紙の山が「対話できる知恵」に変わるまで――僧侶×エンジニアの私がたどり着いたScanSnapとAcrobat AIアシスタントの使い方

ご挨拶
はじめまして。小路竜嗣(こうじ りゅうじ)と申します。
長野県塩尻市の浄土宗善立寺の副住職を務めるかたわら、合同会社DX4TEMPLES代表として寺院のデジタル化を支援し、大正大学地域総合研究所の客員研究員として現代社会における寺院運営について研究しています。
少し変わった経歴で、もとはリコーで高速プロダクションプリンターの機構設計エンジニアをしていました。紙と機械に囲まれていたエンジニアが、いまは僧侶として、やはり紙と向き合っている。不思議なものです。
2016年からScanSnapプレミアムアンバサダーも務めています。今日は、私が日々の寺務と研究で使っている、ScanSnapとAcrobat AIアシスタントについて、5つの実例でお話しします。
目次
私がScanSnapを手放せない理由
具体例に入る前に、長年使い続けてきた立場から、気に入っているポイントを正直にお伝えします。
とにかく手軽です。電源を入れて紙をセットしてスキャンボタンを押すだけ。
エンジニア時代に複雑な機械を散々見てきた私からすると、この「考えなくていい」設計は本当によくできています。
ハガキサイズでも安定して給紙され、スキャン後のデータがGoogleドライブなどのクラウドストレージに自動保存される(※1)ので、取り込んだら終わり。
この信頼性があるからこそ、次にお話しする使い方が成り立っています。
※1 ScanSnap Cloudを利用することで可能です。

寺務室のScanSnap iX2500
事例1:15年分の寺報が「対話できるナレッジ」になった
私はAdobe InDesignで15年間、お寺の会報誌(寺報)を自作・発行し続けてきました。
これまでは「発行して終わり」。過去号はPDFデータとして眠っていました。

寺報『香蓮』のPDF
これをAcrobatの「PDFスペース」(最大100個のPDFファイルをまとめて管理し、AIアシスタントに対して横断的に質問できる機能)に、15年分まるごと投入しました。
するとAcrobat AIアシスタントに、
「過去に〇〇というテーマで書いた記事はどれ?」
「これまでの傾向から、次号の切り口を提案して」
と相談できるようになりました。
Acrobat AIアシスタントは、PDFなどのドキュメントを読み込み、その内容について自然な言葉で質問できる生成AI機能です。
眠っていた15年分の情報が、対話できる知識の蓄積に変わったのです。

PDFスペースでAIアシスタントに寺報の次の企画を考えてもらう
事例2:お盆の棚経ハガキ300枚を、外出先でも確認できるように
私のお寺では、お盆に檀家さんのお宅を一軒ずつ回ってお経をあげる「棚経(たなぎょう)」という行事があります。
毎年、約300枚の返信ハガキが届きます。
内容は「8月13日午前にお願いします」「今年は不要です」といった具合です。

棚経ハガキ
以前は紙のまま管理していました。
すると住職(父)と副住職(私)の間で「あの家は今年行くんだっけ?」という情報の齟齬が起きるのです。
そこでScanSnapで全部PDF化しました。これでiPadやスマホからいつでもどこでも確認できます。
外出先で檀家さんから「予定変わった?」と電話が来ても、その場で即答できる。
今年はさらに一歩進めます。
このPDFをAcrobat AIアシスタントに読み込ませて(※2)、
「〇〇地区でお経を希望している檀家さんは何軒ありますか? 効率的な訪問順をリストアップしてください」
と、普通の言葉で相談するつもりです。
※2 Adobe Acrobatの生成AI機能をご利用の際、入力した文書やプロンプトがAIの学習に使用されることはありません。(ご参考)https://helpx.adobe.com/jp/acrobat/desktop/use-acrobat-ai/understand-usage-policies/content-usage-handling.html
その他のAIサービスをご利用で個人情報・機密情報を扱う際には、社内規程や契約上の守秘義務、AIサービスの利用条件を確認することをおすすめします。
事例3:契約書の「不利な条項」をAIに一次チェックさせる
寺院の役員として、ひとり法人の経営者として契約書を読む場面は多々あります。
先日、取引先から届いた契約書PDFをAcrobat AIアシスタントで開き、こう聞きました。
「乙(私)に不利な条項はありますか?」
すると第3条、第5条、第7条......と、該当箇所を引用付きで指摘してくれました。
しかもクリックすると本文の該当ページに一発でジャンプします。
法務の一次スクリーニングを、私一人で進められるわけです。
ここで大事なのは、機密性の高い契約書をアップロードしてもAIの学習に使われないこと。しかもAcrobatの中だけで完結します。
別のAIサービスに機密文書をわざわざ預ける必要がありません。
事例4:雑誌『浄土』全1000号を後世へつなぐ
寺報は15年でしたが、私が編集に関わっている法然上人鑽仰会(ほうねんしょうにんさんごうかい)が発行する雑誌『浄土』は、1935年(昭和10年)に創刊し、今年で創刊91年を迎える日本最古クラスのいわゆる同人雑誌です。1937年には与謝野晶子氏も寄稿していました。

