| 2026.6.3 |
LLMを活用したOCRとは?非定型帳票に強い理由を解説

近年、請求書や注文書など、フォーマットが統一されていない非定型帳票への対応手段として、LLMを活用したOCR技術が注目されています。
従来のAI-OCRは、定型帳票では高精度に読み取れる一方で、フォーマットが異なる帳票では読み取り精度が悪く、データ修正作業に時間が取られるケースがありました。
一方、LLM活用OCRは、LLM(大規模言語モデル)の文脈理解能力を活用することで、帳票全体の内容を理解し、取引先ごとにフォーマットが異なる書類からでも必要な情報を柔軟に抽出できます。
本記事では、LLM活用OCRの概要や従来のAI-OCRとの違い、非定型帳票に強い理由、具体的な活用シーンについて詳しく解説します。
CONTENTS
1. LLMを活用したOCRとは?
LLM活用OCRとは、LLM(大規模言語モデル)を活用したOCR技術です。従来のOCRやAI-OCRのように文字を認識するだけでなく、文章の意味や文脈を理解しながら必要な情報を抽出できる点が特長です。
従来のOCRは、紙やPDFに記載された文字をテキストデータへ変換する技術として広く利用されてきました。また、AI-OCRではAIによる文字認識技術の進化により、手書き文字でも高精度に読み取れるようになっています。
一方で、請求書や注文書など、取引先ごとにフォーマットが異なる非定型帳票では、読み取り精度に課題があります。
LLM活用OCRは、LLMの文脈理解能力を利用することで、帳票全体の内容を理解しながら必要な情報を見極めることができます。そのため、フォーマットが異なる請求書から「請求金額」を抽出するといったことが高精度で可能です。
その他、以下のような処理が可能です。
- 住所を「都道府県」「市区町村」「番地」に分割
- 「発行日から30日後」などの記載から、帳票に記載されていない期限日を算出
このように、LLM活用OCRは単なる文字認識ではなく、「帳票の内容を理解して必要なアウトプットを作る技術」としても注目されています。
以下の表で、OCR、AI-OCR、LLM活用OCRの違いを整理しています。
| OCR | AI-OCR | LLM活用OCR | |
|---|---|---|---|
| 活字の読み取り | ○ 可能 |
○ 可能 |
○ 可能 |
| 手書き文字の読み取り | × 不可 |
○ 可能 |
○ 可能 |
| 非定型帳票の読み取り | × 不可 |
△ 苦手 |
○ 可能 |
2. なぜLLM活用OCRは非定型帳票に強いのか
LLM活用OCRは、従来のOCRやAI-OCRと比べて、請求書や注文書など非定型帳票への対応力に優れています。
ここでは、LLM活用OCRが非定型帳票に強い理由について解説します。
2-1. 書式定義なしでも必要な項目を抽出できる
従来は、「請求金額は右上」「請求日付は左下」といったように、読み取り位置を事前に設定する書式定義が必要でした。
しかし、取引先ごとにフォーマットが異なる非定型帳票では、帳票ごとに設定作業が発生し、運用負荷が増える原因となります。
LLM活用OCRは、読み取りが必要な箇所を自動で判断できるため、細かな書式定義なしでも情報を抽出しやすい点が特長です。
たとえば、取引先ごとに請求書のフォーマットが異なる場合でも、「請求金額」「請求日」「取引先名」などを正確に判別して抽出できます。
これにより、新しい帳票への対応工数を削減しやすくなります。
2-2. 文脈を理解できる
LLM活用OCRは、単純に文字を読み取るだけでなく、帳票全体の内容や文脈を踏まえて情報を判断できます。
従来のOCRやAI-OCRでは、「どこに何が書かれているか」を位置情報ベースで判定するのが一般的でした。一方でLLM活用OCRは、前後の文章や記載内容の意味を踏まえて自動で探し出せる点が特長です。
また、非定型帳票では、取引先ごとに項目名が異なるケースもあります。
たとえば、同じ請求書でも、
- 「請求金額」
- 「ご請求額」
- 「合計金額」
のように表記方法が様々です。LLM活用OCRは、人のように文脈を理解できるため、このような表記揺れにも柔軟に対応することができます。
3. LLM活用OCRの使用例
LLM活用OCRは受発注業務や請求書処理業務にて、業務効率化が期待できます。
3-1. 請求書や注文書
LLMを活用したOCRによって、取引先ごとにフォーマットがバラバラな請求書や注文書の処理を効率化できます。
フォーマットが異なる状態でも各書類の金額や日付、取引先名などの項目を自動で抽出し、データとして整理してくれるためです。
また、日付の和暦・西暦や会社名などの表記揺れも統一した形式で出力できるため、手作業による転記ミスを防ぎ、正確なデータ管理が実現可能です。
3-2. FAX帳票
企業間取引では、現在でもFAXで帳票が送られてくるケースがあります。FAX帳票は、ノイズや文字のかすれ、傾きなどが発生しやすく、従来のOCRでは読み取り精度が低下する要因となっていました。
加えて、FAXで送付される帳票は非定型帳票が多いです。
LLM活用OCRは、こうしたFAX帳票のデータ化にも活用が期待されています。
これにより、月末の支払処理や伝票の仕訳作業などの定型業務の自動化につながり、経理担当者の負荷を軽減することができます。
4. LLM活用OCRの文字認識精度を高めるには
LLM活用OCRの文字認識精度を高めるためには、読み取り画像の品質向上が重要です。
LLMの推論能力が優秀でも、元の画像がぼやけていたり影が入っていたりすると、正確な文字認識や文脈の判断ができず、必要な情報の抽出漏れや誤認識を引き起こす原因となるためです。
紙から処理する場合は、高性能な業務用スキャナーを用いることで、紙のシワや背景のノイズ、文字の歪みがない、視認性の高い画像を生成することができます。
5. LLM活用OCRについてよくある質問
ここでは、LLM活用OCRについてよくある質問に回答します。
- LLM活用OCRはセキュリティ大丈夫?
