2024.8.30 |
紙の請求書や領収書をスキャナ保存しませんか?
~電子帳簿保存法に対応するファイル名の付け方を解説~
電子帳簿保存法(以下、電帳法)の保存区分には「電子帳簿・電子書類」「スキャナ保存」「電子取引」の3つの種類があります。本記事では「スキャナ保存」に特化して、概要やメリット、スキャナ保存の要件の1つである「検索機能の確保」に効率的に対応する方法について解説します。
さらに、スキャナ保存に適した機能を持つおすすめスキャナーをご紹介していますので、ぜひ最後までお読みください。
1. 電子帳簿保存法 スキャナ保存とは
最初に「電帳法 スキャナ保存」の概要やメリット、スキャナ保存の要件について簡単にご説明します。
なお、電帳法について詳しく知りたい方は、以下のページをお読みください。
1-1. 電帳法のスキャナ保存とは
スキャナ保存は、保存が義務づけられている書類を、複合機やスキャン専用機などで電子化して保管することです。
対象は、請求書、見積書、納品書、注文書といった国税関係書類の取引関係書類に該当する書類です。取引先から受領したこれらの紙書類がスキャナ保存の対象になります。
また、自社が紙の請求書などを発行している場合は、発行した書類の控え(写し)もスキャナ保存の対象となります。
インボイス制度の対応による経理部門の負担軽減にもつながります!
インボイス制度の開始により経理部門では、適格請求書(インボイス)の保存や仕入税額控除に関連する確認作業が発生するため負担が増えています。
インボイスは電子と紙の両方の場合があるため、それぞれで管理すると作業が煩雑になります。取引関係書類を含め、取引先から受領したすべての紙書類を電子データ化することで、保管や管理の負担軽減につながります。
経理業務の効率化は「インボイス制度では3万円未満の領収書も保存必須!経理部門の業務負担を軽減する方法をご紹介」の記事で解説していますのでご参照ください。
1-2. スキャナ保存のメリット
スキャナ保存への対応は任意なので、紙の請求書や領収書をそのままファイリングして保管することも可能ですが、スキャンして電子化することで次のメリットがあります。
保管スペースが不要になりペーパーレス化を促進できる
一定の要件で電子化して保存した書類は、その原本を破棄することができます。これにより保管場所を削減できるだけでなく、紙の書類を管理するための人的コストの削減や紛失リスクの軽減にもつながります。
書類の検索や共有が容易になり業務効率化につながる
書類を電子化することで必要な書類をPC上で検索できるようになります。書棚に移動してファイリングされた紙の中から目的の書類を探すといった手間がなくなります。必要な情報を即座に確認・共有できるため、業務の効率化につながります。
テレワークの推進につながる
経理担当者が紙の領収書を処理するために出社する必要がなくなるなど、テレワークしやすい環境につながります。
電子化のポイント!
- 電帳法の改正により、2024年1月からは電子データで受領した領収書などを紙に出力して保存できなくなりました(電子データのままでの保存が必須)。紙で受領した書類と別々の方法で管理するよりも、紙も電子化して一元管理することでメリットが大きくなります。
-
これからやりとりする書類だけでなく、スキャナ保存を始める日よりも前にやりとりした過去の書類(※)もスキャナ保存できます。
※:過去の重要書類(資⾦や物の流れに直結・連動する書類)をスキャナ保存する場合は、あらかじめ税務署長に届出手続を行う必要があります。詳細は「国税関係書類の電磁的記録によるスキャナ保存の適用届出(過去分重要書類)」をご確認ください。
1-3. スキャナ保存の要件
スキャナ保存に対応するためには、以下の要件を満たす必要があります。
-
検索機能の確保
- 取引日付、取引金額、取引先で検索できること
- 日付または金額について範囲を指定して検索できること
- 2つ以上の項目を組み合わせて検索できること
-
一定水準以上の解像度の確保
- 解像度が 200dpi相当以上であること
- 赤色、緑色及び青色の階調がそれぞれ256階調以上であること など
上記のほかにも要件がありますので、「電帳法お役立ち情報」の「スキャナ保存の保存要件」をご参照ください。
次に検索機能を確保する方法を解説します。
2. 「検索機能の確保」に対応する方法
2-1. 対応方法
「検索機能の確保」に対応するためには、スキャナ保存の要件に対応しているシステムを利用するのが良いです。
しかし、毎月の処理件数が少なかったり、費用面で導入が難しかったりする場合など、システムを導入せずに自社のサーバーやストレージに保存したい方もいらっしゃると思います。このようなときは、ファイル名の付け方を工夫することで対応できます。
2-2. ファイル名の付け方で対応する
検索の要件を満たすためには、保存するデータのファイル名に「取引日付・取引先・取引金額」を含めます。このとき、日付は西暦にする、項目の順番を統一するなど、規則的なファイル名になるようにルール化します。
例)2024年7月31日に株式会社PFUから受領した100000円の請求書の場合
ルール | 付与ファイル名 |
---|---|
取引日付_取引先_取引金額 | 20240731_株式会社PFU_100000.pdf |
運用のポイント!
