
月400通が郵送で届き、随時送金処理が必要な「一般財形貯蓄の払出請求書」の請求内容をシステムに手入力するため、担当部署では毎日、午前中に時間を割いて対応していた。
解決策
RPAツール導入をきっかけに、AI-OCRと業務用スキャナーを連携させて入力作業を自動化する仕組みを構築。
導入効果
年間約300時間の入力作業が削減され、チェック作業などの繁忙時の作業負担も大きく軽減された。

事例の詳細は、下のリンクからご参照ください。

4-2. スキャナーとAI-OCRの活用で「出来高払い」の円滑な運用に成功
【株式会社松村組様】

課題
  • 国土交通省が推奨する出来高払いの処理への対応
  • 働き方改革の一環としての労働時間の抑制
解決策
業務用スキャナーで出来高請求書をスキャンし、AI-OCRを組み込んだRPA処理で記載内容を「出来高査定システム」へ自動入力。
導入効果
工事事務所業務の大幅時短と本社業務の効率化に成功し、出来高払いのスムーズな処理が実現したほか、電帳法対応の文書管理も実現。
「出来高査定システム」連携図
株式会社松村組様事例の「出来高査定システム」連携図

事例の詳細は、下のリンクからご参照ください。

5. 請求書・注文書・納品書のデータ入力業務を効率化する「DynaEye 11 Entry AI-OCR」エントリーアプリケーション

「DynaEye 11 Entry AI-OCR」は、インストールしたPC内でOCRを完結するオンプレミス型のAI-OCRソフトウェアです。 申込書などのレイアウトが同じ帳票に対応する「標準アプリケーション」と、取引先や案件ごとにレイアウトが異なる帳票に対応する「エントリーアプリケーション」があり、請求書・注文書・納品書の読み取りに最適な「エントリーアプリケーション」について紹介します。

5-1. PC内でOCR処理を完結、情報漏えいリスクなく安全

オンプレミス型により、外部へ情報を送る必要がないため、情報漏えいのリスクなく、安全に個人情報や機密情報を扱うことができます
加えて、インターネットを経由するクラウド型OCRサービスとは異なり、PC内でOCR処理を完結するため、ネットワークの影響を受けずに、スピーディーにOCR結果を確認することができます。

5-2. 「レイアウト学習」×「オンプレミス」により、自社で取り扱う帳票に特化した認識精度向上を実現

AI-OCRの「レイアウト学習」は、読み取り位置を間違えた際に、正しい位置を覚えさせることで、次回から読み取りできるようになる機能です。
一般的なクラウド型のAI-OCRでは、ほかのサービス利用者の取引書類の情報も蓄積され、学習データへの反映はサービス側の任意のタイミングで実施されます。一方で、「DynaEye 11 Entry AI-OCR」エントリーアプリケーションでは、自社で取り扱う取引書類だけを学習し、即座に学習データに反映するため、常に自社の業務に特化した最適な状態で認識が行えます。取引書類に「レイアウト学習」を実施するほど認識精度は向上し、確認・修正の手間を削減できます。
「レイアウト学習」機能は、複雑な条件設定や特別なスキルは不要で、わずか3ステップだけ、誰でも簡単に操作可能です。

DynaEye 11とクラウド型AI-OCRサービスの学習データの違い DynaEye 11とクラウド型AI-OCRサービスの学習データの違い

5-3. 作業負担を軽減する確認・修正画面

視線の移動量が少なく見やすい画面で、確認・修正作業の負担を軽減します。
進捗リングには項目ごとの状態を3色で表示。警告やエラーがわかりやすく、金額間違いや入力漏れを見落としません。

「DynaEye 11 Entry AI-OCR」エントリーアプリケーションの進捗リングの説明図

「エントリーアプリケーション」について、詳しく知りたい方は下記からご覧いただけます。

6. まとめ

インボイス制度や改正電子帳簿保存法への対応により、経理担当者の負担が増えています。
その中で、データ入力作業を効率化するソリューションとして、今、AI-OCRが再び注目を集めています。
PFUは、オンプレミス型のAI-OCRソフトウェア「DynaEye 11 Entry AI-OCR」をご提供し、お客様の各法律への対応による請求書処理フローの課題や効率化のための施策をご提案します。

  • インボイス制度や改正電子帳簿保存法への対応業務を効率化したい
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