| 2025.12.4 |
OCRをAPI連携する3つのメリットとおすすめのOCR製品

OCR をAPI連携することで、文字認識機能を自社の業務システムやサービスに組み込むことができ、転記作業の削減や利便性の向上につながります。
本記事では、OCRを業務システムや自社サービスとAPI連携する3つのメリットや製品の選び方、おすすめのOCRまで詳しく解説します。
CONTENTS
1. OCRとのAPI連携とは
OCRとは、画像データから文字情報を抽出し、テキストデータに変換する技術です。
APIとは、ソフトウェアやシステム同士をつなぐ「橋渡し役」です。異なるプログラム間でデータや機能を共有・連携できるようにすることで、業務効率の向上や新しいサービスを容易に構築できます。
OCRとのAPI連携とは、OCR機能を自社の業務システムやアプリケーションに組み込むことを指します。これにより、業務システムから直接OCR処理を実行したり、OCRの読み取り結果を自動でシステムに取り込んだりすることができます。メリットについては、次の章で詳しく解説します。
2. OCRをAPI連携する3つのメリット
ここでは、OCRをAPI連携する3つのメリットについて解説します。
- 業務システムにOCR結果を自動で取り込める
- 使い慣れた業務システムでOCRを利用できる
- 自社サービスの付加価値が向上する
2-1. 業務システムにOCR結果を自動で取り込める
OCRをAPI連携すると、OCRで抽出したテキストデータを業務システムに自動で取り込めます。これにより、手作業でのコピー&ペーストやCSVファイルの出力・取り込みといった手間が不要になり、業務を効率化できます。
具体的には、以下のように作業手順が変わります。
| API連携していない場合 |
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| API連携している場合 |
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作業時間の短縮だけでなく、転記ミスや入力漏れといったヒューマンエラーの防止にもつながります。
2-2. 使い慣れた業務システムでOCRを利用できる
API連携を活用することで、従業員が日常的に利用している既存の業務システム上で、OCR機能をそのまま使用できます。
OCRソフトやサービスを単体で利用する場合、操作方法を一から覚える必要があり、現場の従業員に負担がかかります。
しかし、使い慣れた画面や操作フローの中でOCRを利用できれば、導入時の混乱を最小限に抑え、教育にかかる時間やコストも削減可能です。
結果として、現場の抵抗感を軽減しながら、スムーズな導入と定着を実現できます。
2-3. 自社サービスの付加価値が向上する
API連携の対象は、社内の業務システムだけに留まらず、自社で開発・提供している外部向けのサービスにも活用可能です。
たとえば、会計システムにOCR機能を組み込めば、利用者は領収書をスキャンするだけで、簡単に記載内容の登録を完了できます。自社サービスにOCR機能を追加することで利便性が高まり、顧客満足度の向上や新規顧客の獲得につながります。
3. OCRをAPI連携することで業務効率化が期待できるシステム
ここでは、OCRをAPI連携することで業務効率化が期待できるシステムについて解説します。
- 会計システム
- 受注・販売管理システム
- 文書管理システム
- 電子カルテシステム
3-1. 会計システム
OCRをAPI連携した会計システムでは、受け取った領収書やレシートをスキャンするだけで、記載内容が自動的にシステム登録されます。
例えば、以下のような項目を自動で取得し、適切な記入欄に振り分けられます。
- 日付
- 発行元
- 金額
会計システムにOCRを組み込むことで、担当者の転記作業が不要になり、経理部門全体の生産性向上や、月次・年次決算のスピードアップにもつながります。
3-2. 受注・販売管理システム
受注・販売管理システムでは、FAXやPDFで送られてくる注文書のシステム登録を自動化できます。取引先名・商品コード・数量・金額といった注文情報をデータ化し、システムへ直接反映が可能です。
