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カレー沢薫のなりゆきデジタル化ぐらし〜Vol. 11〜

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目次

    フリーランスが会社員より社会的に冷遇されている点は5億個ぐらいあるのだが、その内の一つとして「健康診断」が自費というのがある。

    費用は検診内容にもよるが、一番スタンダードなものでも1万円は覚悟する必要がある、これが会社員なら多くの場合福利厚生でタダだろう、会社員だが全て実費だと言う人は転職を考えるか、自分が本当に正社員なのかを再度確認してみてほしい。

    フリーランスになっただけで、人様に俺の体から出た様々なものを検査していただくという実質迷惑料が自腹になるのは遺憾だが、この際費用のことはいい。

    それよりも問題なのが、フリーランスの健康診断は完全に「自主性」に任せられているという点だ。

     

    私がかつていた会社の健康診断はほぼ年一で行われ「期限内に所定の病院に行って受けてこい」という半自主性だったため、なかなか行こうとしない精神がフリーランス寄りの奴も結構いたのだが、その内総務から「もう貴様で最後だ」という、健康診断の話なのか、それとも命のことなのか判別しかねる圧がかかり、「321」という謎のカウントダウンも始まるため、最終的に全員受け終わるのだ。

    しかし、フリーランスはタダで排出物を見てくれる人もいなければ、ケツを叩いてくれる人もいない、そもそも健康診断の申し込みの段階から自分でやらなければいけないのだ。

    よって、フリーランスになって以来、一度も健康診断を受けたことがないという無頼派が割と存在する。

    そういうブライアンにとって、病気になってもないのに病院に行き検査するなど、風呂屋の道中で全裸になっているレベルのフライングであり、むしろ変態行為ですらある。

    ブライアンが病院に行くのは病気になってから。それも血を見てからだ。

     

    今はそうでもないが、かつて漫画家は健康を害しやすく短命と言われていたのも、単純に漫画が激務なだけでなく、健康診断の義務がない上に激務で何年も検診せず、病気が発覚した時にはもはや「321」の段階だったというケースが多かったせいもあるかもしれないし、今でも病院への行き渋りで寿命を縮める人は少なくない。

    むしろ、無頼派が多く手続き関係が苦手なフリーランスこそ強制的に健康診断を受けさせるシステムにした方が良いと思うが、そうなると機動隊の出動が不可欠となり、さすがに税金がかかりすぎる。

    私自身は、この業界では無頼派を気取った小心者なため、毎年マメに受けたりはしないが、23年に1度、思い出したように受けたりしており、ちょうどしばらく受けてなかったので、年末ギリギリにくる迷惑客として受けてくる予定だ。

    私は幸い健康で元気な方なのだが、何故か私を知る人にはあまり元気だと思われていない。

    確かに私は前の健康診断で問診の人に「大丈夫ですか?」と、初手でプリミティブでフィジカルな質問をされるぐらい見た目に元気がないし、あそこでNOと答えていたらすぐさま担架に乗せられていただろう。

    しかし見た目や所作が「元気で明るい」のと肉体的に「元気で健康」なのは全く別であり、さらに健康と体力もまた別ベクトルなのだ。

    私は肉体的には数十年大きな病気をしたことがないし、風邪すらそんなに引かないので、間違いなく健康で元気な方なのだ。

    だが、性格的には暗く声がモスキート音以下なので元気な雰囲気が全く出ないのだ。

    また、すぐに座り込んでしまうが、これはどれだけ車体に不具合がなくてもガス欠の車が走らないのと同じで、体はどこも悪くないがただ体力がなくなって動かなくなっただけである。

    とにかくこれと言った持病がないため、現在歯医者以外定期通院はしておらず、どこか不具合が出た時だけスポットで病院に行くこともあるが、それも年一程度である。

    これはとてもいいことなのだが、それゆえに病院に行くたびにもらい、次行く時には紛失しているものがある。

    それが「おくすり手帳」であり、今回スキャンする題材である。

     

    おくすり手帳は今やアプリもあるし、わざわざ紙を使う必要ないし、ましてスキャンなど、と思うかもしれないが、まずおくすり手帳使用者のトップシェアはいつの時代も「老」なので、まだまだアプリより紙が強い世界なのだ。

    また、おくすり手帳は自分が見られればいいというものではない、自分が何らかの原因に意識不明となった状態で家族や医療従事者が必要とする場合もある。

    エンディングノートの主流が未だに紙であるように、いざという時の情報というのは意外と紙が一番発見しやすかったりするのだ。どれだけ綿密に終活データを作っても、データのありかを家族が知らなければ無意味であり、そもそも本人のパソコンのパスワードがわからないというケースもある。

    おくすり手帳も有事に備えるなら、紙で持ち、さらにスキャンデータを家族共有フォルダに入れておくなどした方がいいだろう。

     

    おくすり手帳は銀行通帳ぐらいの厚さの手帳なので通帳同様、ScanSnap iX1300で手差しスキャンすればOKだ。

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    一か月足らずで2ページ分くすりを貰うかおりのことが心配だ

    おくすり履歴など少ないに越したことはないが、連続スキャンにより、数ページ、または一冊を一つのデータとして保存することも可能だ。

    奇しくも今回おくすり手帳のサンプルになってくれたのは、銀行通帳サンプルを提供してくれた「田中かおり」さんである。

    銀行通帳の時は残高一千万越えに惨敗したが、果たして病歴はどうであろうか。

    手帳によると田中かおりさんは一か月で「9種類」の薬や目薬、貼り薬を処方されており、とにかく気管支がヤバいようである。

    田中さんは高収入だが、その分かなり健康を犠牲にしている気がする、金も大事だがかおりには自分の体も大事にしてもらいたい。

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    ScanSnap_iX1300

    ScanSnap iX1300

    毎分30枚(A4カラー/300dpi)の高速読み取りが可能な「Uターンスキャン」と、一般的な紙からA3までの大きな書類、厚手の原稿等の読み取りも可能な「リターンスキャン」2つの読み取り方法を備え、仕事環境や家庭に発生する多様な書類をすばやく電子化します。

    この記事を書いた人

    漫画家・コラムニスト カレー沢薫

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    元気な漫画家、まだまだ成長中。文章をかきます。

    karezawakaoru

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