本が凶器に?地震で本棚が倒壊|家族を守るために今すぐできる"本棚の地震対策"と、"本を減らす"という選択

2024年1月1日に発生した能登半島地震の際、金沢にある我が家の本棚は倒壊しました。寝室にあった本棚はベッドに覆いかぶさるように倒れ、数百冊の本が散乱しました。幸い家族は全員リビングにいて無事でしたが、これが夜中だったらどうなっていたでしょう?当時、生後半年の息子が寝ていたら?
地震の際に「本棚」は想像以上に危険な存在になります。本棚そのものの転倒によるけがだけではなく、収納した本が落下して凶器になる可能性、また、通路を封鎖して避難できなくなる可能性も潜んでいます。
この記事では、地震で本棚が危険になる理由とその対策についてまとめています。また、筆者が本棚の倒壊という経験から行き着いた"本質的対策"――本という情報資産を守りながら安全を高めるための「もうひとつの選択」についても説明します。
目次
地震で本棚が倒れた!|本棚はどれくらい危険なの?

家具の中でも本棚は、地震の際に危険性が高いもののひとつです。地震が発生した際、本棚には主に3つの危険があります。
本棚の転倒によるけが
東京消防庁の「家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック(※1)」によると、地震によるけがの原因の約30~50%が家具類の転倒・落下・移動によるものとされています。
多くの本が収納された本棚は重く、なおかつ重心が高く、地震による揺れの影響を受けやすい状態にあります。そのため、地震時には転倒する可能性が高くなります。重い本棚が転倒すれば、大きなけがにつながったり、最悪の場合は命を落としたりする危険性があります。
※1:家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック(東京消防庁)
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/learning/elib/kagutenhandbook.html
本の落下によるけが
2つ目の危険は、本棚に収納されている本の落下です。前述のとおり、本棚は地震による揺れの影響を受けやすい構造をしています。特に本棚の高い位置にあるものは揺れによって、大きな力を受けやすくなります。つまり、本棚の上の方にある本ほど落下しやすくなるのです。そして、高い位置にあるものの方が、落下のエネルギーは大きくなります。
本一冊の重さは大したことがないと思うかもしれません。しかし、本棚の上から顔や体に直撃すればけがをするでしょう。さらにそれが数十冊と降ってくれば非常に危険です。
避難通路の封鎖
3つ目の危険は、転倒した本棚や落下した本による避難通路の封鎖です。出入り口付近にある本棚がドアをふさいでしまったり、通路が狭くなったりして避難が難しくなる可能性があります。また、落下した本が足元を不安定にし、避難の障害となることも考えられます。
2024年に能登半島地震が起こったとき、我が家では寝室の本棚が倒れ、数百冊の本が飛び出しベッドを埋めました。家族は全員リビングにいて無事でしたが、ひとつ間違えば家族の命が危なかったと思うとぞっとしました。
今すぐできる本棚の地震対策
地震はいつ起こるかわかりません。どんな対策をしていても想定外のことが起こることもあります。でも、対策をしておけば防げることもあります。大切な家族の命と安全を守るためにも、できることから始めましょう。
本棚の場所の見直し
本棚の地震対策というと本棚の固定と考えがちですが、本棚を置く場所も重要です。まずは、部屋の出入り口や寝室には本棚を置かないようにすることから考えてみましょう。
収納と生活空間をわける
最初に考えるべきなのは、できるだけ生活空間に倒れるような家具を置かないことです。納戸やクローゼットなどに収納を集中させ、リビングや寝室などの普段の生活の場に本棚などの大きな家具を置かないようにすることが大切です。
本棚はドア・ベッド・座る場所の周辺を避ける
そうはいっても、本棚などの家具を全く置かないことは難しいでしょう。次に考えたいのが、倒れた時のリスクを減らすレイアウトです。ベッドなどの寝る場所、ソファーなどの長時間を過ごす場所の周りには本棚を置かないようにしましょう。また、避難の妨げになるドアの付近も避けましょう。
転倒時の位置や向きを想定する

