個人事業主に会計ソフトは必要?初心者が選ぶ際の比較ポイントを解説
個人事業主として、経理や会計の管理は避けて通れないもの。しかし、本業で多忙な中、経理の作業に時間や手間を取られてしまい、もっと簡単にできないかと感じている方もいるはずです。
また近年では、手書きではなくデジタル技術を活用して効率的に記帳することも可能になりましたが、会計ソフトをどのように比較して選べばよいのか判断が難しいという方もいるでしょう。
この記事では、そんな個人事業主の疑問や悩みを解決するために、会計ソフトの選び方のポイント、おすすめのソフトまでを詳しく解説していきます。デジタル時代の会計管理をスムーズに進めるための第一歩として、ぜひ参考にしてください。
目次
1. 会計ソフトを使うメリット
会計ソフトの導入は、個人事業主にとって数多くのメリットがあります。中でも特に、会計初心者にとっての使いやすさと、法改正への迅速な対応が大きな強みです。
それぞれ詳しく解説していきます。
会計初心者にも使いやすい
会計というと、独特な言葉や複雑な計算が必要となるため、経理作業に慣れていない場合は手を出しにくいと感じることも多いでしょう。しかし、会計ソフトはそうしたハードルを下げてくれます。
会計ソフトは、初心者にもわかりやすいデザインとシンプルな操作方法が特徴で、初めての方でも直感的に操作できます。また、多くのソフトにはチュートリアルやヘルプ機能が充実しているため、迷ったときにはすぐに解決策を見つけることも可能です。
さらに、経理作業に慣れていない方でも安心して使えるのは、売り上げや経費の自動計算機能や、テンプレートが用意されているからです。複雑な計算を手動で行う必要がないため、計算を間違えるリスクも大幅に減少しています。
このように、会計ソフトは開業したばかりの個人事業主のような初心者のために多くの機能やサポートを提供してくれているため、帳簿管理の不安や負担を大幅に軽減できます。
法改正に対応してくれる
会計に関する法律やルールは、経済環境や政策の変更に伴って変わる場合があります。法制度の専門家や最新情報に対応できる専任の従業員が職場にいれば別ですが、そうでない場合、特に個人事業主や小規模企業では、変更点に気づかないまま、誤った方法で帳簿を管理してしまうリスクも考えられます。
多くの会計ソフトは、法改正や新しいルールが施行された際に、自動でその変更を反映させるアップデートや定期的な情報提供を行っているため、個人事業主でも新しい法律やルールについて一から勉強することなく、正確な会計処理を続けられるというメリットがあります。
2. 個人事業主が会計ソフトを選ぶ際の比較ポイント
ここでは、会計ソフトを選ぶ際の重要なポイントを詳しく解説します。
会計ソフトの選び方は、事業の規模や運営スタイル、希望する機能によって大きく異なります。個人事業主にとって、最適なソフトを選ぶためのポイントを知っておくことが重要です。
インストール型とクラウド型
会計ソフトを選ぶ際の最初の分岐点として、「インストール型」と「クラウド型」の選択が挙げられます。
それぞれ以下のような特徴があります。
インストール型の主な特徴
- ソフトのインストールが必要
- データの保管場所を指定可能(ローカル環境など)
- オフライン環境で利用可能
クラウド型の主な特徴
- ソフトのインストールが不要
- データをクラウド上に保存
- インターネット環境があればどこからでも利用可能
どちらが適しているかは、利用シーンや好みによって異なるため、事業のスタイルやニーズに合わせて選ぶことが重要です。
ただし、個人事業主の場合は、外出先からでも領収書の処理ができるのと、手動でアップデートをかける必要がないためクラウド型の方がメリットは大きいと考えられます。
スマホ対応
会計ソフトがスマートフォン対応かどうかも重要な比較ポイントです。
スマホに対応していれば、外出先や移動中でも帳簿の入力やレシートのスキャン作業などを手軽に行えます。
また、必要な情報やデータをインターネット接続のみでリアルタイムに確認できるため、ビジネスの柔軟性と効率を高めることにもつながるでしょう。
ただし、すべてのソフトが高機能なスマホアプリを提供しているわけではないため、事前にどのような機能が付属しているのかを確認しておくことが大切です。
普段からパソコンでの作業が少なくスマホでの業務が中心という個人事業主は、作業効率や利便性にも大きく影響するため、必ず比較すべきポイントだと言えます。
連携できる金融機関やクレジットカード
会計ソフトには、お使いの金融機関やクレジットカードと連携して仕訳を効率的に進められる機能があります。
特に個人事業主の場合、取引の記録や経費の精算を手動で行う手間が省けるのは大きなメリットとなります。そのため、会計ソフトを選ぶ際は、普段から業務に利用している銀行やカード会社が連携できるかどうかを確認しておきましょう。
