| 2026.7.7 |
AI-OCRとは?OCRとの違い、入力業務を効率化した3つの事例

AI-OCRとは、紙の書類やPDFに記載された文字をデジタルデータに変換するOCRにAIを組み合わせ、従来のOCRよりも文字認識精度を向上させた技術です。
従来のOCRでは認識が難しかった手書き文字やFAX帳票でも高精度にデータ化できるようになり、これまで手入力に頼らざるを得なかった業務の効率化が可能になりました。
本記事では、AI-OCRの特徴や従来OCRとの違い、導入メリットを解説します。さらに、実際に入力業務を効率化した3つの導入事例も紹介するので、AI-OCRの導入を検討している方はぜひ参考にしてください。
1. AI-OCRとは
AI-OCRとは、OCRにAIの学習機能を組み合わせることで、文字認識精度を向上させた技術です。
従来のOCRは、癖のある手書き文字や、画質の粗いFAX帳票の読み取りを苦手としていました。
一方、AI-OCRは膨大な文字データを学習しているため、多少崩れた文字であっても、形状や前後の文字列からどんな文字であるかを推測することができます。
こうした技術の進化により、従来はデータ化が難しかった手書きの申込書やFAX帳票なども読み取れるようになり、幅広いシーンでの入力業務効率化に活用されるようになりました。
生成AIを活用したAI-OCR
最近では、生成AIの基盤技術であるLLMを活用したAI-OCRも登場しています。
LLMの文脈理解や高度なテキスト処理能力を組み合わせることで、従来のAI-OCRでは対応が難しかった非定型帳票(*)の読み取りにも対応できます。
*: 取引先によってフォーマットが異なる注文書・請求書・納品書などの帳票
LLMを活用したAI-OCRについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
2. AI-OCRと従来のOCRの違い
従来のOCRと比較すると、AI-OCRは手書き文字やFAX帳票への対応力、認識できる帳票の幅が大きく向上しています。
具体的にどのような違いがあるのかを比較するために、以下の表にまとめました。
| 従来のOCR | AI-OCR | |
|---|---|---|
| 認識できる文字 |
|
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| 対応可能なフォーマット |
|
|
| 学習機能 |
|
|
なお、上記はあくまで一般的な傾向です。AI-OCRの認識精度や対応できる帳票の種類は製品によって大きく異なります。
特に手書き文字やFAX帳票の認識精度は製品ごとの差が大きいため、導入前には無料トライアルなどを活用し、自社で実際に使用している帳票で検証することをおすすめします。
入力業務で扱う帳票が活字中心で、フォーマットも固定された定型帳票のみの場合は、無理にAI-OCRを導入する必要はありません。従来のOCRでも十分な認識精度を得られるケースが多いためです。
一方で、手書きやFAX帳票、取引先ごとに形式が異なる注文書・請求書・納品書などを扱う場合は、AI-OCRが最適です。
3. AI-OCRを活用するメリット
AI-OCRを活用するメリットは、入力業務を効率化できる範囲が広がることです。
OCRを導入している企業でも、手書き文字や非定型帳票は読み取りが難しく、一部の帳票は手入力せざるを得ませんでした。
AI-OCRはそういった帳票にも対応できるため、手入力に頼っていた業務の負担を軽減できます。
例えば以下のような業務に活用することができます。
- 取引先ごとにフォーマットが異なる請求書の内容を会計システムへ入力
- FAXで受信した注文書の内容を受注システムへ入力
- 手書きの申請書や申込書の内容をシステムへ登録
4. AI-OCRの注意点
AI-OCRの注意点は、認識精度が100%ではないと理解しておくことです。AI技術を活用していると言っても、人の目でも判断が難しい極端なクセ字や、カスレが激しい文字については、誤認識が発生する可能性があります。
しかし、認識精度が80〜90%あれば業務負荷の軽減は十分に可能です。
株式会社PFUの検証では、5分56秒かかっていたデータ入力業務が、認識精度90%の場合、1分58秒にまで短縮されたという結果が出ました(*)。
*: 弊社環境にて、弊社所有の「介護保険申請書」を使用して、帳票1枚当たりの作業時間を測定。AI-OCR認識精度が90%の場合の結果。
AI-OCRを導入した際、必要になる作業とおすすめの運用をご紹介します。
- 認識結果の確認・修正作業
- 認識精度を高める工夫
4-1. 認識結果の確認・修正作業が必要