倒れてきても安全なように本棚の向きを変更しましょう
ベッド付近やドア付近に本棚を置かなければならないときは、倒れたときに潰されたり、通路を塞いだりしにくいよう置き方を工夫する必要があります。また、転倒したときに火災が起こらないよう、ストーブなど火の気から離しておくことも重要です。
重いものを下に

重い物を下段に収納することで、重心を低くして倒れにくくしましょう
もうひとつ考えておきたいのは、本棚自体の安定性です。生活空間の近くに置く本棚は背の低いものにしたり、本棚の下段に重い図鑑や全集などを収納して重心を下げたりすることで、転倒のリスクを下げることができますよ。
本棚の転倒防止対策
本棚の転倒防止対策にはいくつかの方法があります。内閣府の「みんなで減災(※2)」では、本棚の固定について「タンスと同じように、壁の中の硬い所や下地材のあるところを探して、金具やワイヤーなどで固定します。また、本棚の端の硬い部分にヒモやベルトなどを取り付けて中の本が飛び出さないようにしておきましょう。」と説明されています。
キャスター付きの本棚などの場合、日常的に動かす家具は、移動時以外必ずキャスターロックをかけておくことが重要です。日常的に動かさない家具は、下皿でキャスターを固定し、突っ張り棒などで転倒を防止しましょう。
ここでは本棚の固定に役立つ対策グッズを5つ紹介します。賃貸住宅で壁に傷をつけたくないという場合でも、突っ張り棒+粘着マットなどいくつかの対策を組み合わせることで、効果を高めることができます。
※2:みんなで減災(減災啓発ツール)(内閣府)
https://www.bousai.go.jp/kyoiku/keigen/gensai/gensai.html
- ポール式(突っ張り棒)
転倒防止で想像しやすいのが突っ張り棒ではないでしょうか。本棚と天井の間をポール等で突っ張って固定します。ネジ止めしないので、賃貸住宅などでも使用しやすい対策です。天井の強度が必要なので、強度がない場合は当て板などで補強する必要があります。
突っ張り棒で本棚を本棚と天井を突っ張って固定する
- L字金具
本棚と壁を、L字金具とネジやボルトで固定します。本棚や壁に穴をあける必要がありますが、手軽にしっかりと固定できます。ネジを固定する必要があるため、間柱や横木などの硬い場所にネジ止めすることが大切です。
本棚と壁をネジ止めして固定する
- ベルト式(転倒防止ベルト)
本棚と壁それぞれに器具を固定し、その器具にベルトを結んで転倒を防ぎます。家具や壁へ接着するタイプやネジ止めするタイプ、ベルトの長さが調整できるタイプや伸縮するタイプなど、様々な製品があるため家具や家屋の状況にあわせて選択できます。
本棚と壁をベルトでつないで固定する(写真の固定器具は接着するタイプ)
- マット式(粘着マット式)
ゲル状の粘着マットを本棚の下に挟み、床と接着して固定します。比較的小さい家具に向いています。粘着ゲルの有効期限には注意しておきましょう。
本棚の底に粘着マットを敷いて固定する
- ストッパー式(転倒防止板)
くさび型のストッパーを本棚の下に挟み、壁側に傾けることで転倒を防止するものです。本棚が大型になるほど単体では効果が小さくなります。
本棚の手前側の下に転倒防止板を挟み込んで固定する
転倒防止対策グッズの効果
本棚の固定に役立つ対策グッズを紹介しましたが、地震の揺れに対する効果はそれぞれ異なります。本棚などの家具を壁にネジで直接固定する方法が最も転倒防止効果が高くなります。しかし、ネジでの固定が難しい場合でも、突っ張り棒と、転倒防止板や粘着マットを組み合わせることで効果が高められます。家具や家屋の状況にあわせて適切な対策を行いましょう。