同人雑誌『浄土』1936年1月号_与謝野晶子寄稿

同人雑誌『浄土』のPDF
この91年分、全1000号を、ScanSnap SV600でPDF/A化し、デジタルアーカイブとして無償公開しました。
SV600は上から非接触でスキャンする非破壊スキャナなので、貴重な原本を傷めません。
正直に言って、ScanSnapがなければ到底実現できなかった作業量です。
91年分の歴史を後世へつなぐ仕事に、機械の力を借りられたことに感謝しています。
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事例5:研究の「ファクトチェック地獄」から解放された
大正大学地域総合研究所では「情報社会における寺院コミュニティ」を、浄土宗総合研究所では「寺院の未来」をテーマに研究しています。どちらも大量の論文を読み込む作業が欠かせません。
ここでAcrobat AIアシスタントの真価を痛感しました。
論文の多くは日本語ですが、英語のものもあります。英語論文はAIが翻訳して表示してくれるので非常に助かっています。
そして自分の論文を書く際、新規性や既存研究との差分を検討するのに、複数の論文PDFをPDFスペースに入れて横断的に分析しました。
決定的なのは、回答の横に引用ソースが表示され、クリックすると該当PDFの正確なページ・段落に即ジャンプすることです。
従来のAI(ChatGPTなど)では、「それ、どこに書いてあったの?」を自分で探す手間が膨大でした。ファクトチェックに時間を取られ、肝心の研究が進まない。
Acrobat AIアシスタントは引用元が明確なのでハルシネーションの心配がなく、研究そのものに集中できました。

PDFスペースで論文のチェックを行う
検討している方へ
エンジニアから僧侶へ。畑は変わりましたが、私の関心はずっと「目の前の紙の山を、どう活かすか」でした。
ScanSnapは、その紙を手軽にデジタルへ変える入口です。
そしてAcrobat AIアシスタントは、デジタル化した資産を「対話できる知恵」に変える出口です。
特に法務や研究のように、正確性と機密性の両方がシビアに求められる実務では、引用元へワンクリックで飛べること、機密情報がAI学習に使われないこと――この2点が効いてきます。
厳密な判断が必要な現場ほど、この組み合わせは頼りになります。
今後、AIは「わざわざ別のサービスにアップロードして使うもの」から、「各アプリケーションの中に組み込まれているもの」へと変わっていくでしょう。
PDFを開いたその場で、アプリを離れずに質問できる。Acrobat AIアシスタントは、まさにその流れの中にあるプロダクトです。
もしお手元に「いつか整理しよう」と眠っている紙の束があるなら、まずはScanSnapで取り込んでみてください。そしてAIアシスタントに話しかけてみてください。
紙の山が、答えてくれる存在に変わる瞬間を体験できるはずです。
合掌

ScanSnap iX2500
| 毎分45枚の両面高速スキャンで、驚くほどスピーディーに電子化。静電容量式タッチパネルによる直感操作で、誰でも簡単にスマートに使えます。原稿サイズ、色や両面・片面を自動的に判別。Wi-Fi対応で各種クラウドサービスへのデータ転送も簡単に行えます。 |
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この記事を書いた人

浄土宗僧侶・善立寺副住職。大学で機械工学を専攻後、リコーに機械系エンジニアとして就職。結婚を機に出家し、2013年に浄土宗僧侶となる。2016年から寺院のIT化推進活動を開始し、現在は「寺院ITアドバイザー」「寺院デジタル化エバンジェリスト」として活躍。SNS活用や紙のデジタル化など寺院の実務DXを支援している。
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