1. 【製造業向け】図面管理の最適解とは?4つの方法を徹底比較
2025.4.24

【製造業向け】図面管理の最適解とは?4つの方法を徹底比較

日々大量の図面を取り扱う製造業では図面の管理方法に悩むことが多いかと思います。図面管理の方法は、大きく分けて「紙で管理する方法」と「データで管理する方法」の2種類があります。さらに、データで管理する方法は、 「保管先の違い」によって3つに分類できます。

  • ① 紙で管理する
  • ② データで管理する 保管先:ファイルサーバー
  • ③ データで管理する 保管先:文書管理システム
  • ④ データで管理する 保管先:図面管理システム

本記事では、4つの管理方法のそれぞれの特徴や、メリット・デメリットを詳しく解説します。どの方法が最適か、選ぶ際の参考にしてみてください。

1. 製造業における図面管理方法の選定で重要なポイント

図面管理とは、設計図面などを長期間確実に保管し、必要な時にすぐに取り出せる状態にして活用・情報共有できる状態にすることです。製造業では設計変更が多いことから、以下のようなポイントが重要です。

  • 必要なデータをすぐに取り出せるか(検索性)
  • 情報共有はスムーズに行えるか
  • 保管先がバラバラになっていないか(一元管理)
  • 過去、最新のデータがどれか一目でわかるか

このポイントに注目しながら、次章以降で具体的な図面管理の方法を紹介します。

2. 図面管理の方法は紙とデータどちらが良い?

まず、図面管理は「紙で管理する方法」と「データで管理する方法」の2つに分けられます。

2-1. 紙で図面管理する方法はおすすめしない

紙で管理していると、以下のようなデメリットがあります。

  • 図面を取り出す際、わざわざ保管庫まで足を運ぶ必要があり、大量の図面の中から探さないといけないため、検索性が低い。
  • 物理的な保管庫が必要となり、図面の数が増えるほど業務スペースを圧迫する。
  • 図面の紛失によるセキュリティ事故が発生する。
  • 破損や劣化するリスクがあり、図面を見ることができなくなる。

2-2. データで図面管理する方法がおすすめだけど簡単ではない現場の事情

CADなどの元々データの図面はそのまま管理すれば良いのですが、実際の製造現場ではどうしても紙の図面が発生しやすいです。作業員は、電子機器の操作に不慣れな場合や、電子機器が故障するような過酷な環境で作業する場合、印刷した紙の図面を見ながら作業することが多いです。そこに赤入れなどの手書きのコメントや貼り付けが加わって、その紙が最新の図面として扱われることがあります。このようなケースにおいてはスキャナーを使って図面をデータ化し、CADと合わせて一元管理するのがおすすめです。

紙で管理する方法と比較すると、データで管理する方法は効率が上がりますが、データの保管先によって検索性に大きく違いが出ます。次の章で詳しく解説します。

3. データで図面管理する方法【ファイルサーバー編】

データの図面を「ファイルサーバーに保管する」方法を紹介します。

3-1. ファイルサーバーに保管する方法のメリット

ファイルサーバーに保管することにより、

  • ファイル名やフォルダ名で検索できるため、検索性が向上し、確認したい図面をすばやく見つけることができる
  • データ保管により、紛失や物理的な破損・劣化リスクがない

など、紙で管理する方法と比較して多くの業務効率化メリットが生まれます。

3-2. ファイルサーバーに保管する方法のデメリット

  1. 管理する図面が多いと検索性が不十分に感じる
    紙と比べると検索性は向上しますが、管理する図面が増えるとファイル名・フォルダ名の検索では限界があります。例えば、取引先の会社名をファイル名に含めていても、取引件数が多かったりすると検索結果が膨大になり、探しているデータを瞬時に見つけることが難しいです。
  2. バージョン管理が難しい
    データが最新版か、過去版か、判別がしづらい状況に陥りやすいです。よくある対策としては、以下のようにファイル名のつけ方を工夫する方法がありますが、メンバーが増えたり入れ替わったりしてもルールが統一されるよう、周知を徹底する必要があります。
    「文書種別名_更新日付_版数」 → 例 : PFU部品量産_20250321_v2
  3. 使用端末ごとにライセンス費用が発生
    データを閲覧する際、使用する各端末に専用CADソフトなどがインストールされている必要があるため、その分のライセンス費用が必要です。
  4. ファイルを開くのに時間がかかる
    情報量が多い場合や複雑な図面はデータを開くのに時間がかかるなど、効率の課題もあります。