連携機能があれば、自動で取引データをインポートできることはもちろん、経費や売り上げの確認もリアルタイムでできるため、経営状況も把握しやすくなります。
サポート体制
会計ソフトを導入する際、サポート体制の充実度を確認しておくことも重要なポイントです。
特に初めて確定申告を行う方や経理に不慣れな個人事業主にとって、困ったときに丁寧に対応してもらえるサポート体制は安心材料となるでしょう。
サポートの品質や対応時間はもちろん、利用者の声や「よくある質問」の充実度などをチェックすることで、サポートの手厚さを判断できます。
また、定期的な研修やセミナー、オンラインでのチュートリアルなど、教育コンテンツが充実していることも重要です。高機能な会計ソフトを導入しても、使いこなせないという失敗を防ぐためにもご自身の知識レベルと照らし合わせながらサポート体制を確認しておきましょう。
帳簿管理以外の機能
会計ソフトは、帳簿管理の効率化だけではなく、他にも多くの追加機能があります。
その中でも個人事業主に役立つのが、請求書の発行や管理機能です。一つのソフト内で請求書の作成から送付、入金確認までを一元管理できるため、入金遅れや確認ミスを防ぎ業務の効率化につながります。
また、会計ソフトによっては見積書の作成や在庫管理、顧客データの管理など、ビジネスをスムーズに進めるための管理機能が揃っている場合もあります。
業種や業務内容に合わせて、必要な機能が備わっているソフトを選択できれば、事業の幅を広げることができ、日常の業務の質を向上させられるでしょう。
3. 個人事業主におすすめの会計ソフト3選
個人事業主に特化した会計ソフトの中でも特に評価が高く、利用者からの信頼も厚いクラウド型ソフトを3つ厳選しました。
クラウド型なら、法令が変わっても手動でのアップデートが不要で、対応もれを防止できます。
また、外出先でも領収書をすぐに処理できることも個人事業主におすすめの理由です。
以下の比較表で、それぞれのソフトの主要機能や特徴を確認してみましょう。
名称 | こんな人におすすめ | スマホアプリ 対応OS |
連携可能な口座 | サポート体制 ※プランによってサポート範囲は異なる |
---|---|---|---|---|
freee会計 | 会計管理・確定申告をなるべく簡単に行いたい人 | Android/iOS | 同期対応している口座の一覧を参照 |
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マネーフォワード クラウド確定申告 | 会計業務だけでなく、給与計算や勤怠管理など様々なバックオフィス業務を効率化したい人 | 連携サービス一覧を参照 |
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やよいの青色申告 オンライン | 手厚いサポートを受けながら会計管理・確定申告を進めたい人 | 対応金融機関一覧を参照 |
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上記、3つのソフトは機能や導入形態などで比較するだけでは、違いを見極めることは難しいと感じるかもしれません。
そのため、それぞれが設けている無料体験期間を活用して、まずは無料で使いながらご自身に合うものを見つけるという方法もおすすめです。
以下では、それぞれの会計ソフトの特徴を詳しく解説していきます。
freee会計
freee会計は、クラウド型で手軽に始められることから、特に初心者の個人事業主に選ばれることが多い会計ソフトです。特徴として、管理画面の使いやすさやスマホアプリでのレシートスキャン機能が充実している点が特徴となっています。見やすいダッシュボードや複数のグラフ機能も搭載しており、自社の財務状況を一目で確認できます。
また、銀行口座やクレジットカードとの連携が簡単にでき、入出金のデータを自動で取り込むことが可能です。これにより、手動での入力作業を大幅に減らせます。
マネーフォワード クラウド確定申告
マネーフォワード クラウド確定申告は、日頃の会計管理をしっかり行いながら確定申告をスムーズに進めるための会計ソフトです。多くの金融機関と連携できるため、収支のデータを自動で取り込めます。
また、必要な書類や情報を入力するだけで確定申告書の作成ができるほか、仕訳の勘定科目を自動で提案、学習してくれる機能もあります。また、給与計算などのバックオフィスの効率化をサポートする機能があるため、従業員の管理が必要な個人事業主にもおすすめです。
複雑な帳簿管理もこのソフトを利用することでシンプルになり、初心者でも安心して取り組むことができるでしょう。
やよいの青色申告 オンライン