AI-OCRの文字認識精度が100%ではないため、認識結果を人の目で確認する作業は欠かせません。誤りがあれば修正する必要があります。
製品によっては、この確認作業を効率化することができます。
例えば「DynaEye 11」のベリファイOCRは、OCRとAI-OCRの2つの異なるOCRエンジンの認識結果を突合し、突合結果が不一致の項目のみ確認・修正を行うことで確認作業にかかる時間を削減できます。
4-2. 認識精度を上げる工夫も必要
AI-OCRの認識精度は帳票や画像の作り方次第で向上させることが可能です。例えば以下のような方法がございます。
- 「〒」や「年、月、日」はあらかじめ印字、文字間隔を広く取るなど、記入欄を見直す。
- 紙帳票からOCRする場合、視認性の高い画像を生成できるスキャナーを使う。
- FAX用紙を再スキャンせず、複合機の受信データを直接利用する。
OCRの認識精度を上げる詳しい方法については、以下の記事で解説しております。
OCRの認識精度を上げる帳票の作り方↓
OCRの認識精度を上げる画像の作り方↓
5. AI-OCRの種類
ここでは、AI-OCRを分類する3つの観点を紹介します。
- 対応できるフォーマット
- 利用形態
- 汎用型と業務特化型
5-1. 対応できるフォーマット
多くの製品は定型帳票の読み取りに対応しています。一方、非定型帳票は帳票ごとにフォーマットが異なるため、定型帳票に比べて読み取りの難易度が高くなります。そのため、非定型帳票を扱う場合は、非定型帳票に対応した製品を選ぶことが重要です。
以下に定型帳票と非定型帳票の違いを整理しました。
| 形式 | 特徴 | 帳票例 |
|---|---|---|
| 定型帳票 | 記載項目や記載位置が固定されている帳票。自社で作成・運用している書類に多い。 | 申請書、申込書、アンケート |
| 非定型帳票 | 取引先ごとにフォーマットが異なる帳票。社外から受領する書類に多い。 | 請求書、注文書、納品書、契約書 |
5-2. 利用形態
AI-OCRの利用形態には、主にクラウド型とオンプレミス型があります。
それぞれに特徴があるため、自社のセキュリティ要件や運用方針に合わせて選択することが重要です。
| 項目 | クラウド型 | オンプレミス型 |
|---|---|---|
| 特徴 | インターネットを経由してサービスを利用 | 自社サーバー、またはPCにソフトをインストールして利用 |
| メリット | 初期費用を抑えやすく、メンテナンスが不要 | インターネット接続が不要なため、処理が早い、高セキュリティ |
クラウド型とオンプレミス型の違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。
5-3. 汎用型と業務特化型
AI-OCRはさまざまな業務で活用できますが、中には特定の帳票や業務に特化した製品もあります。
例えば、給与支払報告書向けのAI-OCRは、給与支払報告書に特化して、帳票の構造や記載内容の特徴を学習しているため、汎用的なAI-OCRと比べて認識精度が高いです。
データ化できる帳票は限定されますが、特定業務における入力作業の効率化に大きく貢献します。
このように、業務特化型AI-OCRは特定の帳票処理に強みを持つため、導入を検討する際は、自社で扱う帳票に適した製品がないか確認してみるとよいでしょう。
6. AI-OCRの成功事例3選
ここでは、実際にAI-OCRを導入して入力業務を効率化した3つの事例を紹介します。
- いるま野農業協同組合
- アイサンコンピュータサービス株式会社
- 株式会社井田商店
6-1. 受注処理を「38人から4人」に省人化|いるま野農業協同組合
- 課題
- 受注処理を手入力で対応しており、多くの人員と人件費を要していた。
- 解決法
- 手書きで記入された申込書を業務用スキャナーでスキャンし、AI-OCRで抽出した文字情報を基幹システムに連携する運用を開始。
- 効果
- 従来38人でおこなっていた紙の受注処理を、わずか4人で対応できるようになった。
省人化によって、信用や共済など別の業務に時間を割けるようになった。
6-2. 伝票入力業務を月約8時間削減|アイサンコンピュータサービス株式会社
- 課題
- 長年利用していたOCR専用システムの保守終了に伴い、新しい環境への移行が必要だった。また、薄紙でスキャンできず手入力している帳票のOCR化も望まれていた。
- 解決法
- 業務用スキャナーとAI-OCRに置き換え。スキャン作業時間の短縮と、「ベリファイOCR」を活用してOCR結果の確認作業効率化を図った。
- 効果
- 月約8時間の作業時間短縮に成功。紙詰まりを抑えてスキャンできる業務用スキャナーにより、これまでOCR化できなかった帳票への対応も可能となり、月約25時間の削減が見込まれている。