4. データで図面管理する方法【管理システム編】

データの図面を「管理システムに保管する」方法を紹介します。管理システムは、汎用性のある「文書管理システム」と図面専用に特化した「図面管理システム」に区分されます。

4-1. 管理システムのメリット

管理システムは、データを一元管理し、確認したいデータをすぐに取り出すための検索機能や、過去の変更履歴を記録して最新データを一目で判別できるバージョン管理が充実しています。

(1)充実した「検索機能」が搭載されている

ファイルサーバーを使った方法では、ファイル名やフォルダ名に設定しているキーワードを頼りに検索をかける仕組みですが、管理システムは様々な条件・範囲から検索をかけることができます。それを可能にするのが、「インデックス検索」です。「インデックス検索」とは、システムに図面データを取り込む際に、図面番号、図法、作成者、といったインデックス(索引)をあらかじめ登録しておき、そのインデックスを利用して検索できるようにするものです。その他、ファイル内に記載されている文字から探し出すことが可能な「全文検索」などもあります。

(2)最新データをすぐに判別できる「バージョン管理機能」

管理システムの「バージョン管理機能」は、データを登録する際にバージョン番号が付与される設定になっています。自分でファイル名にバージョン番号を付ける場合、「v2」、「最新」など個人によって命名方法が異なったり、そもそも入れ忘れが起きたりします。システムの一覧画面で、バージョン番号を確認、もしくはアイコンや色分けを見れば、一目で最新データかどうかを判別することができます。また、誰が、いつ、どのような変更をしたのか変更履歴に関する情報を記録することもできます。

4-2. 管理システムのデメリット

導入するにあたり初期費用がかかる点がネックです。一方、「ファイルサーバーに保管する方法」であれば、すでに社内にファイルサーバーが導入されているケースも多く、追加費用を最小限に抑えることができます。ただし、3章でも解説したように、管理する図面データが増えると検索に時間がかかり、期待したほどの効果が得られない可能性があります。表面化しづらい人件費や時間コストにも注目してみましょう。

4-3. 文書管理システムの特徴

図面はもちろん、図面に関連する様々な形式のドキュメントを管理できるのが、文書管理システムの特徴です。保管できるデータの拡張子は幅広く対応しているため、図面に多いCADやPDFファイルだけでなく、Microsoft Officeのファイルから動画まで、図面に関連するものは全て一元管理することができます。

4-4. 図面管理システムの特徴

図面管理システムは、図面に関わる業務に特化した強みを持っています。ここでは、文書管理システムにはない図面管理システム独自の機能を紹介します。

(1)似ている図面を抽出する「類似図面検索」

「類似図面検索」とは、図面管理システム内に登録されている図面の中から、AIなどによって検索対象と似ている図面を抽出する機能です。また、図面同士で差分がある箇所はどこなのか、視覚的に表示することが可能です。

(2)専用ソフト不要で図面を即閲覧できる「ビュアー機能」

ビュアー機能とは、図面データを閲覧・表示用のデータに変換する仕組みで、CADファイルを閲覧するための専用ソフトがなくても図面を確認できるようにします。編集はできませんが、“見ること”に特化した軽量データのため、データを開く際に時間がかかりません。

