ScanSnap

生徒全員iPad導入に備え紙の資料をスキャンする カリタス女子中学高等学校

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移行期だから紙のデジタル化が必要になる。
先生方が職員室でScanSnapを使っている学校があると聞いて、さっそく取材に行ってきた。iPadとScanSnapの組み合わせは教育を大きく変えていくかもしれない。

目次

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    来年度からのiPad全員利用に備え教科ごとに利用方法を模索中

    カリタス女子中学高等学校は、神奈川県川崎市にあるキリスト教カトリック系ミッションスクール。中高一貫の女子校で、上品で穏やかな校風が魅力の学校。2006年に建てられた、モダンなデザインのきれいな校舎で勉強できることで知られる。中高一貫なので、高校受験をしなくてもいいという点も魅力。高校1年生、2年生、3年生は、校内ではそれぞれ4年生、5年生、6年生と呼ばれるのだそうだ。

    そのカリタス女子中学高等学校の先生方が、校務センター(職員室)でScanSnap iX1500を使っていると聞いて取材に行ってきた。

    来年の1〜3年生は全員iPadを購入

    レンガ建てのモダンな美しい校舎に入って行くと、生徒たちが「こんにちは!」と明るく挨拶してくれる。

    校務センターは大きなフロアぶち抜きで、中学1年生から6年生(中学1年生から高校3年生)までの先生が一緒に仕事をする。その中で、比較的若手のお二人、4年生に数学を教えている花野井聡先生と、同じく4年生に国語を教えている沢野誠先生にお話をうかがった。

    ScanSnapの導入の話の前にうかがわなければならないのが、学校全体のIT化の話だった。今、教育界はプログラミング教育必須化や、IT機材の導入にあって、大きく揺れている。そもそも、学校の先生が皆ITに詳しいワケもないし、専門家のいない『プログラミング教育』って誰が教えられるの? っていう問題もある。そんな中で、どんな機材を導入して、どうやって活用していくかというのは大きな問題だ。

    カリタス女子中学高等学校も、来年の1?3年生にはひとり1台のiPadを導入する。機種は比較的安価なiPadの10.2インチ。Apple Pecilは使うが、スマートキーボードは使わない。機種を指定して教材費のようなカタチで、全員が購入する。購入なので卒業後は私物になる。

    従来は情報の授業でパソコンを扱うのがせいぜいだった。今年試験的にiPadを48台導入。最終的に学校の機材として200台を導入予定。学校機材を授業の時だけ借りる4?6年生からは1?3年生がiPadを購入(保護者の負担だが)してもらえたことを羨ましがる声もある。

    授業でのiPad活用を研究するために教員には先行してiPadが導入された。今年は、それぞれの先生が活用方法を模索している感じだ。

    国語を教える沢野先生は資料にありったけの書き込みを行っていた。一瞬にして新品の状態に戻したり、書き込みを復元したりもできる便利さがある。

    数学を担当する花野井先生はオリジナルの問題をKeynoteで作っている。グラフィックを入れるのも容易だし、数式もLaTeX入力で表現できる。

    実験的にiPad導入、電子黒板も

    花野井先生と、沢野先生はすでに授業でiPadを活用しているそうなので、その活用方法について聞いてみた。

    各教室には電子黒板とApple TVの接続が用意されているので、iPadの資料を即座に電子黒板に表示されるのが便利だそうだ。これまでは、授業といえば板書と、それをノートに書き写す時間が多くを占めたが、それらの作業に時間を使わずに、コミュニケーションや『考えること』に時間を費やせるのがメリットとのこと。

    国語の沢野誠先生(左)と数学を教える花野井聡先生(右)。
    新しいITデバイスを教育に活かしていこうという熱意にあふれていた。ScanSnapもよく使うという。

    たとえば、数学を担当する花野井先生は生徒の進度や説明のしやすさに合わせたオリジナルの資料をiPadのKeynote上で作っている。Keynoteは複雑な数式を再現できるLaTeX入力に対応しているのがとっても便利。パソコンと違って、図版なども作りやすい。

    国語の沢野先生は古文のテキストに書き込みをして活用しているとのこと。紙のノートと違って、間違った書き込みをしても消してやり直すことができる。

    iPadのアプリとしてはKeynoteの他に、GoodNotes、ロイロノートも非常によく使うアプリだそうだ。生徒への課題のハンドリングや、進捗状況の確認などにはGoogleのClassroomを使うとのこと。

    「子供たちが巣立っていく社会にはデジタルデバイスがいっぱいあるわけで、仕事でもそれらを使うでしょう。学校でICT機器に触れる、日常的に接するということは大事だと思います。あとは、我々よりも生徒の方が早く順応して使いこなすと思ってます」