やよいの青色申告 オンラインは、長年の実績を持つ「やよいの」シリーズのクラウド版として提供されている会計ソフトです。最大の特徴は、青色申告に特化した豊富なサポート体制と使いやすさです。操作ガイドやヘルプはもちろん、メール・チャット・電話・画面共有・仕分け相談など、カスタマーセンターが手厚くサポートしてくれるため、初めての青色申告や会計の知識がない方でも安心して利用できます。
多様な業種や業態に合わせたテンプレートも用意されているので、ご自身のビジネススタイルに合った帳簿や決算書を簡単に作成できます。
また、白色申告者向けの「やよいの白色申告 オンライン」もあります。
4. 会計ソフトとスキャナーを連携させるメリットと実際の流れ
会計ソフトだけでも帳簿管理や確定申告は行えますが、さらに管理を簡単に行うためには、スキャナーと連携して使うことがおすすめです。
ここでは、個人事業主である筆者が普段から使っている会計ソフト「freee会計」のスマホアプリとスキャナー「ScanSnap iX1600」を連携したおすすめの時短テクニックをご紹介します。
実際のスマホアプリとスキャナーを使った手順をお伝えしながら、どのようなメリットがあるのかも紹介していきます。
会計ソフトとスキャナーを連携してレシートを読み込む手順
- 会計ソフトに取り込みたい紙のレシート・領収書を用意します。
- スキャナーにセットします。
- freeeのアプリの取引画面から「ファイルボックス」を選択します。
- 右上の「+」→「ScanSnapから読み込む」をタップし、レシートまたは領収書をスキャンします。
- 「保存」をタップしてスキャンした画像を保存します。
- 「未登録」から登録したいレシート・領収書を選択し、そのまま「ファイルから取引を登録」をタップすると、OCR機能でスキャンした画像から金額や勘定科目を自動で抽出してくれます。
- 修正点があれば手入力で修正し、「登録」をタップします。
これで、手元にあった書類(レシート)を簡単に取引データとして登録できました。
実は、freeeはスマホのカメラを使ってレシートを取引登録できる機能が備わっています。
しかし、実際に使ってみると撮影した画像が手ブレで認識されていない場合や、連続撮影するとスマホ画面が固まってしまうことがありました。
その点、スキャナーを使うと鮮明でスムーズに読み取れるだけでなく、溜まったレシートを連続スキャンで一気にデータ化できてしまいます!
ScanSnapシリーズのスキャナーなら、本記事でご紹介したどの会計ソフトとも連携できます。
気になる方は、以下をチェックしてみてください。
ScanSnap iX1600
56,100円(税込)
アイコンを選び「Scan」ボタンをタッチするだけで、指定した保存先にPCレスでデータを格納できる、タッチパネル搭載のモデルです。クラウドサービスやネットワークHDD(NAS)との連携も可能で、レシート、名刺、紙の資料、本など、スキャナーをフルに活用して情報の整理・活用を進めたい方におすすめです。
ScanSnap iX1300
37,400円(税込)
スキャンした紙がスキャナー上部に排紙される「Uターンスキャン」で、排紙スペースの確保が不要に。1分間に30枚というスキャンスピードを確保しながらも、コンパクトで生活空間になじみやすいデザインが魅力です。
5. 会計ソフトを使って帳簿管理をスムーズに!
会計ソフトを使用することは、特に初心者の個人事業主にとって、数多くのメリットがあります。会計ソフトなら日々の帳簿管理の効率化はもちろん、法改正にも自動的に対応してくれるため、安心して日々の業務や帳簿管理を進められます。
管理しなければならない領収書が多くお困りの方や、ついついレシートを溜め込んでしまう方は、スキャナー「ScanSnap」の併用もおすすめです。ご紹介した連携機能も活用して仕事の生産性を高めましょう。
ScanSnap iX1600
毎分40枚・80面の両面高速読み取りを実現し、簡単操作のタッチパネルを搭載。Wi-Fiの5GHzに対応し、原稿サイズ、色や両面・片面を自動的に判別。 驚くほど簡単、スピーディーに電子化します。 |
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ScanSnap iX1300
毎分30枚(A4カラー/300dpi)の高速読み取りが可能な「Uターンスキャン」と、一般的な紙からA3までの大きな書類、厚手の原稿等の読み取りも可能な「リターンスキャン」2つの読み取り方法を備え、仕事環境や家庭に発生する多様な書類をすばやく電子化します。 |
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この記事を書いた人
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