| 2026.5.29 |
生成AIを活用したOCRとは?AI-OCRとの違いや5つの利点

現在、DXにおいて、生成AIを活用したOCR技術が大きな注目を集めています。生成AIを活用したOCRは、従来のAI-OCRのように文字を高精度に認識するだけでなく、文章の意味や文脈までを理解することができます。
しかし、企業の担当者の中には「生成AI活用OCRがよくわからない」や「これまでAI-OCRを導入したものの効率化を実感できなかった」といった理由から躊躇している方もいるでしょう。
本記事では生成AIを活用したAI-OCRの特徴や5つのメリット、AI-OCRとの違いなどを詳しく解説します。
1. 生成AIを活用したOCRとは
生成AI活用OCRとは、従来のAI-OCRにChatGPTなどの生成AIがもつ文脈理解や高度なテキスト処理能力を組み合わせた最新技術です。
生成AI活用OCRの特徴は、プロンプトと呼ばれるAIへの指示文を用いて、抽出したい条件や複雑なデータ加工のルールを柔軟に指定できる点にあります。
たとえば、「読み取った住所を都道府県と市区町村に分けて抽出して」といった人間に対するような細やかな指示が可能です。
また、取引先によってレイアウトがまったく異なる見積書や請求書などの非定型帳票であっても、AIが文脈やパターンをもとに必要な項目を抽出します。
これにより、煩雑な帳票処理の課題を解決でき、業務効率化が期待されています。
2. 従来のAI-OCRと生成AI活用OCRの違い
従来のAI-OCRは、OCRと比べて認識精度が高いものの、非定型帳票の読み取りにおいては定型帳票ほどの精度が出にくいという課題があります。そのため、導入に至らないケースも少なくありません。
一方、生成AI活用OCRはフォーマットが固定されていない書類でも、文脈をもとに必要な情報を特定し、抽出することが可能です。そのため、非定型帳票でも高精度に読み取ることができます。
以下の表で、OCR、AI-OCR、生成AI活用OCRの違いを整理しました。
| OCR | AI-OCR | 生成AI活用OCR | |
|---|---|---|---|
| 活字の読み取り | ○ 可能 |
○ 可能 |
○ 可能 |
| 手書き文字の読み取り | × 不可 |
○ 可能 |
○ 可能 |
| 非定型帳票の読み取り | × 不可 |
△ 苦手 |
○ 可能 |
| 文脈の理解 | × 不可 |
× 不可 |
○ 可能 |
生成AI活用OCRは単なる文字認識ではなく、帳票の内容を理解して必要なアウトプットを作り出す点で、従来のAI-OCRとは異なります。
3. 生成AI活用OCRを導入する5つのメリット
ここでは、生成AI活用OCRの5つのメリットについて解説します。
- 書式定義が不要
- フォーマットが異なる非定型帳票でも高精度に読み取れる
- 他部門に横展開しやすくなる
- 読み取ったデータを必要な形式に変換・分割して出力できる
- 人間と同じように帳票全体を理解して必要なアウトプットを作れる
3-1. 書式定義が不要
生成AI活用OCRでは、帳票ごとの読み取り位置設定が不要になり、書式定義の作成にかかる工数を削減できます。
AIが帳票の種類を自動で判別して必要な項目を自ら見つけ出し、はじめて扱う帳票であっても即座にデータ化を開始できるためです。
生成AI活用OCRは、事前の準備を抑えて使い始められるため、現場の担当者の負担が軽減されます。
3-2. フォーマットが異なる非定型帳票でも高精度に読み取れる
生成AI活用OCRは、取引先ごとに形式が異なる注文書や請求書などの非定型帳票に対しても、高精度の読み取りが可能です。
従来のAI-OCRと比べて読み取り対象にできる帳票の範囲が広がり、手作業の削減や業務効率化につながることが期待されます。
3-3. 他部門に展開しやすい
生成AI活用OCRは導入した部門での成功体験をもとに他の部門へ利用を広げる際も、スムーズに展開可能です。
一般的に部門が異なれば扱う帳票の形式も変わるため他部門の展開には工数がかかります。一方で生成AI活用OCRは、事前の細かな設定が不要なため、種類ごとの個別対応に追われません。
生成AI活用OCRの書式定義不要でも様々な帳票を高精度に認識できる特長により、導入後の横展開がスムーズに進められるため、企業全体のDX推進につながるでしょう。
3-4. 読み取ったデータを必要な形式に変換・分割して出力できる
生成AI活用OCRは文字を認識するだけでなく、読み取ったデータを後続のシステムや業務フローの入力項目にあわせて、最適な形式に加工して出力できます。
具体的には、文字列として認識した住所情報を、「都道府県」「市区町村」「番地」といった項目ごとに自動で分割して出力するなどの高度な処理が可能です。
これにより、従来は人が対応していたデータ整理の手間を削減できます。
業務システムなどへの入力作業を効率化し、転記ミスのリスクも低減できるため、業務全体の生産性向上につながるでしょう。
3-5. 人間と同じように帳票全体を理解して必要なアウトプットを作れる
生成AI活用OCRは単なる文字の抜き出しだけでなく、人間が内容を読み解くのと同様に帳票全体の文脈を理解できます。
たとえば、以下のようなアウトプットができます。
-
請求書に記載された記号などのルールに基づき、明細ごとに消費税率を自動出力する
例.品目に※がついている場合、軽減税率の8%を出力
品目に※がついていない場合、標準税率の10%を出力 - 「発行日から30日後」といった期限の記述がある場合、記載された日付から計算した具体的な期日を算出する