- LLM活用OCRを使うと業務効率化になる?
5-1. LLM活用OCRはセキュリティ大丈夫?
サービスによってセキュリティの強度が異なるため、対策が万全な信頼できるクラウドサービスを選びましょう。とくに、取引先の機密事項や従業員の個人情報が含まれる書類を取り扱う場合には、セキュリティ要件を確認しておくのがおすすめです。
具体的に、事前に確認しておきたい要件は以下のとおりです。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| サーバーの所在地 | 設置されているのが国内か海外のどちらか |
| データの学習利用 | 送信された内容がLLMの学習に活用されないか |
| 暗号化対応 | 通信・保存時に暗号化しているか |
| 認証取得状況 | プライバシーマークや情報セキュリティ認証などを取得しているか |
5-2. LLM活用OCRを使うと業務効率化になる?
LLM活用OCRでは、事前の書式定義が不要になるため、運用開始までの手間が省け、非定型帳票の処理業務の効率が向上します。
さらに、読み取り結果の表記揺れ補正やデータの分類も同時に実施するため、従来では人が手作業で確認、修正していた時間や人件費の削減が可能です。
帳票の読み取りやデータ整理といった単純作業をLLM活用OCRに任せることで、従業員は他の業務に注力できるようになり、会社全体の生産性向上につながります。
6. おすすめのLLM活用OCRと業務用スキャナー
ここでは、おすすめのLLMを活用したOCRと業務用スキャナ―について紹介します。
6-1. クラウド型AI-OCRサービス「PaperStream AI」
「PaperStream AI」は、LLMを活用して非定型帳票を読み取れるクラウド型AI-OCRサービスです。請求書や注文書など、取引先ごとにフォーマットが異なる帳票でも、書式定義不要で必要な情報を抽出できます。
また、OCRの認識完了を待たずに確認・修正作業を進められるため、業務中の待機時間を削減しやすい点も特長です。大量の帳票を処理する現場でも、作業を止めずに進めやすく、業務全体の効率化につながります。
※ 当社にて、A4請求書(活字)を300dpi・フルカラーでスキャンした画像を対象に行った検証結果です。OCR処理時間は、認識処理の開始からPaperStream AIの認識完了までの時間を計測しています。また、スキャンおよび確認・修正時間は、一般的な業務を想定した前提条件に基づく試算値です。帳票内容、業務手順、運用環境により、作業時間短縮効果は異なります。
6-2. 業務用スキャナー「RICOH fi Series」
業務用イメージスキャナー「RICOH fi Series」と組み合わせることで、紙帳票の取り込みからOCR処理、確認作業までを一気通貫で効率化できます。
PFU独自の画像処理技術「クリアイメージキャプチャ」により、色ずれや歪み、背景ノイズを抑えた視認性の高い画像を生成できるため、OCRが文字を認識しやすくなる点が特長です。
OCR導入時には、読み取り精度向上や帳票処理の効率化を目的として、業務用スキャナーをあわせて導入されるケースも多くあります。実際の活用イメージについては、ぜひ弊社の導入事例もご参照ください。
7. まとめ
LLM活用OCRは、単なる文字の読み取りだけでなく、文書の文脈と意味を理解することで、非定型帳票のデータ入力業務を効率化することができます。
受発注業務や請求書処理業務の効率化をお考えの方は、本記事の内容を参考に、自社に最適なLLMを活用したOCR製品の導入をご検討ください。