これにより、営業担当者や営業事務が行うシステムへの転記作業が不要となり、本来注力すべき提案活動や顧客対応、書類作成や在庫管理に多くの時間を割けるようになります。
また、受注処理のスピードが上がることで、迅速な出荷手配や納期回答が実現し、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。
3-3. 文書管理システム
契約書や申込書などをOCRでテキストデータ化し、API連携で文書管理システムに自動で保存できます。抽出されたテキストをもとに、各文書へインデックスやタグ情報を付与すれば、ファイル名以外のキーワードでも検索が可能になります。
文書の検索性向上により、必要な情報を探す手間と時間が削減され、過去の書類を迅速に参照できます。
3-4. 電子カルテシステム
電子カルテシステムとOCRをAPI連携させることで、紙の医療文書の記載内容を電子カルテに自動で取り込めます。
たとえば、患者が手書きで記入した問診票の内容を抽出し、そのままカルテ情報として反映可能です。従来では受付や医療事務スタッフが行っていた転記作業が不要となり、スタッフはより専門的な業務や患者対応に集中できる環境を実現できます。
4. API連携に対応したOCRを選ぶポイント
ここでは、API連携に対応したOCRを選ぶうえで特に重視すべき3つのポイントを解説します。
- セキュリティレベルが高いか
- 文字認識の精度と処理速度は十分か
- 費用対効果が高いか
4-1. セキュリティレベルが高いか
個人情報や企業の機密情報を扱う場合は、十分なセキュリティ対策が施されているか確認しましょう。
特に、クラウド型のサービスを利用する場合は、データがサービス提供事業者のサーバーを経由するため、セキュリティ仕様を十分に確認する必要があります。通信の暗号化、アクセス制御などの機能が充実しているか確認しましょう。
より強固なセキュリティを求めるなら、外部ネットワークへの接続を必要としないオンプレミス型のOCR製品を採用するのがおすすめです。
クラウド型とオンプレミス型の比較については、次の記事で詳しく説明しています。ぜひご参照ください。
4-2. 文字認識の精度と処理速度は十分か
OCRの文字認識精度は、導入後の業務効率に直結する重要な要素です。文字認識精度が低いと読み取り後に手作業での修正が増えてしまうため、手間がかかります。
読み取る対象が活字か手書き文字か、また帳票のレイアウトが固定されているか否かによって、OCRエンジンの読み取り精度は異なります。無料トライアル版を用意しているメーカーも多いため、実際の業務で使う帳票を用いて事前に認識精度を検証するのがおすすめです。
また、大量の書類を扱う業務では、1枚あたりの処理速度も生産性に影響するため、ネットワーク遅延の影響を受けにくいオンプレミス型が有効です。
4-3. 費用対効果が見合っているか
API連携に対応したOCRの導入には、初期費用や月額利用料といったコストが発生するため、投資に見合う効果が得られるかを慎重に検討する必要があります。
導入を検討する際は、基本的な料金プランだけでなく、読み取り枚数や項目数に応じた従量課金が発生するのかなど、細部まで正確に把握することが重要です。
手作業によるデータ入力の作業時間や人件費を算出し、導入後のコスト削減効果を具体的に試算しましょう。
5. API連携におすすめのOCR
API連携に対応したOCR製品をお探しの企業には、PFUが提供する「DynaEye 11」がおすすめです。オンプレミス型のためネットワーク遅延の影響を受けず、高速かつセキュアに処理できるのが特長です。
自治体や金融機関など、セキュリティ面が求められる現場において、多数の導入実績があります。導入事例はこちらからご確認いただけます。
さらに、「DynaEye 11」には自社サービスにOCR機能を組み込めるSaaS組込版ライセンスも用意。既存のアプリケーションやWebサービスにOCR機能を追加することで、機能拡張による利便性向上やサービスの付加価値向上にもつなげられます。
6. まとめ
OCRとのAPI連携は、使い慣れた社内システムをそのままより便利にする手段です。また、自社サービスの利便性や付加価値向上に利用することもできます。
自社の課題解決につながる最適なOCR製品を選び、業務効率化の第一歩を踏み出しましょう。