6-3. 納品書のファイル名付与を自動化|株式会社井田商店
- 課題
- 納品書や請求書を電子保存する際、ファイル名の付与と保存先フォルダーの振り分けを手作業で行っていたため、手間と時間がかかっていた。
- 解決法
- 業務用スキャナーとAI-OCRを導入。OCRで日付や取引先名などの情報を抽出し、その情報を利用して、ファイル名の付与と保存先フォルダーの振り分けを自動化。
- 効果
- ファイル名付与や振り分け作業の自動化により、作業負荷を削減。入力ミスや保存先の誤りを防止しながら、電子帳簿保存法への対応を効率化した。また、複合機から業務用スキャナーへ移行したことで、スキャン作業も時短化された。
7. AI-OCRの選び方
市場には多くのAI-OCR製品が存在するため、自社の業務にマッチしたツールを選ぶことが大切です。
失敗しないための選び方として、以下の7つのポイントを押さえておきましょう。
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 対応フォーマット | 自社で使用している帳票(定型、非定型)に対応しているか |
| 認識精度 | 認識させたい文字(手書き、活字、ドット印字など)が正しく読めるか |
| 操作性 | 読み取りの事前設定や操作が簡単にできるか |
| セキュリティ | 個人情報の取り扱いなど、自社のセキュリティ要件をクリアしているか |
| 処理枚数 | 月間に読み取る項目数や枚数に対応できるか |
| 連携性 | 後続システムの仕様に合わせた形で出力できるか |
| サポート | 導入後のトラブル対応や活用支援が充実しているか |
AI-OCRの選び方・比較方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
8. AI-OCRにおすすめの製品
AI-OCR導入を検討している方に、おすすめのAI-OCRと、認識精度を最大限に引き出すスキャナーを紹介します。
8-1. 非定型帳票に最適な「PaperStream AI」
「PaperStream AI」は、注文書・請求書・納品書など、取引先によってフォーマットが異なる帳票を高精度に読み取れるクラウド型AI-OCRサービスです。初めて扱う帳票でも、定義作業をする必要が無いため、準備作業の負担軽減・即運用開始することができます。
8-2. 高セキュリティで読み取り放題「DynaEye 11」
「DynaEye 11」は4章で紹介した「ベリファイOCR」に加え、高セキュリティ、定額による読み取り放題という特徴を持っています。
DynaEye 11はオンプレミス型のAI-OCRソフトウェアのため、ネットワーク接続不要で処理することができ、氏名や住所といった個人情報を扱う場合でも安心して作業することができます。
そのため、セキュリティ要件の厳しい自治体や金融機関などにおいて、多数の導入実績を持っています。
AI-OCRソフトウェア「DynaEye 11」の導入事例はこちら
また、DynaEye 11は定額制で読み取り枚数に制限がなく、大量処理が必要な場面でも安心して利用できます。繁忙期に処理件数が増えても追加費用が発生しないため、予算化しやすい点もメリットです。
8-3. 業務用スキャナー「RICOH fi Series」
業務用イメージスキャナー「RICOH fi Series」は、OCR処理に最適な視認性の高い画像を生成することができます。
PFU独自の画像処理技術「クリアイメージキャプチャ」により、色ずれや歪みを抑制し、AI-OCRの認識精度向上に貢献します。
文字認識の精度は、AI-OCRエンジンだけでなく、読み取る帳票や画像の品質にも大きく左右されます。PDFや画像ファイルのOCRだけでなく、紙の状態からデータ化する場合は、AI-OCRとあわせて業務用スキャナーの導入も検討するとよいでしょう。
9. まとめ
本記事では、AI-OCRの特徴から従来のOCRとの違い、メリットや導入事例について解説しました。
AI-OCRは、従来のOCRでは認識が難しかった手書き文字やFAX帳票にも対応できるため、これまで手作業で行っていた入力業務の効率化に活用されています。
特に、以下のような課題を抱えている場合は、AI-OCRの導入効果を実感しやすいでしょう。
- 「入力作業に時間がかかり、繁忙期は残業になりがち。」
- 「帳票を目視で確認しながら手入力しており、担当者の負担が大きい。」
- 「過去にOCRを試したものの、認識精度が低く導入を見送った。」
AI-OCRの導入を検討している方は、本記事で紹介した内容を参考にしながら、自社の業務課題に適した製品を比較・検討してみてください。
