電子帳簿保存法 お役立ち情報

電子帳簿保存法とは

各税法で原則紙での保存が義務づけられ ている帳簿書類について一定の要件を満たし た上で電磁的記録(電子データ)による保存を可能とすること及び電子的に授受した取 引情報の保存義務等を定めた法律です。 電子帳簿保存法上、電磁的記録による保存は、大きく3種類に区分されています。

要件について詳しく知る

気を付けたいポイントはこれ!

  • 入力単位
  • 統制の考え方
  • 取引日付
  • 画質要件
  • 帳簿との相互関連性
  • 保存の措置3号

電子帳簿保存法第4条1項(電子帳簿とは)

電子帳簿保存法第4条1項では「国税関係帳簿」について、自己が最初の記録段階から一貫して電子計算機を使用して作成する場合に、電磁的記録(電子データ)による保存を容認しています。

国税関係帳簿とは

「国税関係帳簿」とは、元帳や仕訳帳などの会計帳簿のことを指します。これらは会計ソフトの利用普及に伴い、最初からパソコンで入力・作成しているケースも多いでしょう。法令上は原則としてこれらを紙で保存しておくことを義務付けていますが、紙に出力することなく、電磁的記録(たとえば会計ソフトのデータ)のまま保存しておきたい場合には、電子帳簿保存法に定められた一定の要件を満たしておく必要があります。

国税関係帳簿の保存要件

保存要件のポイント

  • 税務署長の事前承認は不要(帳簿は優良/その他に分類され、過少申告加算税の軽減措置適用を受ける場合は優良な帳簿の届出書が必要)
  • 一貫して電子作成が必要
  • 帳簿の電子保存については、原則、課税期間の途中から適用できない
要件 要件概要 帳簿
優良 その他
訂正・削除の履歴の確保 記録事項の訂正・削除を行った場合には、これらに事実及び内容を確認できる電子計算機処理システムを使用すること
通常の業務処理時間を経過した後に入力を行った場合には、その事実を確認できる電子計算機処理システムを使用すること
相互関連性の確保 電子化した帳簿の記録事項とその帳簿に関する他の帳簿の記録事項との間において、相互にその関連性を確認できること
システム関係書類の備付け システム関係書類等(システム概要書、システム仕様書、操作説明書、事務処理マニュアル等)を備え付けること
見読可能性の確保 保存場所に、電子計算機、プログラム、ディスプレイ、プリンタ及びこれらの操作マニュアルを備え付け、記録事項を画面・書面に整然とした形式及び明瞭な状態で速やかに出力できるようにしておくこと
検索機能の確保 取引年月日、取引金額、取引先により検索できること
日付又は金額の範囲指定により検索できること ※1
2以上の任意の記録項目を組み合わせた条件により検索できること ※1
ダウンロードの求め 税務調査による質問検査権に基づく電磁的記録のダウンロードの求めに応じることができるようにしておくこと ※1 ※2
  • 検査要件①~③について、保存義務者が、税務職員による質問検査権に基づく電磁的記録のダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合には、検索要件のうち②③の要件は不要。
  • “優良”のすべての要件を満たしているときは不要。

国税庁「はじめませんか、帳簿書類の電子化!」に基づき作成
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021012-095_03.pdf

電子帳簿保存法第4条2項(電子書類とは)

電子帳簿保存法第4条2項では「国税関係書類」について、自己が最初の記録段階から一貫して電子計算機を使用して作成する場合に、電磁的記録(電子データ)による保存を容認しています。

国税関係書類(決算関係書類・自社発行の控え)とは

ここでは「決算関係書類」と「取引関係書類(自社発行の控え(写し))」が対象となります。決算関係書類(貸借対照表、損益計算書など)は一般的に会計ソフトで作成・保存されるものが多いです。また、取引関係書類(請求書、見積書など)を販売管理ソフトや帳票作成ソフトで作成・発行して取引先へ送付しているような場合に、その控え(写し)を紙ではなく電磁的記録(たとえば販売管理ソフトのデータ)のまま保存しておきたい場合には、電子帳簿保存法に則って、一定の要件を満たすことが求められます。

国税関係帳簿書類の保存要件

保存要件のポイント

  • 税務署長の事前承認は不要
  • 一貫して電子作成が必要
  • 国税関係書類の電子保存については、課税期間の途中からも適用可能
要件 要件概要
システム関係書類の備付け システム関係書類等(システム概要書、システム仕様書、操作説明書、事務処理マニュアル等)を備え付けること
見読可能性の確保 保存場所に、電子計算機、プログラム、ディスプレイ、プリンタ及びこれらの操作マニュアルを備え付け、記録事項を画面・書面に整然とした形式及び明瞭な状態で速やかに出力できるようにしておくこと
検索機能の確保 取引年月日その他日付により検索できること
日付は範囲指定により検索できること
  • 取引年月日その他の日付により検索ができる機能及びその範囲を指定して条件を設定することができる機能を確保している場合は、「ダウンロードの求めに応じること」の要件は不要

