ライフハッカー堀正岳さんの、小さな習慣で毎日の仕事が楽になる情報整理術
堀正岳さんは気候学の研究者でありながら、日本でいち早くライフハックという考え方を紹介し、書籍も多数書き上げるライフハックブロガーです。少しの工夫を習慣化することで生産性が上がるという堀さんのEvernoteを使った情報整理術を紹介します。
目次
小さなことを繰り返し、大きな成果を生み出せるのがライフハック
――ライフハックとは何でしょうか?
「2004年頃、プログラマーの間で広まった仕事術です。人に見せられないくらい簡単なスクリプトや習慣を1日に数回実行することで、20分、30分と時間を節約し生産性を上げていきます。元々は、『こんなやり方があったんだね』と驚いたり、『これはいいね』とニヤッとすることをハックと言うんですが、これを繰り返すことで大きな成果となり、人生が変わっていくということで、ライフハックという言葉が生まれました。
私がライフハックを知った頃は30代だったのですが、仕事の仕方や時間の見積もり方がわかっていなくて、力技で無理をしていたんですね。でも、ライフハックを実践し始めてからは仕事で無理をしなくなりました。そういったノウハウを紹介しているのが私のブログです」
情報整理のコツは、価値ある情報だけをストックすること
――堀さんの情報整理術について教えていただけますか?
「大きな考え方としては、2つあると思います。まずは、情報のアーカイブを増やすという観点です。ググればいいと考える人もいるのですが、これは他の人もアクセスできるために、希少価値が低い情報です。逆に、ググっても出てこない、自分の引き出しにストックしている情報は価値が高い。そういったものを増やし、いつでも引き出せるようにしておくことが大切だと思います。
もう一つは、関係ない情報を減らしていくことです。資料が多すぎると、そこから必要なものを選ぶのに時間がかかります。たくさんの情報を処理するのではなくて、要らない情報を除外すること。今大切なのは何なのか?と見極めることが大切です」
――その見極めのコツは?
「皆さん中立的な立場で、世の中から見て大事かを判断基準にしがちですが、『自分にとって大事か?』という基準でよいと思います。自分にとって大事なら、他の人もそうであったりしますから」
Evernoteは情報を仕分けし、管理するのに最適
――その情報は、どのように整理しているのですか?
「私は、Evernoteを使っています。以前は情報の置き場がなく、Webであればブックマークをするか、ファイル名をつけて保存したりしていました。でもそこにEvernoteがでてきたおかげで、情報を貯めておく箱ができました。情報を時系列に放り込める場所であり、OCR(文字認識)もできるので、後からキーワード検索で探せる。Evernoteに出会った時には、『これだ!』と感じましたね」
――書籍には、3つのノートブックに分けるという風に書いていますが?
「Inbox、Webクリップ、資料に分けています。Inboxは、とにかく自分の心に引っかかったものを入れているデフォルトの場所。Webクリップは、Inboxに似ていますが、Webからの情報。資料は、InboxやWebクリップから移動してきたものもあれば、自分で作ったものもあります。これは永続的なもので、しっかりと残しておかないといけないものを入れています。研究資料や、自分の本のシノプシス(要約)の部分などです」
情報は、鮮度とテーマの2軸で管理する
――これらを分ける意味は?
「InboxやWeb クリップは、今は大切でも、3年後にはどうでもよくなっていることが多く、鮮度があります。資料の方は逆で、時間が経てば経つほど蓄積が増え価値が上がり、自分の武器となります。そのため、情報は鮮度とテーマの2軸で管理しておいた方が楽なので、このように分類しています」
堀さんの3つのノートブック
- Inbox:ひとまず情報を入れるデフォルトの場所(定期的に移動・消去)
- Webクリップ:鮮度がよいほど価値が上がる
- 資料:時間が経つほど価値が上がる
――情報が溜まりすぎて混乱しませんか?
