ScanSnapと会計ソフト FX4クラウドの連携により「電帳法スキャナ保存制度」にらくらく対応! 課員2名で残業なしの経理業務を遂行中|アールイーメディカル株式会社
眼科向け医療機器の輸入・卸を手がけるアールイーメディカル株式会社では、ScanSnapを導入して会計ソフトのFX4クラウドと連携させることで、請求書や領収書など証憑のデータ化と伝票データへの添付を円滑なフローで実現し、「電帳法スキャナ保存制度」への対応を果たしています。多くの企業が懸案としている電帳法対応の優れたモデルケースとして、大阪府大阪市の同社を訪ね、具体的なお話をうかがいました。
目次
1. コンパクトなScanSnap iX1300で各種証憑を座ったまま手軽にスキャン
――アールイーメディカル株式会社 管理部 経理総務課 課長の福田昇司さんと、同社顧問税理士でTKC全国会の会員でもある福島安信先生にうかがいます。最初にアールイーメディカルの業務内容について教えてください。
福田さん 私どもは海外のメーカーから眼科に特化した医療機器を輸入し、国内に流通させることを生業としています。たとえば緑内障予防に活用される視野計、白内障手術や網膜硝子体手術に使われる装置などの専門的な機器を輸入し、国内の販売代理店を通して全国の眼科医の先生方にお使いいただいています。一般的にはそうした機器の「卸業」に相当しますが、機器のメンテナンスを承ったり、眼科医の先生方のご意見やご要望を製造元に伝えたりと、メーカーに近い立場で事業に携わっています。
――このたびアールイーメディカルでは、ScanSnapを活用して「電子帳簿保存法(以下、電帳法)スキャナ保存制度」への対応を進められたとうかがっています。その目的と経緯をお聞かせください。
福田さん これまで経理に携わる者は紙証憑の7年間保存というルールに縛られ、主に2つの難題に悩まされてきました。すなわち、書類の保存場所を設けなければならないことと、過去の書類の検索に大きな労力がかかることです。一方で電帳法も以前は要件が厳しく、導入が難しい面がありました。そこにようやく電帳法の改正が進んで導入が現実的になったため、インボイス制度も始まるこのタイミングで「電帳法スキャナ保存制度」への対応を進めることにし、2023年3月にScanSnap iX1300を導入して運用を開始しました。
――どのようなきっかけでScanSnapを選択されたのでしょうか。
福田さん 電帳法に取り組みたいことを福島先生にお伝えして相談したところ、先生からScanSnapをご紹介いただきました。そこでScanSnapの公式YouTubeチャンネルで動画を見るなどして性能を確認し、これなら間違いないと判断して導入を決めました。
福島税理士 ScanSnapはTKCの会計ソフト、FX4クラウドの推奨スキャナーであるほか、私自身も長年のScanSnapユーザーで、業務ではScanSnapにいつも助けられています。これほど手軽に高精度でスキャンできる機器はなかなかありませんから、電帳法に関する相談をお受けしたときはScanSnapを紹介しています。
――今回の電帳法対応はScanSnapとFX4クラウドの連携によって進めているのでしょうか。
福田さん そうです。以前は別の会社の会計ソフトを使っていましたが、これを機にFX4クラウドにリプレースし、ScanSnapと連携させて運用しています。
――ScanSnap iX1300を選ばれた理由をお聞かせください。
福田さん ScanSnap iX1300が非常にコンパクトだったことが決め手になりました。スキャナーの設置場所をデスク外に設ける方法もありますが、毎日何度も使うものですから手が届く範囲に置いて、席から一歩も動くことなくスキャンしたいと考えました。上位機種のScanSnap iX1600も十分にコンパクトですが、当面は一度に大量のスキャンを行うことが少ないため、手狭なデスクにもセットしやすいScanSnap iX1300を選びました。狙い通り、現時点では完全に私の専用機として機能しています。
福田さんのデスク。限られたスペースにScanSnap iX1300を置いて使いこなしています。手を伸ばして書類をセットするだけで即、スキャン準備完了です。
――スキャンする対象となるのはどのような証憑でしょうか。また、それらを紙で保存するとどの程度のスペースを取るのでしょう。
福田さん 基本的には地代家賃・光熱費・通信費・営業車両リース料金・運送料金などの固定的な経費や、眼科の学会にブースを出展するときなどに都度発生する経費の請求書と、それに付随する各種の証憑です。それらはA4サイズの紙であることが多く、3か月で段ボール1箱がいっぱいになります。この本社内には保管スペースがないので、近くのビルに一室を借りて書類が詰まった段ボール箱を置き、年ごとに箱を移動させて7年を経過したものは廃棄する作業を繰り返してきました。何かの折に昔の書類を探し出すのも相当大変な仕事です。