国税庁「はじめませんか、帳簿書類の電子化!」に基づき作成
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021012-095_03.pdf

電子帳簿保存法第4条3項(スキャナ保存とは)

電子帳簿保存法第4条3項(スキャナ保存)では、取引先から受け取った請求書、領収書等及び、自己が作成したこれらの紙の控え(写し)等の国税関係書類(決算関係書類を除きます。)について、一定の要件の下で、書面による保存に代えて、スキャン文書による保存を容認しています。
スキャナ保存の要件に従ってスキャン文書にした後は、紙の原本は廃棄できます。

重要書類/一般書類の違い

国税関係書類は書類の重要度で、重要書類と一般書類に区分されます。「資金や物の流れに直結・連動する書類」は重要書類に区分され、それ以外が一般書類に区分されます。なお、一般書類はグレースケール画像でも可など、重要書類と一般書類の電帳法スキャナ保存の要件も変わってきます。

書類の区分 重要書類 一般書類
資金や物の流れに直結・連動する書類 資金や物の流れに直結・連動しない書類
(例)契約書、納品書、請求書、領収書 など (例)見積書、注文書、検収書 など
  • 請書がある場合

スキャナ保存の保存要件

保存要件のポイント

  • 税務署長の事前承認は不要(過去分重要書類※のスキャナ保存は事前に適用届出書の提出が必要)
    ※過去に受領した「重要書類」は、過去分重要書類といいます
  • 国税関係書類の区分(重要/一般)により電子化要件が異なる
  • 書類の種類に応じてスキャナを使い分けることは現実的でない。重要書類に対応できるスキャナを準備することが必要
要件 要件概要
書類の区分 重要書類 一般書類※3
入力期間の制限 国税関係書類に係る記録事項の入力をその業務の処理に係る通常の期間(最長2か月以内)を経過した後、速やか(おおむね7営業日以内)におこなう事務処理規程を定めること。 適時に入力(入力期間の制限なし。過去分も電子化可)
一定水準の読み取り (1) 解像度が 200dpi相当以上であること
(2) 赤色、緑色及び青色の階調がそれぞれ256階調以上であること など
グレースケールも可
タイムスタンプの付与 一財)日本データ通信協会が認定するタイムスタンプを、 一の入力単位ごとの電磁的記録の記録事項に付すこと
受領後、速やかに入力又は受領後、通常の期間後に速やか入力で入力した事を確認できる場合は、タイムスタンプ付与は不要※1
読取情報の保存 読み取った際の解像度、階調及び当該国税関係書類の大きさに関する情報を保存すること 大きさ情報は不要
ヴァージョン管理 国税関係書類に係る電磁的記録事項の記録事項について訂正又は削除を行った場合には、これらの事実及び内容を確認することが出来ること
入力者等情報の確認 国税関係書類に係る記録事項の入力を行う者又はその者を直接監督する者に関する情報を確認できるようにしておくこと
帳簿との相互関連性の確保 国税関係書類に係る電磁的記録の記録事項と当該国税関係書類に関連する国税関係帳簿の記録事項との間において、 相互にその関連性を確認することができるようにしておくこと
見読可能装置の備付け等 (1) 規則第3条第5項6号に定める要件を満たしたカラーディスプレイ及びカラープリンタ並びに操作説明書を備え付けること
(2)電磁的記録について、整然とした形式や4ポイントの大きさの文字を認識できることなど、速やかに出力することができるようにすること
グレースケールの場合、ディスプレイ及びプリンターはカラー対応である必要なし
システム関連書類の備付け 電子計算機処理システムの概要を記載した書類、そのシステムの開発に際して作成した書類、操作説明書、電子計算機処理並びに電磁的記録の備付け及び保存に関する事務手続きを明らかにした書類を備え付けること
検索機能の確保 取引年月日、取引金額、取引先により検索できること
日付又は金額の範囲指定により検索できること※2
2以上の任意の記録項目を組み合わせた条件により検索できること※3
  • タイムスタンプの代替え要件について、法令の解釈通達では「SaaS型のクラウドサービスが稼働するサーバがNTPサーバと同期、かつ、スキャナデータが保存された時刻の記録及びその時刻が変更されていないことを確認できる場合」など例示されています。詳しくは法令解釈通達・国税庁HPのQ&Aをご確認ください。
  • 税務職員からの電磁的記録のダウンロードに応じる場合は、検索要件の②、③は不要。
  • スキャナ保存を行う国税関係書類に係る電磁的記録の作成及び保存に関する事務の手続きを明らかにした書類(これらの事務能勢金車が定められているもの。)の備付けを行う必要があります。

