より多くの人が快適に使えるように、世界をリードする技術を提供していく。
そこには粘り強くチャレンジし続けた歴史と、圧倒的な成果があります。

どんな環境で、どう使われているのか
現場を知り、設計に生かす

製品のその先にいるのは“人”

スキャナーはコンピュータ周辺機器の一つですが、その全てが0と1で計算するデジタルで作られているわけではありません。電源のスイッチを入れ、原稿台に紙をセットし、読み込んだ画像を活用するのは、いつでも“人”。どんな環境で使われているのか、スキャニングを通してどんな情報がほしいのか、使用する際にストレスは感じていないだろうか。スキャナーの前には必ず、お客様がいます。

だからこそ、人の気持ちや行動など計算式だけでは表せない要素も加味した製品開発が必要です。お客様にとってより身近な製品となるように、エンジニアが実際に使われている現場へと足を運び、自分の目で見て、肌で感じ、現場を知る。それがPFUの製品開発の第一歩となります。

長さも、厚みも、想定外だった

PFUイメージプロダクト事業部長 増田 稔

製品開発を牽引するPFUイメージプロダクト事業部長の増田稔には、エンジニアとして忘れられないプロジェクトがあります。それは10年以上前、中国の銀行向けに手がけた業務用スキャナーの開発です。お客様から求められたオーダーは、大量かつ高速で原稿を自動的に給紙するADF*を備えたPFU初となる高速機でした。

開発にあたって増田はまず、現場となる中国の銀行へと足を運びました。そして、行員の皆さんが働く姿を観察していたとき、想定を超える種類の紙が使われている事実に驚きました。

「中国の銀行で読み取っていたものには、名刺サイズの小さな紙や、A3の書類も通帳もありました。現地では1つの案件にかかわる小切手などをテープでつなげる習慣もあり、1メートル以上の長尺原稿のスキャニングも必要でした」(増田)。

現場を知ることで浮き彫りになった課題を解決するため、増田は中国で使われる100種類以上の紙を収集。さまざまなパターンで評価を繰り返し、改良を重ね、最も弱い紙でも決して破れることのない最適な給紙構造の開発に成功しました。

*ADF(Automatic Document Feeder):自動給紙機構

いつ、どんな時でも取り出しやすく

現場での気づきが開発に活かされたのは、給紙部分だけではありません。排出された紙を取り出しにくいと作業効率が下がることに気づき、開発したのが「エレベータスタッカー」です。これは、高速で排出される紙が積み重なりやすいよう、紙束の高さを検知して、自動的に排出部の高さを制御するもの。さらに、紙の先端が揃うよう排出部に傾斜をつけることで、より取り出しやすい構造としています。

また、日常のメンテナンスのしやすさに配慮して、内部が大きく開く構造にするなど、お客様の環境や使い方に応じた、きめ細かな設計を数多く採用。現場を知り、お客様の潜在的なニーズに応えた製品は、その後、中国市場のみでなく世界各地で、広く受け入れていただけるものになりました。

現場の声が技術の“種”に

ある時、トルコに納めた試作機に関して、営業を通してクレームが寄せられました。「カードをスキャンしたいのに読み込めない」。最初にその報告を受けた時、エンジニアは耳を疑ったと言います。開発にあたっては世界中からカードを取り寄せ、その中でも一番分厚いタイプに対応できる機種を設計していたからです。

信じられない気持ちを抱えたまま、トルコへと飛んだエンジニアが目にしたのは、ラミネート加工された分厚いカードでした。現地では、カードをそのままズボンのポケットなどに入れて持ち歩く人が多く、座った拍子などに割れてしまうことがあるためです。この経験をもとに、短期間で搬送路を改良したスキャナーを開発。どんなカードも読み込める使い勝手のよさから、トルコのお客様に採用していただけるようになりました。

このほかにも、ガラス面に付着する紙の微細な粉を除去するために導電被膜を施したり、読み取り画像の不具合を自動的にチェックしたりするなど、直接耳にしたお客様の声が開発の“種”となり、新たなスキャナー技術が育っています。

世界に通じる確かな品質は圧倒的な評価量から生まれています

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