その紙保存が「電帳法スキャナ保存制度」によってなくなるため、経理書類がこれ以上増えることはありませんから、現在溜まっている7年分を順次廃棄していくことでスペースを有効に使えるようになります。過去の書類を見たいときもデータを検索するだけと、従来とは比較にならないほど楽になります。
福島税理士 福田課長がFX4クラウドを導入してくださったので、私は添付された証憑のイメージデータを自分の事務所にいてもリアルタイムで確認できるようになりました。特に今はインボイス制度がスタートしたばかりですから、証憑にインボイスの登録番号が記載されているかどうかのチェックも重要です。そうしたときに証憑のイメージデータが添付されていると一目瞭然ですから、スキャンという手法がいかに効率的かを改めて実感しています。
過去の証憑の閲覧は、FX4クラウドで仕訳を検索して紐付いたイメージデータを表示するだけ。箱を開けて書類を探し出す作業とは比較にならないほど簡単です。
2. FX4クラウドとの連携により画面上で「仕訳選択→スキャン→データ添付」が可能に
――ScanSnap活用の具体的なフローをうかがいます。経理に回ってきた紙の請求書をScanSnap iX1300ですべてスキャンするのですね。
福田さん 請求書と、それに付随する領収書や注文書など、紙で来た証憑のほとんどを私がスキャンしてデータ化します。もちろん電子取引も一部存在しますので、その場合はメールなどで届いた証憑データをそのまま保存することになります。
――紙と電子の比率は、現時点でどの程度でしょうか。
福田さん 9対1で紙です。今なお証憑のほとんどが紙のままですね。ゆくゆくは電子取引も増えていくとは思いますが、当分の間は紙の請求書をScanSnapでデータ化することになるでしょう。
――請求書は福田さんのお手元に届いたら随時スキャンするのでしょうか。
福田さん 大きく分けてパターンが2つあります。光熱費のように自動引き落としの固定的経費の場合、「検針結果に基づいて何月何日にこの金額が引き落とされます」といった案内など、証憑になり得るものが届いたら紙のままプールしておきます。固定・携帯それぞれの電話代、インターネットの通信料なども同様です。その上で後日、決められた日に料金が引き落とされたことを確認したら、経費計上のためにFX4クラウドで伝票を起こし、それと同時にプールしておいた証憑をスキャンして、イメージデータを伝票データに添付します。
一方、支払が都度発生する経費に関しては、支払日まで請求書をプールしておくと大量に溜まってしまうので、手元に届いたらすぐにスキャンします。たとえば学会でブースを設営した費用の場合、担当部署であるマーケティング部門に届いた請求書は、担当者のチェックと部門長の押印を経て経理に回ってきます。我々は受け取った請求書が毎月2回設けている支払日のどちらに該当するのかを確認し、伝票を起こして証憑のスキャンとデータの添付までを済ませます。この伝票は未払費用や買掛金といった勘定項目にいったん落としておき、支払が終わったら勘定項目を移します。
――一日に何件の証憑をスキャンするのでしょう。
福田さん 都度支払と自動引き落としを合わせて、毎日そこそこの件数の証憑が手元にやって来ます。多いときで一日に20~30件、少ないときでも数件はありますから、ほぼ毎日、ScanSnapで何かしらスキャンしています。
――スキャンしたイメージデータをFX4クラウドの伝票データに添付する作業は自動化しているのでしょうか。
福田さん 今のところ私が確認しながら手動で添付しています。ただ、TKCのソフトウェアにはスキャンしたデータを読み込んで自動で仕訳を切ってくれる機能もあるので、遠からず取り組んで実現させる予定です。
――現時点でも、スキャン時にScanSnap本体のスキャンボタンを押すのではなく、FX4クラウドの画面上にあるボタンをクリックしてスキャンするなど、機能を連携させておられますね。
福田さん FX4クラウドは推奨スキャナーのScanSnapとの高度な連携が可能なので、そのように設定して活用しています。手順としては、まず仕訳データの中から証憑データを添付したいものを選択し、添付の方法としてスキャンを選びます。次に証憑の種別や、片面・両面の別などを指定し、画面上のスキャンボタンを押すとScanSnapが証憑をスキャンします。仕訳からスタートしてScanSnapの起動までがスムーズに流れる連携は素晴らしいと思います。なお、この連携では自動的に電帳法対応の「e-文書モード」でのスキャンになります。
3. ScanSnap導入は電帳法対応だけに留まらず、全社的なDX推進のきっかけになる
――ScanSnapに対する評価をお聞かせください。
福田さん 最初に驚いたのはスキャンのスピードですよね。「えっ、こんなに速いの?」という感じでした。
福島税理士 想像より速くてびっくりしますよね(笑)。
――生成されるPDFファイルのクオリティはいかがでしょう。
