良い製品が生み出す、"使ったときの安心感"。
"品質が強み"、そう言いきるための、具体的な根拠があります。

安心して使える信頼性

大切な原稿を傷つけない安定した給紙・搬送性

PFUのスキャナーには、お客様が安心して使っていただくためのコア技術が、たくさん詰まっています。その一つが、安定した「給紙・搬送性」。お客様の重要な書類を傷つけてしまったり、業務を止めてしまったりすることがないよう、常に信頼性の向上に取り組んでいます。

ほぼ直線に近い「ストレートパス」の搬送構造では、紙づまりを引き起こしやすいカールやシワのついた原稿など、種類やサイズを問わず安定した給紙が可能です。

トルクリミッター*内蔵のブレーキローラが確実に原稿を分離

分散入力業務に適したコンパクトモデルは、ブレーキローラによる独自の分離機構を採用。原稿セット時、先端がローラに触れずにガイドに突き当たることで、安心感をもってセットできます。スキャン中は、ブレーキローラが2枚目以降の原稿を分離。万が一、重なって給紙されそうになっても、逆回転をかけて次の紙を押し戻します。マルチフィードなどのトラブルにより、お客様の業務が止まることを未然に防ぎます。

*トルクリミッター:過剰な負荷がかかった際、回転軸からローラーへの駆動力の伝達を遮断する機構


“200枚”の壁を越えた学術的なアプローチ

PFU先行技術開発部
森川 修一

より安定した給紙・搬送性の実現に向けて技術革新を進める中で、時代とともにスキャナーに求められる機能は変化し、エンジニアの前には常に技術的な高い壁がそびえ立っていました。

2000年代に入った頃、給紙・搬送技術の開発に取り組む森川修一(現PFU先行技術開発部)は、頭を悩ませていました。スキャナーにセットできる紙の枚数を大幅に増やすことを求められていたからです。1986年頃、ファクシミリの技術をもとにイメージスキャナーを開発した当初の容量は50枚。その後、徐々にその容量を増やし続けてはきたものの、当時、開発を目指したのは200枚の原稿を一度にセットできるスキャナーでした。「あらゆる手段を試みたのですが、思ったような結果が得られず、これまでの技術の延長線上では解決できないと感じました。ただ、それでもあきらめるという選択肢はありませんでした」。

こう振り返る森川が選んだのは、より学術的に突き詰めていく道でした。2005年頃から、給紙・搬送技術に関して地元大学の教授との共同研究をスタート。摩擦や摩耗、潤滑など互いに影響を及ぼす2つの表面の間に起こる全ての現象を研究する「トライボロジー」、その第一人者とともに、紙と紙、紙と送り出すゴムローラーの関係性を探ったのです。この時に取り組んだ大学との共同研究がベースとなり、PFUには、給紙・搬送をより学術的な視点で捉える目が養われていきました。

それまでは、最も一般的なアモントン-クーロンの法則に従い、給紙・搬送の構造を思案していましたが、搬送部に弾性体のゴムローラーを使うスキャナー開発において、それだけでは十分でないことが、共同研究を進める中で明らかになりました。これは、今まで一定と考えていた摩擦係数が荷重や接触面積の大きさによって変動することを意味しています。そこで、根本から開発の理論を見直し、状態に応じた摩擦係数を考慮、独自の測定器を開発するなどし、より優れた給紙・搬送技術の確立に取り組みました。

※アモントン-クーロンの法則:摩擦力(給紙方向と逆方向にかかる接触面の抵抗)は荷重に比例し、摩擦係数(摩擦力/荷重)は常に一定になる。

思い描く理論を再現するまで、何度でもチャレンジ

給紙・搬送にかかわる数々の「理論」を補完し、技術として確立していくためには「検証」が欠かせません。この時、キーワードとなるのが、「再現性」。紙の特性には形状やサイズ、厚さ、表面の状態、保管状態などがあり、紙には汚れやシワが付いていることもあります。搬送部のゴムローラーも、温度や湿度で状態が大きく変わります。これらの要素がたった一つでも変われば、理論による数式から導き出される答えは全く違うものとなるため、実際に使われる場面を再現した条件で検証していくことがポイントとなります。

エンジニアたちは数々の利用シーンを想定した検証を行い、その結果と理論との整合性がとれるまで粘り強く開発に挑みます。給紙・搬送の技術は、「学術的に見てもまだまだ分からないことだらけ」(森川)であり、さらなる進化の可能性が広がっている領域とも言えます。

きれいで使いやすい、確かな画像品質

イメージスキャナーが、最終的にお客様に提供するのは“画像”。元の原稿にシワや汚れがあったとしても、背景に色が入って文字が読み取りにくいものだったとしても、その原稿を確実にイメージデータ化し、お客様の要望に応じた品質に仕上げなければなりません。高い画像品質は、私たちがお客様に変わらず提供をお約束する、価値の一つです。

