ふとした気付きを記録する ロングセラーなメモ帳「ジェットエース」の話

「アイデアが枯渇した」
オリジナル商品を毎年企画していると、そんなタイミングが何度も何度も訪れて、頭を抱えることがある。
そんな時には、ウェブ上で様々なアイデアを探してみたり、海外旅行に行って刺激を受けてみたり。
様々な方法でアイデアを出そうと努力するのだけど、そういうところから出てきたアイデアは、なんというか自分に根を張ったものではない感じがしてうまく行かないことが多い。

そんな時に、数年おきに手にするメモ帳がある。手帳で有名なダイゴーさんの「ジェットエース」というメモ帳だ。
このメモ帳は、私がサラリーマンの頃に特に愛用していたアイテムだ。
当時はお店で働いていたこともあり、業務時間中はスマホも持ち歩けなかったため、紙と鉛筆を使ったこのメモ帳がとても重宝したことを覚えている。
しかしながら、フリーランスになった今。
スマホにメモすればいいじゃないかと思われるかもしれない。
もちろん私だってそう思っていたし、AIで文字起こしできる最新のツールなんかも試してきた。
けれど、声が出せる環境下でいつでもいられるわけではないし、なんだかんだ手書きの方が素早く書き残せる時もあったりする。
デジタルにするには少し面倒な、ほんのちょっとした不満やアイデアを形にしてキープする。
そんな隙間にはこのアイテムが突き刺さるのだ。
目次

そもそも何故、ジェットエースが手放せないのか。
その秘密は「メモをしない理由を徹底的に潰す」という、発想から書き残すまでの圧倒的にシームレスなメモ体験にこそある。
まず、「どこにでも持ち歩けること」。
メモをするには、メモしたい時にメモが手元にあるという身も蓋もない前提条件を突破しなければならない。
手のひらサイズでポケットに収まる小さなサイズ感は、ポケットの膨らみも最小限におさえてくれるので持ち歩きも楽だ。
ジェットエースには3サイズが用意されているので、ついつい大きなサイズを使いたくなってしまうのだけど、不思議と一番小さいサイズの方が長続きするのは、持ち歩くことへのストレスのなさと、メモできる量が少ないから割り切って素早くメモできるという2つの要素に繋がっている。

2つ目の要素は、「新しいページがすぐに開けること」。
メモをしたいと思った気持ちは、面倒くさがりな私にとってすぐ消えてしまう儚い存在だ。
メモを取り出したところで、書き込むページがすぐに開けなければ、メモを書こうとする気持ちがたちまち霧散してしまう。
ジェットエースにはしおり紐がついているので、これを手繰れば新しいページにすぐアクセスすることができる。
ChatGPTで知られるOpenAIの最高経営責任者の「サム・アルトマン」さんは、使い終わったページを破いて捨てることで、常に新しいページにすぐ書き込めるようにしているらしいが、それも同じような理由からではないかと私は考えている。

そして3つ目のポイントは、「しおり紐の先に鉛筆が繋がっていること」。
背表紙には小さな鉛筆が入っていて、しおり紐を手繰って新しいページを開いた動作からスムーズに鉛筆を取り出す動作に移ることができる。
メモしたい時に「メモ帳」が必要なのはもちろんだが、「筆記具」も必要なのも当然のことだ。
そんなもの、スーツの胸ポケットに入れといたらいいじゃないかと思うかもしれないけれど、ここまで至れり尽くせりにしておくことで、メモをしない理由を潰していく姿勢。
ジェットエースには惚れ惚れするほどのおもてなし精神が感じられる。

ここまで来れば、あとはメモするだけ。
立ったままでも筆記できる程度に、ジェットエースはしっかりとしているが、あまりたくさんのことを書き込むことはできないだろう。
しかし、それでいいのである。
いいこと思いついたのに忘れてしまった......というアイデアは、思い出そうとしても全然思い出せなかったりするけれど、思い出せるようにとったメモがあれば、それをきっかけに思い出すことはできたりする。
詳細にメモを書こうとすればするほど、メモを書くためのハードルは上がる。
人の数だけメモの取り方はあっていいと思うけど、私にとってはこのやりかたがちょうどフィットした。

もし、ジェットエースに弱点があるとすれば、ScanSnapでのスキャンのためには裁断機が必要になってくることぐらいだろうか。
しかし、スキャンを前提にすると「取り込みやすいようにきれいに書かなきゃ」というハードルが上がってしまうので、自分さえ読めればいいというゆるゆるなハードルでまずは始めてみるのもいいと思う。
その上で、運用面をスキャン前提にするのであれば、これまでにもご紹介してきたHINGEやPAPER JACKETといったアイテムを組み合わせていくのもいいだろう。
スマホやパソコンで様々な情報が記録できるデジタルな現代において、意外とメモしきれていないニッチな部分を形にして記録してくれる。
そんな存在としてジェットエースがハマる人は私以外にもきっとたくさんいると思う。
この記事を書いた人

docket store(ドケットストア)店主。文具と収納用品のセレクトを中心としたお店を大阪府箕面市で2018年にスタート。スマホカメラでの紙もの撮影を快適にする『レシートスキャンボード』など、オリジナルアイテムも展開する一人文具メーカー。マツコの知らない世界に出たい。
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