ネジなどで直接固定する方法が効果が高い。ネジ固定しない場合でも、いくつかの対策を組み合わせることで効果を高められる。
※:「家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック(東京消防庁)」を参考に筆者宅での対応を図示
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/learning/elib/kagutenhandbook.html
本棚の転倒防止対策まとめ
| 対策方法 | 効果 | 費用目安 | 壁への穴あけ |
|---|---|---|---|
| ポール式(突っ張り棒) | ★★☆ | ¥1,000~5,000 | なし |
| L字金具 | ★★★ | ¥500~3,000 | 必要 |
| ベルト式(転倒防止ベルト) | ★★☆(*) | ¥2,000~5,000 | 製品による |
| マット式(粘着マット) | ★☆☆ | ¥500~2,000 | なし |
| ストッパー式(転倒防止板) | ★☆☆ | ¥500~2,000 | なし |
*家具と壁にそれぞれ金具をネジ止めしてベルトで結ぶタイプの場合
本の落下防止対策
本の落下防止対策には、滑り止めテープや落下防止バーなどがあります。
- 滑り止めテープ
本棚の棚板の手前に貼るだけで、滑り止めになり、本の飛び出しや落下を防いでくれます。テープを張るだけなので、本の取り出しに影響しにくく、手軽にできます。
- 落下防止バー・ベルト
棚の手前にバーやベルトを設置して、本が飛び出すのを防ぐ方法です。日常的な使い勝手は少し悪くなってしまいますが、物理的に飛び出しを防いでくれるので安心感があります。
本を減らすという防災対策
ここまで本棚の転倒防止対策や本の落下防止対策について紹介してきましたが、地震で本棚が倒れた経験から感じたのは、そもそも「本が多い」ことがリスクになるということです。
「本の量」というリスク
本は1冊であればそれほど重くありません。しかし、本棚を埋めるほどの数になると、かなりの重量になります。

本が増えるほど重さも増し、転倒リスクが高くなります
例えば、マンガの単行本1冊の重さが約200gとすると、我が家にある約60cm×180cmの本棚には400~500冊の本が入るため、200g×500冊=100kgとなりかなりの重さになります。これがハードカバーの単行本であれば1冊約500g、画集などでは1冊約1kgを超えるものも珍しくはありません。本棚自体にもかなりの重量があるため、地震時に本棚が受ける力は、非常に大きなものであるということが想像できます。
【体験】たった200冊で倒れた本棚

天井突っ張りの本棚でも200冊程度の本で倒壊した
我が家の倒壊した本棚は、DIYで作った天井突っ張りの本棚でした。キャットウォークを兼ねていたため隙間が多く、地震当時は約200冊の本を収納していました。この時の本の推定重量は約50kg。本棚は推定約50kg。全体の重量は推定約100㎏になります。
当時、DIYであっても天井突っ張りということで、それなりに強度はあるだろうと過信していました。しかし実際には、地震で突っ張りがはずれ、本は飛び出しました。夫婦そろって本好きの我が家には少なくとも3000冊以上の本があります。家の安全を考えた時に、単純に本棚を固定するだけではなく、もっと本質的に、本自体を減らす、そしてできれば本棚そのものを減らさなければならないと強く感じました。
「紙の本が好き」でも本は減らせるか?|デジタル化という選択肢
本が減れば本棚の重量が減り、転倒時のリスクが小さくなります。そして、本棚を減らすことができれば、室内の危険そのものを減らすことができます。しかし、本が好きだからこそ簡単に処分はできません。思い入れのある本や仕事で使う本など手放しにくい本は沢山あります。
「紙の本」でなくてもよい本はデジタル化(自炊)という選択肢も
そんな時の選択肢となるのがデジタル化(自炊)です。本をスキャンしてデータで保存することで、内容は残したまま物理的な本は減らすことができます。
デジタル化(自炊)には、本を減らす以外のメリットもあります。デジタル化することで、スマホやタブレットから場所を選ばずに参照でき、検索機能を活用して情報を探しやすくなります。画面上で拡大できるので、視力が悪くても読みやすくなるというメリットもあります。
本の整理の例

