ScanSnap

カレー沢薫のなりゆきデジタル化ぐらし〜Vol. 2〜

目次

    我が家に「ScanSnap iX1600」が届いた。

    いくつになっても新しい電化製品にはワクワクする。さらに高性能で貴様のQOLが向上すると言われたらなおさらだ。

    しかし、私はScanSnapの箱をなかなか開けることができなかった。
    使用以前に「置く場所」を決めかねていたからである。

    ScanSnap iX1600が高性能ゆえに巨大だったというわけではない。むしろ驚くほど小さく、現在持っている7,800円のスキャン機能つきプリンタよりも小型軽量であり、普通のご家庭に置くなら全く問題のないサイズである。

    ただ、そんなScanSnapを驚愕させるほど私の部屋にスペースがなかったというだけだ。
    ScanSnapはよく頑張っている、だが相手が悪かった。

    現在のところ、ScanSnapを私の部屋に置くとなれば「床」しかなく。
    「すでに3回蹴ったが故障していない」「むしろ俺の足の小指が折れた」など、物理的耐久度をレビューする記事になってしまう。

    まずScanSnapを部屋に入れられるよう、部屋を片付けてから開封しよう。

    それから5年の月日が経った、わけではないが私が言う「部屋を片付けてから」は「生まれ変わったら」と同義である。

    転生を待っていたら、締め切りに間に合わない。仕方がないので私は部屋を片付けることにした。

    ......などということは全くない。
    先方もScanSnapの性能に自信があって私に依頼しているだろうが、こちらだって部屋の汚さに自信ネキとして仕事を受けたのだから、そこを曲げるわけにはいかない。これは双方の誇りをかけた戦いだ。

    よって私はScanSnapを私の部屋に入れることなく使用することに決めた。
    むしろ私の部屋で使用したことにより「引き戸で勢いよく挟んだ」など、通常では絶対起きない事故が起きて、故障させる恐れがある。
    長持ちさせるためにも私の部屋で使わない方が良いのだ。

    「ScanSnapを私の部屋に入れることなく、私の部屋のパソコンでスキャンしたデータを管理できるようにする」

    きっとScanSnap iX1600ならそのぐらいできるだろうと思い、ノープランのまま開封してセットアップを始めたが、結論から言うと簡単にできた。

    ScanSnap iX1600はUSBケーブルによりパソコンなどと接続し、スキャンデータをパソコンに送ることもできるが、Wi-Fiによる無線接続も可能である。

    私はパソコンではなくScanSnapをiPhoneと接続し、iPhoneで「データをスキャナーから直接クラウドに保存する」ように設定した。

    編集部注)カレー沢先生はiPhoneにてモバイル用アプリ「ScanSnap Home(モバイル版)」を使用し、スキャナーから直接クラウドサービスにデータを送信できる「ScanSnap Cloud」を設定されています。

    こうすることにより、自室のパソコンからクラウドにアクセスし、データを確認することができる。

    かくしてScanSnapを私の部屋に入れることなく設定完了したが、逆に言えば誰かの部屋に置く必要がなく、家族の共有スペースにおいて各々が使用することも可能ということだ。

    実際スキャンしてみたが、スキャンスピードはかなり速いし、それ以前にスキャン開始までのスピードがかなり速い。

    私が使っていたスキャン機能つきプリンタは電源を入れてから使用可能状態になるまで数分の立ち上がり時間を要し、毎回ダイアルアップ接続のような奇音を立てて「故障」の可能性を示唆してくるため心臓に悪い。

    その点 ScanSnapは電源を入れてからすぐに使用可能になるし、断末魔のような音を立てることもない。
    スキャンも普通の文書なら3秒ぐらいで終わり、一度で両面保存が可能である。

    一度に50枚原稿をセットすることも可能らしいので「後から読む」と言って永遠に読まない議事録などをとりあえず保存しておくのにも最適だ。

    とりあえず、そこら辺にあるものをスキャンしてみたが、不要なデータを保存しても意味がない。むしろ不要なデータで必要なデータが見つからなくなり、クラウド内に私の部屋を再現するだけになってしまう。

    よって、まずデータ保存しておきたい書類として選んだのは、スマホを契約した時に作った「各種パスワードが記載された紙」である。

    携帯キャリアのIDパスワードだけではなく、Appleのパスワードなど、かなり重要なデータが記載された紙である。

    だが、私はすぐにIDやパスワードを忘れてしまうため、すぐに見られるように、その紙を私の机に置いていた。

    私の机にあるということは「震源地周辺」に置かれているということであり、その紙はすでに古文書のように汚れており、そのうち解読が困難になるだろう。
    これこそ、データとして保存しておくに相応しい書類である。

    カレー沢「「汚れもクリアに保存、これで一安心」

    こうして、無事に書類はデータとなり保存された。Googleドライブにクラウド保存したので、パソコンの故障などで消滅しないのも安心である。
    Googleが倒産したらその限りではないが、それより我が家が倒壊する確率の方が高いだろう。

    ちなみに、その書類の裏面には、他のパスワード類もメモ書きされており「unko4649」という、とても成人が書いたとは思えぬ文字列も両面スキャンでばっちり保存された。

    おそらくこれも何かのIDかパスワードなのだろう、保存しておいて損はない。
    しかし、何のIDとパスワードなのか一切記載がないのが惜しいところだ。

    立ち上がりとスキャンスピードの速さに頬が緩むカレー沢薫先生
    ScanSnap_iX1600

    ScanSnap iX1600

    毎分40枚・80面の両面高速読み取りを実現し、簡単操作のタッチパネルを搭載。Wi-Fiの5GHzに対応し、原稿サイズ、色や両面・片面を自動的に判別。 驚くほど簡単、スピーディーに電子化します。

    この記事を書いた人

    漫画家・コラムニスト カレー沢薫

        x

    元気な漫画家、まだまだ成長中。文章をかきます。

    karezawakaoru