福田さん 非常に鮮やかで素晴らしいと思います。書類を多少斜めにセットしても歪みのない真っ直ぐな画像にしてくれますし。あれはいったいどういう仕組みで実現させているのだろうと思いますね。
それに、スキャンした書類に記されている日付や標題を読み取って、自動でファイル名にしてくれる機能もよいですね。スキャンした日付ではなく書類の内容から文字を選んでくれるのがとてもありがたいと感じています。
――両面と片面の別については、FX4クラウド上でスキャンの設定をするときに指定しているのですね。
福田さん そうです。ScanSnapは裏面が白い書類を両面モードで読んでも白紙ページを自動で削除してくれますから、常時両面モードでもいけるかもしれませんが、裏面に不要な情報が印刷されている書類もあるので、その都度指定しています。
――紙詰まりなどのトラブルはありましたか。
福田さん 今のところないですね。書類を奥までしっかり差し込まなかったときに紙が送られないことがたまにありますが、セットし直せばスキャンできるので問題になりません。最初に紙をセットするときも、ふたを開けるだけで電源が入り、原稿台が自動で伸び上がってくれるのでとても楽です。
――ScanSnap導入以前にスキャナーをお使いになったことはありますか。
福田さん スキャナー機能のある複合機だけです。当時は歩いて複合機のところまで行き、書類をセットして指定後にボタンを押してスキャンしたら、書類を持って自席に戻ってからスキャン結果を確認する、という使い方でした。ScanSnapにしてからは、書類のセットからスキャン結果確認まで、席に座ったままで全部できます。本当に便利になりました。
さらには、ScanSnap導入によって私の中でスキャナーのイメージが変わり、「こんなに便利なら電帳法対応以外にも応用的な使い方ができるのではないか」という考えも出てきました。今後は社内帳票類をスキャンすることでも業務の効率化を図っていきたいと考えています。
――たとえばどのような帳票が考えられますか。
福田さん お客様の情報を登録しておく顧客管理台帳はその一例です。これは営業担当が定型のフォーマットにお客様の情報を記入するもので、その情報自体は我々が販売管理ソフトに入力してマスターにしますが、承認の経緯などが残っている紙の帳票を無下に廃棄するわけにもいきません。これが10年分以上、厚めのバインダー3冊ほど溜まっているので、ScanSnapによる応用スキャンの第一歩にしようと考えています。
福田さん また、当社が扱っている商品は医療機器ですから、トレーサビリティ確保のために薬事管理上のルールによって各種書類の保管が義務づけられており、その中には15年保存の帳票もあります。冒頭にお話しした書類保管のために借りている部屋には、それらの帳票が経理書類以上にたくさん置かれています。これが将来的に電子保存できるようになれば、ScanSnapがいっそう活躍するでしょう。
これらに加えて、海外のメーカーから機器を輸入したときに同梱されてくる紙の納品書が存在します。今後、これら物流関連の書類もScanSnapのスキャン対象になることが十分に考えられます。
――ScanSnap導入がDX促進のカギになり得るのですね。
福田さん はい。これに関連して、最近新たにScanSnap iX1600を導入し、一般書類のスキャンや名刺の管理などを始めています。スタッフによるとScanSnap iX1600の使い心地は上々のようです。これから応用的な機能をどんどん活かしていきたいと考えています。
福島税理士 私の立場から一つ補足します。アールイーメディカル様では数年前に経理の人員が3人から2人になりました。そのとき福田課長は人を補充するのではなく、デジタル化によって業務の効率を上げることで仕事が回るようにされました。そのこと自体も電帳法対応を含めたDXの成果のように思います。
福田さん この2~3年は何かあるごとに「何とかしたいのですが、どうすればよいでしょうか」と福島先生に相談を持ちかけてアドバイスをいただき、FX4クラウドやScanSnapも導入して今の体制になりました。まだ途中ではありますが、課員2名で残業することもなく日々の業務をこなすことができています。
もともと当社には先進的なものを取り入れる環境があり、私自身も忙しさに波のある経理の仕事をできるだけ平準化するためにどうすればよいかを考えてきました。その点で「電帳法スキャナ保存制度」は経理関係者にとって僥倖だと思います。これを全社的なDX推進の、よい機会にしたいと思っています。
――ScanSnapが業務効率化の一助となれて幸いです。本日は詳しくお聞かせくださり、ありがとうございました。
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この記事を書いた人
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