本が沢山ある場合には、作業を始めるのが億劫になりますね。一度にやるのが難しい場合は、今日はこの本棚のこの区画だけ...と区切ってやるのもオススメです。
- まず分類する
例えば、仕事用なのか趣味の本なのか、また、家族で共有している本なのか、自分しか読まない本なのかなど。 - 手放す本をピックアップ
ある程度分類したら、もう読まないだろうなという本を手放す候補としてピックアップしていきます。また、紙でなくてもいいかなという本はデジタル化の候補としてピックアップします。 - デジタル化(自炊)する本は断裁してスキャン
ちょっと勇気がいりますが、デジタル化(自炊)する本は、カッターや断裁機などで分解(断裁)してスキャンしていきます。クラウドやアプリなどにデータを保存すれば、簡単に活用できます。具体的な自炊の方法や事例は以下の記事が参考になります。
※著作権の対象となっている新聞、雑誌、書籍等の著作物は、個人的または家庭内、その他これらに準ずる限られた範囲内で使用することを目的とする場合を除き、権利者に無断でスキャンすることは法律で禁じられています。スキャンして取り込んだデータはユーザーの責任において、著作権法上認められる範囲内でご使用ください。

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本棚ゼロでも読書習慣は続く。自炊×スマホで「いつでも参照できる」本棚へ【ScanSnap×SideBooks】
実際にやってみると、仕事用の本は今と昔で必要な知識が変わっていたり、情報が更新されていたりと、手放せそうな本の判断がしやすかったです。趣味の本も好みが変わり「あー昔好きだったなぁ......けどまぁ今は要らないかな」となるものが意外とありました。また、仕事用で紙の本自体に思い入れがないものは、デジタル化で情報を活用しやすくなりました。
防災のためにデジタル化(自炊)を継続的に行うなら、本を切る断裁機や、自動給紙(オートフィード)できるイメージスキャナーがあったほうがよいでしょう。ScanSnap iX2500は毎分45枚の高速スキャンが可能で、分厚い本もあっという間にデータ化できるため自炊には最適です。スキャンしたデータは直接クラウドにも連携可能なので、データ化した本を死蔵させずに活用しやすくなっています。
ScanSnap iX2500
59,400円(税込)
コンパクト断裁機 PK-213
31,900円(税込)
結果として、我が家の本棚の地震対策は、転倒防止グッズや落下防止グッズを使いつつ、本の整理やデジタル化で少しずつ本を減らすことを進めています。地震をきっかけに本の整理を始めたおかげで、モノの整理やモノを減らすことが防災につながるという意識を持てたこと、そして紙の本が好きで、捨てるなんてありえないと思っていた私が、少しずつでも本を減らしていけるという実感を持てたことが一番の収穫かもしれません。
まとめ|本棚の防災は転倒防止・落下防止、そして本を減らす
本棚は地震の際に危険性の高い家具のひとつです。リスクを減らすには本棚の配置の見直しや転倒対策、本の落下対策に加えて、本の量を見直すことも重要です。本を減らし、本棚を減らすことは、地震時の安全につながります。
地震対策はなにかひとつをやれば安心というわけではありません。できることを少しずつ取り入れていくことで安全性を高めることができます。まずは部屋を見渡して、本棚の位置や向きを確認してみませんか?できることから始めて、安心して過ごせる部屋にしていきましょう。
この記事を書いた人

フリーランスライター/動画制作。石川県金沢市在住。会社員時代には、ソフトウェア系マニュアル制作を経て、社内で動画制作チームの立ち上げに携わる。2020年~フリーランスに。ガジェット・地球科学・いきもの系に興味が強く、物事の仕組みを理解するのが好き。わかりやすい文章・コンテンツ作成を心掛けています。テクニカルコミュニケーター協会TC技術検定3級TW 、2級MP / DR 取得。
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