【過去分重要書類について】
スキャナ保存を開始した日より前に作成・受領した重要書類(過去分重要書類)については、あらかじめ、その種類等を記載した適用届出書を税務署長等に提出することでスキャナ保存をすることができます。この場合、入力期間の制限の要件は不要となる等、上記要件の一部は緩和されますが、電磁的記録の保存に併せて、そのスキャナ保存を行う国税関係書類に係る電磁的記録の作成・保存に関する手続きを明らかにした書類(これらの事務の責任者が定められているもの。)の備付けを行う必要があります。

国税庁「はじめませんか、書類のスキャナ保存!」に基づき作成
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/0018004-061_02.pdf

電子帳簿保存法第7条(電子取引について)

電子帳簿保存法第7条では、電子取引を行った場合には、一定の要件の下で、その電子取引の取引情報に係る電磁的記録(電子メール、Web請求書など)の保存を義務付けています。
令和3年度の税制改正で、2022年1月1日から行う電子取引の電磁的記録(電子データ)は、電子データのままで保存することが義務付けられ、それまでは電子データを書面に出力したものを保存することも容認されていましたが、これが認められなくなりました。

電子取引の範囲

電子取引は、取引情報の授受を電磁的方式により行う取引をいい、範囲がとても広いです。以下のような方法が電子取引に該当します。

電子メール

電子メールにより請求書や領収書等のデータ(PDFファイル等)を受領

FAX

メモリ受信するFAX

ホームページからダウンロード

インターネットのホームページからダウンロードした請求書や領収書等のデータ(PDFファイル等)又はスクリーンショット

クラウドサービス

電子請求書や電子領収書の授受に係るクラウドサービス利用

EDI

EDIシステムを利用

タブレット

窓口の申込などに係るタブレット利用

カード

クレジットカードの利用明細データ、交通系ICカードによる支払データ、スマートフォンアプリによる決済データ等を活用したクラウドサービスを利用

DVD等の記憶媒体

請求書や領収書等のデータをDVD等の記録媒体を介して受領

宥恕措置について

令和3年度の税制改正で、すでに2022年1月1日から行う電子取引の電磁的記録(電子データ)は、電子データのままで保存することが義務付けられています。これを宥恕措置として、2022年1月1日から2023年12月31日まで行う電子取引について、電子データを書面に出力して保存することを容認しています。
しかし、2024年1月1日から確実に電子取引の電子データのまま保存しなければなりません。
※「令和5年度税制改正大綱」により見直しが検討されています。

電子取引の保存要件

保存要件のポイント

  • 令和6年1月1日からはすべての事業者で対応が必要
  • 保存方法は4種類の措置から1つを選択し、保存が必要
  • 4号の措置の、訂正削除に関する事務処理規程に沿った運用がやりやすい
要件 要件概要
保存の措置
一号から四号のいずれかの措置で保存
一号 タイムスタンプが付与された取引情報を受領した場合はその取引情報をそのまま保存する措置
二号 取引情報の授受後、速やかもしくは業務サイクル後速やかにタイムスタンプを付与し、保存を行う者かその者を直接監督する者の情報を保存する措置
三号 訂正削除できないシステム等で授受及び保存する措置
四号 正当な理由がない訂正及び削除の防止に関する事務処理の規程を定めて運用管理を行い、規程を備え付ける措置
検索機能の確保 取引年月日、取引金額、取引先により検索できること
日付は範囲指定により検索できること
2以上の任意の記録項目を組み合わせた条件により検索できること
操作説明書の備付けと表示印刷機能 システムの操作説明書を備え付け、保存している取引情報を整然とした形式及び明瞭な状態で速やかに出力できること
システム関連書類の備付け システム関係書類(システム概要書等)を備え付けること
  • 税務職員からの電磁的記録のダウンロードに応じる場合は、検索要件の②、③は不要

電帳法対応のよくある質問

電子取引で受け取った取引情報について、同じ内容のものを書面でも受領した場合、書面を正本として取り扱うことを取り決めているときでも、電子データも保存する必要がありますか。

電子データと書面の内容が同一であり、書面を正本として取り扱うことを自社内等で取り決めている場合には、当該書面の保存のみで足ります。
ただし、書面で受領した取引情報を補完するような取引情報が電子データに含まれているなどその内容が同一でない場合には、書面及び電子データの両方を保存する必要があります。

電子取引でやり取りした見積書等の電子データを一度印刷したものを、スキャナ保存することは認められますか。

認められません。
他者から受領した電子データを書面等に出力して保存することは、電子帳簿保存法や他の税法に基づくものではありませんので、その出力書面等は電子帳簿保存法に基づくスキャナ保存の対象となりません。

国税関係書類のスキャナ保存を適用した場合は、紙の原本はすぐに廃棄してよいでしょうか。

令和4年1月1日以後に保存を行う国税関係書類については、最低限の同等確認(電磁的記録の記録事項と書面の記載事項とを比較し、同等であることを確認(折れ曲がり等がないかも含む))後、すぐに廃棄して問題ありません。
但し、以下のケースを除きます。

  • 入力期間を経過した場合
  • 備え付けられているプリンタの最大出力より大きい書類を読み取った場合

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