シャープな画像を、コンパクトな設計で

PFUがこだわり続けているコア技術に、原稿を読み取る「縮小光学系CCDセンサー」があります。CCDセンサーとは、画素と呼ばれる小さな素子が集まり、光を感じて電気信号へと変換する半導体センサーのことで、私たち人間の“目”の役割を果たしています。

カメラと同様、きれいな画像を読み取るためにはまず、ピントをしっかりと合わせなければなりません。そのためには、被写体とレンズの間に、ある程度の幅を持った深度(距離)が必要です。最適な深度をそのままスキャナーに取り込もうとすると、装置は非常に大きくなってしまいますが、オフィスや一般家庭、窓口など限られた設置スペースでは、コンパクトな設計が求められます。
レンズと原稿の距離は長く、装置はコンパクトに。この相反する課題を両立させるため、装置内にいくつものミラーを設置し、光を何度も反射させながら、原稿とレンズ、CCDセンサーをつなぐ構造を採用。光の通り道を折りたたむことで、小さな装置の中に、焦点のあった高品質な画像を生成する仕組みをつくり出しています。

レンズも、照明も、光学系は工夫の宝庫

コンパクト設計で高画質を生み出す工夫は、レンズそのものにもあります。光学系CCDセンサーに組み込むのは、形状が一般的な球面ではなく、なだらかな曲面を持つ「非球面レンズ」。通常、画像は中心部から離れるほどゆがみが大きくなり、ぼやけたり、暗くなったりして写りますが、非球面レンズを使えば、そのゆがみを抑えることができ、より原稿との距離を近づけるコンパクトな設計が可能となります。

また、照明にもひと工夫。原稿を直接照射すると、どうしても中心部と周辺で明るさに差が出てしまうため、一度、別の場所に当てた間接的な光で全体を均一に明るくする構造としています。

優れたアイデアを形にするには、優れた技術

組み立て時、ミラーの角度がほんのわずかでも狂ってしまえば焦点は合わなくなります。また、ミラーはガラス、取り付ける側はプラスチックと、材質が異なるため、温度による収縮率などが異なることで不具合を招く原因となります。この課題を解決するために、多くの経験に裏打ちされた技術が必要です。

長年にわたって磨き上げてきた「縮小光学系の設計力」は、まさに独自のコア技術です。

自動で「白」を調整、環境によらず常に一定の画質で出力

fiシリーズ*は、読み取り前や読み取り途中に「原稿背景色」を「白」にして、読み取りセンサーの出力を調整することで、気温やLED光量の変化に影響を受けず、常に一定の画質で出力することができます。一方、原稿を用紙サイズに応じて切り出したり、画像の傾きを補正したりする際には、端面をくっきりと読み取ることができる「黒」背景に切り替えることで、お客様の求める画像を出力しています。

* fi-7030/fi-65Fを除く。


“スキャンした後”を考えた、PaperStream IPのきれいな画像

ぼやけることなく、美しく撮影した後は、いかにお客様にとって使いやすい画像に仕上げるか。2013年から業務用スキャナーのfiシリーズに組み込まれ、自動で最適な画像処理結果を提供する独自のスキャナードライバ「PaperStream IP」を開発。現在も、お客様の目線で進化を続けています。

同ドライバのハイスペックな性能を表す事例の一つに、モノクロでのイメージデータの生成があります。モノクロ画像はカラーに比べて文字が読みやすく、データ容量も非常に軽いため、大量の原稿を読み込む際などに適しています。一方、赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)のそれぞれを256階調で表示するカラーに対して、白と黒のモノクロは0か1かだけ。圧倒的に情報量が少ない中で、いかにきれいに仕上げるかは高い技術力が求められます。


そこで、エンジニアが着目したのが『密度』。文字は情報の密度が高く、背景は低くなる点に着目し、密度の高いところはより濃く、反対に低いところはよりクリーンにする画像処理を施すことで、視認性を高めたモノクロ画像を作り出すことに成功しました。この技術によって、従来は難しかった網掛け部分の文字もOCR(光学的文字認識)で読み取ることが可能になりました。さらに、かすれた文字の太さを補正したり、原稿についたシワや背景に施された地紋などを除去したりするなど、さまざまな独自技術を盛り込み、OCR精度を飛躍的に高めています。

「PaperStream IP」は、開発にあたって徹底的なユーザビリティ評価を実施。2年間の長期にわたってお客様の声を聞きながら改良を重ねました。直感的に操作できるダイアログや、複雑な設定変更をせずに数パターンの画像処理結果から最適なものを選択できるアシストスキャンなど、だれでも簡単に高品質なイメージデータを出力するための、多岐にわたる機能を盛り込みました。

シンプルに、そして使いやすく

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