- アンケートの自由記述欄から「クレームの有無」を判定する
帳票に直接書かれていない情報でも、文脈を読み解くことで推定結果を生成できる点が特長です。
4. おすすめのツール
ここでは、おすすめの生成AI活用OCRと業務用スキャナ―について紹介します。
4-1. クラウド型AI-OCRサービス「PaperStream AI」
「PaperStream AI」は、生成AIを活用して非定型帳票を高精度に読み取れるクラウド型AI-OCRサービスです。請求書や注文書などフォーマットが異なる帳票でも、定義不要でデータ化できます。
また、OCR結果を待たずに確認・修正作業を進められるため、単純な読み取り精度だけでなく、実業務で発生しやすい“待ち時間”の削減にもつながります。大量帳票を扱う現場でも、業務を止めにくい点が特長です。
※ 当社にて、A4請求書(活字)を300dpi・フルカラーでスキャンした画像を対象に行った検証結果です。OCR処理時間は、認識処理の開始からPaperStream AIの認識完了までの時間を計測しています。また、スキャンおよび確認・修正時間は、一般的な業務を想定した前提条件に基づく試算値です。帳票内容、業務手順、運用環境により、作業時間短縮効果は異なります。
4-2. 業務用スキャナー「RICOH fi Series」
業務用イメージスキャナー「RICOH fi Series」と組み合わせることで、紙帳票のスキャンからOCR、確認作業までを一気通貫で効率化できます。CISとPFU独自の画像処理技術を組み合わせた「クリアイメージキャプチャ」により、色ずれや歪みを抑制。文字をより鮮明に読み取れる画像を生成し、OCRの認識精度向上に貢献します。
5. 生成AI活用OCRの導入手順4STEP
ここでは、生成AI活用OCRの導入手順を以下の4STEPで解説します。
- 読み取る帳票と月間の量を明確にする
- 連携先システムの仕様を確認する
- 自社に合うサービスを比較検討する
- 無料トライアルで自社に合うか確認する
5-1. 読み取る帳票と月間の量を明確にする
まず、自社で扱う帳票の種類や月間・年間の合計処理枚数を詳細に算出します。
自社で扱う帳票の種類や枚数によって、最適なシステムや費用が異なるためです。
たとえば、繁忙期と閑散期で書類の処理量が大きく変動する企業の場合、月ごとの利用実績に応じた課金だと予算が読みにくくなる可能性があります。
事前に自社の状況を把握しておくことで、予算超過のリスクを抑え、適切なプラン選択ができます。
5-2. 連携先システムの仕様を確認する
次に、読み取った情報を連携させる会計ソフトやERPなどの後続システム側が、どのようなデータ形式を求めているのかを事前に確認します。
生成AI活用OCRが、業務フローにあわせてデータを正しく分割、または指定された形式に適切に構造化して出力できるかを確認する必要があるためです。
5-3. 自社に合うサービスを比較検討する
帳票量と出力要件に基づき、複数のサービスを料金体系、機能、サポート体制の観点から比較・評価します。
たとえば、処理量が月ごとに変動し、予算超過のリスクを抑えたい場合は、枚数制限のない定額制のサービスを優先的に検討するとよいでしょう。
また、スキャンからデータの読み取り、最終的な確認と修正作業までが1つの画面で完結できる操作性の良さも、現場の負担を減らすために必要な比較指標となります。
自社の課題を解決できそうなサービスを絞り込み、実際の運用を想定して評価しましょう。
5-4. 無料トライアルで自社に合うか確認する
本契約の前に、自社で実際に使用している非定型帳票を用いた無料トライアルを実施しましょう。
とくに、以下の観点で実機での検証が重要です。
- 本当に事前の設定なしで読み取れるか
- 自社特有の項目を正しく認識できるか
- 操作方法はわかりやすいか
現場の担当者が実際に操作し、作業時間の短縮を実感できた上で本稼働を決定することで、導入後のミスマッチを防げます。
さらに、トライアル期間中に、現場から出てきた疑問や懸念点をベンダーに確認し、社内ルールを固めることで、導入後のスムーズな運用が可能です。
6. 生成AI活用OCRについてよくある質問
生成AI活用OCRの導入を検討する際によく寄せられる質問について解説します。
6-1. ChatGPTに画像をアップロードするなどでも代用はできるか?
ChatGPTの画像読み取り機能を使えば、アップロードしたファイルから文字情報の抽出自体は可能です。しかし、大量の業務書類を処理する実務には向いていません。
ChatGPTの場合、画質の低いスキャンデータの誤認識や、一度に処理できる枚数の制限などにより、効率が下がる可能性があるためです。
また、ChatGPTは汎用的なツールであるため、企業の業務システムへの連携や特定フォーマットでのデータ出力については、標準機能だけでは対応が難しい場合があります。
大量の帳票を継続的に処理し、会計システムなどへ自動連携する必要がある場合は、業務用の生成AI活用OCRサービスを利用するのがおすすめです。
7. まとめ
生成AI活用OCRは、従来の文字を読むだけのOCR技術から進化し、文脈を理解してデータを構造化する機能を備えています。
事前設定不要で非定型帳票を処理できるため、バックオフィス業務の負担軽減につながります。とくに、取引先ごとに形式が異なる請求書や注文書などを大量に扱う企業にとって、生成AI活用OCRは業務効率化の向上につながるでしょう。