- ファイル名は社内で統一する必要があります。ファイル名の付与ルールは社員に周知しましょう。
-
ファイル名に書類の種類を含めると、さらに検索しやすくなります。
例) 2024年7月31日に株式会社PFUから受領した100000円の請求書の場合
→20240731_株式会社PFU_100000_請求書.pdf
2-3. 留意事項
ファイル名の指定を手作業で行うと、担当者の負担が大きくなり、人的ミスも発生しやすくなります。このリスクを低減するには、ファイル名付与の効率化につながる機能を持ったスキャン専用機を使用するのがおすすめです!
3. スキャン専用機で効率よくスキャナ保存に対応!
RICOH fi Seriesは、指定した位置にある文字情報を抽出する機能を備えています。この機能を使うとファイル名を付ける作業を効率化できます。
3-1. 文字情報を抽出してファイル名に指定
ファイル名をすべて手作業で付けるのは意外と手間と時間がかかるもの。
fiシリーズの「ゾーンOCR機能」を使うと、読み取った画像の定位置にある文字列を抽出(OCR)し、ファイル名に指定できます!読み取り後のファイル名指定作業を効率化できます。
ゾーンOCRの詳細は、次の動画でご確認ください。
設定も簡単!
設定や定義が難しいのでは?と思われるかもしれませんが、抽出する文字列のエリアを指定し、それをファイル名に設定するだけです。
ゾーンOCRを使ってファイル名を指定する一連の流れは、「【電子化するだけじゃない!fiシリーズの便利機能】ゾーンOCRでファイル名を自動付与」でご確認いただけます。
3-2. e-文書法の保存要件を満たした画像を簡単に生成
さらに、スキャン専用機を利用すると、一定水準以上の解像度の確保や、電帳法の電子保存要件を満たした画像データの生成も対応できます。
fiシリーズでは標準添付ソフトウェアに「e-文書モード」が搭載されているので、電帳法で規定されている解像度、階調性、圧縮強度などの画質要件を満たす画像を生成できます。複雑な設定は不要で、用意されている「e-文書モード」の読み取り設定に切り替えるだけで正しいエビデンスとして保存できます。
e-文書モードの詳細は、「法令用件を満たす画像を出力できるe-文書対応スキャナー」をご参照ください。
3-3. 電帳法対応におすすめスキャナー
電子帳簿保存法の対応で、スキャナーの導入をお考えの方に「fi-8190シリーズ」をおすすめします。以下の特長があり、スキャナ保存はもちろん、オフィスで使用するさまざまな書類の電子化にも最適です。
- 毎分90枚/180面の高速読み取り(fi-8190の場合)
- デスクサイドで使えるコンパクトサイズ
- スキャンで散らばりがちな小さな原稿もきれいに整頓する「スタッカーサポーター」を搭載
fiシリーズが電帳法スキャナ保存に最適な理由については、以下の資料でさらに詳しく解説しています。無料でダウンロードできますので、ぜひご利用ください。
また、「fi-8190シリーズ」を導入して業務を効率化した成功事例は、以下からご確認いただけます(サッポロビール様はfi-8190シリーズの前モデルを導入)。
本記事でご紹介した請求書処理の例だけでなく、デジタル化は進んでいますが、すぐに紙を媒体とする業務がなくならないのが現状です。紙の書類を電子化し、「電子帳簿保存法 スキャナ保存」を利用して業務の効率化を進めることが大切です。
この記事をきっかけに、電子データと紙が混在する作業の効率化を進めていただけると幸いです。