    インフラの方も万全だ、当初は、この部屋には電波が届かないとか、弱くてダウンロードが遅い場所などがあったが解決済み。

    iX1500も準備完了

    「ScanSnapは、今のところ校務センターにiX1500が1台おいてあるだけですが、来年になると生徒用にも導入しようと思っています」

    校務センターにあるiX1500は校内のWi-Fiに接続されており、iPad側のScanSnapアプリで直接iX1500に接続してスキャンするようになっている。

    ScanSnapアプリで、Wi-Fiを経由してスキャナーと接続して直接読み込む。多くの先生がいる環境だと、一番簡単な接続方法かもしれない。

    iPadはScanSnapアプリで直接接続。今後クラウドやプロファイルを使ったもっと便利な手段に切り替わっていくだろう。

    まだまだ紙の資料も多いからScanSnapが必要

    花野井先生や沢野先生は日常的にいろいろな紙の資料をスキャンしてiPadに取り込んで活用しているという。

    たとえば学校から配布される紙資料もスキャンしてGoogle Classroomで配布する。教材もこれまで紙で提供していたものをスキャンして生徒たちにデジタルデータとして提供する。

    また逆に生徒たちが提出した課題なども、従来だと採点して返却すると手元には残らなかったが、スキャンしてちゃんとストレージに蓄積しておくことができるようになったという。

    すでにスキャンボタンひとつで、各学年のクラウドドライブに保存することができるプロファイルも作成されていて、いつでも活用できるようになっている。

    「来年度になれば、生徒たちはiPadを活用するわけですが、いきなりすべてのものがデジタル化されるわけではありません。先生の側の習熟度にも差があり、教科によっては紙のプリントが配布される場合もあるでしょう。それをデジタル化して持ち歩きたい生徒は、共有されているScanSnapを使って自分でスキャンして活用することができます」

    これからデジタルデバイスが導入されていく移行期だからこそ、デジタルとアナログを繋いで橋渡しするScanSnapというデバイスが必要とされるのだ。

    iPadを接続してスキャンする花野井先生。広い教員室には、中学?高校の6年間の先生が学年ごとに机を並べている。非常にオープンで楽しそうな学校だった。

    課題を書いたプリントをスキャナーで読み取りiPadに表示。レイヤーを分ければ書き込んだものを消して、何度も学習に使うことができる。

    >>Caritas's Setting【学年ごとのクラウドに】ボタンひとつで学年が共有するドライブに投入する対処法

    まだ、iPadも導入されたばかりだし、ScanSnapもいろいろと専門化した使い方が設定されていたりするわけではない。これから、利用経験を積むに従って、さまざまな設定方法が編み出されていくことだろう。現状、設定されているのが、学年ごとに管理しているGoogle Driveに直接アップロードするプロファイルのみだったが、今後使い込まれて行くのが楽しみだ。デジタル化が進んでも一部のドキュメントについては紙だろうし、中にはデジタルが得意ではない......ということで授業でもあまりiPadを使っていない先生もいる。だからプリントや課題が紙で渡されるかもしれないが、そういった場合でも自分でデジタルデータ化することができる。デジタルとアナログの移行期だからこそScanSnapが必要とされるということだ。

    基本的にはプリセットのまま
    基本的なプロファイルは発売時のプリセットのまま。今後、活用されるに従ってさまざまなプロファイルが用意されていくことだろう。

    各学年用のスキャンデータをGoogleで管理
    Wi-Fi経由で直接クラウドサービスにアップロードする設定も行われている。Google Driveは学校全体として共通で契約し用意している。

    ■取材協力

    カリタス女子中学高等学校

    カリタス女子中学高等学校
    神奈川県川崎市にある私立の女子中高であり、カトリック系のミッションスクール。中学高校一貫教育で、フランス語に強いことでも知られる。
    https://www.caritas.ed.jp/

    記事制作:flick!編集部
    本記事は『flick! digital(フリック!デジタル)特別編集 デスクが片づくデジタル超整理術』に掲載されました。
    記事は2019年11月10日時点の内容です。

    ScanSnap_iX1600

    ScanSnap iX1600

    毎分40枚・80面の両面高速読み取りを実現し、簡単操作のタッチパネルを搭載。Wi-Fiの5GHzに対応し、原稿サイズ、色や両面・片面を自動的に判別。 驚くほど簡単、スピーディーに電子化します。
    ※ 記事中の「ScanSnap iX1500」の後継モデルです。

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