「私は、結構削除しています。先日、1万件ぐらい減らしたので、今のノートは7000を切っています。書籍には『30秒以内に見つかるかというルールを徹底』ということを書いています。これは結構、極端な例なんですけれども、情報が多いと何度も検索を繰り返さないといけません。私はなるべく一発の検索ワードで表示させたいので、自分のEvernoteが最近不便だなと感じたら不要なものを追い出します。先日も年賀状を圧縮して外部にアーカイブしました。私たちは1日に何回も探し物をしています。この回数を減らすだけで、1日何分も稼ぐことができますよ」
紙情報はScanSnapを使って、データ化する
――紙の資料はどうされていますか?
「ScanSnapでスキャンしてデータ化しています。ScanSnapだと読み込むだけでEvernoteの指定したノートブックに入り、全自動で紙の整理ができてしまうんです。まさに黄金のパスワークなんですよね」
――スマホで写真を撮るのとは違うのですか?
「普段使いで1枚だけ撮るのであれば撮影で十分だと思うんですが、スマホでは解像しきれないものも意外と多いので、スキャンすることが大事だと感じています。書類の中までしっかりOCRでき、後で検索した時に『こんなものにも引っかかるんだ』というくらい見つかる確率が上がりますので、すごくありがたく使ってます」
新しい習慣を作るのではなく、楽になることをやるのが継続のコツ
――情報整理を継続的にやるコツはありますか?
「一般的には名刺をデータ化すると便利ですが、名刺をあまり使わない人は入れなくてもいいんです。逆に、別の資料が負担になっているのならそれをEvernoteに入れればいい。楽になるポイントは人によって違うんですよ。自分がストレスを感じていることや、変えれば楽になることを探し、そこからスタートするのがよいと思います。使っていくうちに楽になったり嬉しかったりする成功体験を繰り返すと続けられると思います。
Evernoteにしても、使いこなせなきゃいけないと思う人が結構多いんですよね。でも、私が使っているのは、ほぼ基本機能だけですし、毎月のアップロード容量も1割も使わずに終わっちゃうこともあるくらいです。『使いこなさなきゃ』と難しく考えなくてもいいのかなと思います」
Evernoteを子供の記憶の鍵にする
――Evernoteが10周年を迎えましたが、思い出に残っているノートはありますか?
「なぜ残したのか記憶にはないのですが、子どもの出生届をEvernoteに入れてるんですね。見るたびに、ちょっと嬉しかったりするんですよ。他にも、Evernoteの音声録音機能で、ちょっとした瞬間を録音しています。居間でワイワイくつろいでいる時とか何気ない瞬間を1分ぐらい録音するのですが、それを1年後に聞いてみると紐づいている記憶が出てくるんです。こういう思い出を記録しておくと、後で偶然見つけたりして楽しいですよ」
ライフハックで普段の生活が楽になる
仕事でもプライベートでも、『自分にとって』大事なこと、ラクなこと、楽しいことを探す、余計な時間や情報を減らすなど小さなことを繰り返すことで人生を豊かに変えていくライフハック。早速、今日から始めてみてはいかがでしょうか。
堀 正岳さん
「人生を変える小さな習慣」をテーマとしたブログ、Lifehacking.jp管理人。ライフハックや仕事術、テクノロジー、ソーシャルメディアの最新情報をブログで紹介。 2011年アルファブロガー・アワード受賞。著書は『ライフハック大全』(KADOKAWA)など多数。Evernoteコミュニティリーダー、ScanSnapアンバサダー。
ScanSnap iX1600
毎分40枚・80面の両面高速読み取りを実現し、簡単操作のタッチパネルを搭載。Wi-Fiの5GHzに対応し、原稿サイズ、色や両面・片面を自動的に判別。 驚くほど簡単、スピーディーに電子化します。 ※記事中の「ScanSnap iX500」の後継モデルです。 |
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堀江賢司さんは、愛知県に本社を構える堀江織物株式会社の取締役であり、印刷やものづくりの楽しさを伝えるサービスを行う株式会社OpenFactoryの代表取締役でもあります。 2010年に堀江織物の東京営