4-5. 文書管理システムと図面管理システムの選定で迷ったら

同じ管理システムである「文書管理システム」と「図面管理システム」は、似た機能を持っています。
文書管理システムは図面に特化していない分、汎用性が高いことが特長です。図面に関連する書類も一元管理したい場合や、経理や人事など製造部門以外にも展開して全社的にドキュメント管理を進めたい場合に適しています。
一方、図面管理システムには4-3.で紹介したような図面特有の機能が備わっているため、図面管理を徹底的に効率化したい場合は選ぶとよいでしょう 。

5. 4つの図面管理方法の比較表

図面管理の4つの方法について、2章から4章で紹介してきました。以下の比較表では、各方法のメリットやデメリットをシンプルに整理しています。ご自身の業務環境に適した選択をするための参考にしてください。

比較ポイント ファイルサーバー 文書管理システム 図面管理システム
検索性 ×
情報共有のしやすさ ×
一元管理 ×
バージョン管理 ×
初期費用の抑えやすさ × ×
汎用性 ×

6. 業務用スキャナー「RICOH fi Series」と文書管理システム「DocuWare」をご紹介

6-1. fiシリーズ

fiシリーズ」は、世界シェアNo.1(*1)の業務用スキャナーで、視認性の高い画像生成に優れています。製造現場でついてしまった汚れやシミは画像変換時に除去し、作業員の手書きメモや細かい線をクリアな状態で保存します。高品質な画像を生成するfiシリーズの特長について、詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

fiシリーズは用途に合わせて豊富なラインナップを揃えております。A4サイズの図面の読み取りが多いなら「RICOH fi-8170」、A3サイズなら「RICOH fi-7460」がおすすめです。

6-2. DocuWare

DocuWare(ドキュウェア)」は、世界100か国以上、19,000社以上の多くのお客様にご利用いただいている文書管理システムです。ドキュメントを様々な取込方法で保存し、OCRによるインデックス値(属性情報)の自動登録や、ワークフロー機能、柔軟な外部システムとの連携により、図面管理業務の効率化を推進します。

(1)使い慣れた画面で、かんたん・スピーディーに図面を登録

DocuWareは、使い慣れたWindowsエクスプローラーライクな操作性で、図面の取り込み・保存、名前変更、削除などの操作が可能なため、新システムへの移行時の抵抗感を軽減できます。

(2)クラウド版とオンプレミス版から選択可能

DocuWareには、クラウド版とオンプレミス版があり、自社の環境にあわせて選択できます。クラウド版は素早く導入でき、システム運用の手間がかからないのに対し、オンプレミス版は高度なセキュリティ要件を満たし、企業独自のセキュリティポリシーにも対応できます。

(3)自社に合わせた設定のチューニングが短時間で完了し、スムーズに運用開始

図面管理業務をはじめ、支払請求書処理業務、契約書管理業務など、業務に適した標準設定を用意しています。標準設定をもとに自社に合わせたチューニングができるため、自社に最適な設定を短時間で完了し、スムーズに運用を開始できます。

7. まとめ

図面を管理する4つの方法について、紹介しました。図面管理は紙よりもデータで管理するのが効率的です。さらに、データの保管先としては、ファイルサーバーよりも文書管理システムや図面管理システムを活用することで、検索性やバージョン管理の利便性が向上し、業務のスムーズな運用につながります。
PFUでは、業務用スキャナー「fiシリーズ」と文書管理システム「DocuWare」のご提供を通じて、現場の図面管理業務の効率化をサポートしてまいります。困ったことがあればぜひご相談ください。

*1:ドキュメントスキャナーを対象とする。日本・北米はKEYPOINT INTELLIGENCE社(InfoTrends)により集計(2023年実績)。ドキュメントスキャナー集計よりMobile/Microを除く6セグメントの合計マーケットシェア(主に8ppm以上のドキュメントスキャナー全体)欧州はinfoSource社(2023年実績)の集計に基づき、西欧地区(トルコとギリシャを含む)におけるシェア。
*2:DocuWareおよびDocuWareロゴは、DocuWare GmbHの商標です。

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